マンションの売却では、小さな失敗が大きな損失を招く可能性があります。
失敗を避けるためには、失敗例を知り、対策することが大切です。
この記事では、マンション売却でやりがちな失敗について、以下の3パターンに分けて解説します。
- 売却するタイミングの失敗例と対策
- 売却費用の失敗例と対策
- 不動産会社選びの失敗例と対策
知らないと後悔するポイントも多いため、ぜひ参考にしてください。
マンションを売却するタイミングの失敗例と対策
まずは、マンションを売却するタイミングに焦点を当てて解説します。
売却のタイミングにおける失敗例は、以下のとおりです。
- 売却活動を始めるのが遅かった
- 需要が低いタイミングで売却してしまった
- 売却したあとに周辺相場が上がった
対策とあわせて、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
売却活動を始めるのが遅かった
マンションの売却活動を始めるのが遅いと「失敗した!」と感じる場面が多くなりやすいです。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。
- マンションの売却価格を下げなければならない
- 住居にかかる支払い(税金など)が2重になる
- 仮住まいに長く住むことになる
売却活動のスケジュールに余裕がないと、状況によっては「早く売却するために売却価格を下げる」という選択が必要です。
また新居探しが間に合わず、住居にかかる支払いが重複したり、仮住まいの期間が長引いたりする可能性もあります。
売却活動を始めるタイミングで失敗しないためには、売却を決めた時点で、すぐに不動産会社に相談することが大切です。
早く相談する分には、スケジュールに余裕が出て準備期間が長くなるだけなので、問題ありません。
またマンションの売却や、新居の購入にかかる期間については、以下を参考にしてください。
マンションの売却にかかる期間
マンションの売却活動をはじめてから、買い手と売買契約を結ぶまでは、一般的に3ヶ月ほどかかります。
売却活動の前には、不動産会社への相談や査定などをおこなう準備期間が1ヶ月ほど必要です。
また売買契約を結んだら、すぐにマンションを引き渡せるわけではありません。
引き渡しまでには、住宅ローンを完済したり、登記に必要な書類を集めたりする必要があります。
一般的に、売買契約を結んでから引き渡しまでの期間は、1ヶ月〜2ヶ月ほどです。
不動産会社への相談から引き渡しまでは、半年ほどかかると考えておきましょう。
新居の購入にかかる期間
中古の不動産を購入する場合、売買契約を結んでから新居に住めるようになるまでは、1ヶ月〜3ヶ月ほどかかります。
売買契約の前には、住宅ローンの事前審査を受けるなどの準備も必要です。
希望条件に合う不動産が見つからず、新居探しの期間が長引いてしまうケースも考えられます。
また未完成の新築マンションを購入する場合は、完成のタイミングに合わせて引っ越すことになります。
どのような不動産を購入するかは、探してみないとわからないため、余裕を持って動き始めましょう。
新居については、マンション売却を依頼する不動産会社に探してもらうのがおすすめです。
売却と購入を同じ不動産会社に依頼することで、適切なスケジュールを提案してもらえます。
需要が低いタイミングで売却してしまった
不動産の需要が低いタイミングでの売却も、失敗につながりやすいです。
一般的に、以下のタイミングは不動産の需要が低いとされています。
- 真夏や真冬(お盆や年末年始などのイベントが多いため)
- 金利が高い(住宅ローンの返済額が高くなってしまうため)
不動産の需要が低いと、マンションの査定額も低くなってしまう可能性があります。
また需要が低いタイミングで売却活動を始めると、需要が高くなったときに買い手が付きづらくなってしまうかもしれません。
マンションの情報が埋もれてしまったり、売れ残りのイメージを持たれてしまったりするためです。
失敗を避けるためには、不動産の需要が高いタイミングでマンションを売却しましょう。
4月からの新生活に向けて引っ越す人が増える2月〜3月は、不動産の需要が高くなります。
2月〜3月に新着情報として、マンションの広告を出せるように、準備しておくことが大切です。
金利については、金融機関の予想を見たり不動産会社に聞いたりして、低金利のタイミングを狙ってみてください。
売却したあとに周辺相場が上がった
マンションを売却したあとに周辺相場が上がり「もう少し待てばよかった!」と後悔する人も少なくありません。
マンションの売却価格は、周辺相場に大きく左右されます。
周辺相場が上がる要因の具体例は、以下のとおりです。
- スーパーや病院、学校など、生活に必要な施設が新しくできる
- 再開発によって住環境や利便性が向上する
マンション周辺が「便利で住みやすい街」になりそうであれば、売却するタイミングの先送りも検討してみてください。
そのほうが、マンションを高く売却できる可能性があります。
ただ不動産は一般的に、築年数が古くなるほど価値が下がるため、注意が必要です。
不動産会社にも相談しながら、周辺相場が上がりそうなタイミングと、築年数のバランスを取りましょう。
マンションの売却費用の失敗例と対策
マンションの売却における失敗例としては、費用関連も多く見られます。
売却費用でやりがちな失敗例は、以下のとおりです。
- 売却価格が不適切のため買い手が付かなかった
- 諸費用が想像よりもかかった
- オーバーローンになってしまった
詳細と対策について、それぞれ解説していきます。
売却価格が不適切のため買い手が付かなかった
マンションの売却価格が不適切だと「買い手が付かない」という失敗の原因になります。
売却価格での失敗を避けるためには、相場に合わせることが大切です。
売却価格が相場よりも高すぎる場合、ほかの不動産に買い手が流れてしまいます。
また相場より安すぎても「何か問題があるマンションかもしれない」と思われ、買い手が付きづらくなる可能性があります。
相場を調べる際には、以下のような「不動産の取引価格を検索できるサイト」を活用しましょう。
- 不動産流通機構が運営する「レインズマーケットインフォメーション」
- 国土交通省が運営する「土地総合情報システム」
サイト内で、売却するマンションと同じエリアかつ、築年数や広さなどの条件が似ている不動産を探します。
その不動産の取引価格を、相場として参考にするのです。
マンションの売却価格は、不動産会社からの提案を受け入れるだけでなく、相場を把握したうえで主体的に考えてください。
諸費用が想像よりもかかった
マンションの売却では、諸費用に関する失敗例もあります。
やりがちなのは「諸費用が想像よりも多くかかってしまい、家計に余裕がない状態で新生活が始まる」というケースです。
失敗を避けるためには、売却にかかる諸費用を把握しておきましょう。
マンションを売却する際には、以下のような諸費用がかかります。
諸費用 | 金額の一例(売却価格が5,000万円の場合) |
登録免許税 | 2,000円 |
印紙税 | 2万円 |
譲渡所得税 | 214万円 |
仲介手数料 | 171.6万円 |
司法書士への報酬 | 1万円〜3万円 |
新居への引っ越し費用 | 10万円〜20万円 |
上記の場合、諸費用の合計額は400万円前後です。
マンションの売却にかかる諸費用は、売却価格やタイミング、マンションの状態などによって変わります。
不動産会社への相談時に、諸費用をシミュレーションしてもらいましょう。
軽減税率や控除が適用される場合は、諸費用が安く抑えられる可能性があります。
オーバーローンになってしまった
マンションの住宅ローンが残っている場合、オーバーローンに注意が必要です。
オーバーローンとは、不動産の売却で得られる金額が、住宅ローンの残金よりも安くなってしまう状態を指します。
住宅ローンの残金は、マンションの引き渡しまでに清算しなければなりません。
オーバーローンになってしまうと、マンションの売却金だけでは住宅ローンを完済できないため、自己資金を切り崩すことになります。
その結果、家計への負担が大きくなってしまいます。
オーバーローンにならないためには、はじめに「住宅ローンがいくら残っているか」を正確に把握することが大切です。
住宅ローンの残金は、一般的に以下のような方法で確認できます。
- 金融機関のwebサイトにあるマイページで確認する
- 金融機関に残高証明書を発行してもらう
住宅ローンの残金が、マンションの査定額を上回る場合、オーバーローンになってしまう可能性が高いです。
家計の状況を考えて、資金が溜まるまで売却のタイミングを先送りにするなど、無理のない計画を立てましょう。
マンション売却の不動産会社選びの失敗例と対策
マンションを売却する際には、不動産会社選びも重要です。
不動産会社選びでは、以下のような失敗例が多く見られます。
- 担当者との相性が悪かった
- 査定額が適切でなかった
- 囲い込みをされた
それぞれのデメリットを理解し、適切な不動産会社を選びましょう。
担当者との相性が悪かった
担当者との相性が悪いと、マンションの売却が思うように進まず、失敗の原因になります。
要望を汲み取ってもらえないことで、売却活動が的外れになってしまうためです。
以下のようなポイントから、担当者との相性を見極めましょう。
- 質問に対して的確に回答してくれるか
- 連絡のスピードや頻度に不安がないか
- 真摯に向き合ってくれていると感じるか
不動産会社の担当者とは、長い付き合いになる可能性があります。
そのため、相性が良く信頼できる担当者を選んでください。
またマンションをスムーズに売却するためには、担当者の経験値も大切です。
相談や査定の段階で、不動産とエリアに関する知識や、マンション売却の実績を確認しましょう。
宅地建物取引士などの保有資格も参考になります。
査定額が適切でなかった
マンションの査定額が適切でないと、以下のような失敗が起こりやすいです。
- 売却価格の設定を誤り、買い手が付かない
- オーバーローンになってしまう
マンションは、査定額どおりに売却できるとは限りません。
失敗を避けるためには、以下のポイントを押さえて、適切な査定額を出してくれる不動産会社を選びましょう。
- あらかじめ相場を調べておく
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 訪問査定を選択する
- 根拠を重視する
相場を調べておくことで、不自然な査定結果に気づきやすくなります。
また偏りのない査定結果を得るために、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較することも大切です。
査定方法は、実際にマンションを見たうえで評価する「訪問査定」を選択してください。
立地や間取りなどの条件だけで評価する「机上査定」よりも、精度が高い結果を得られます。
査定額の高さではなく「査定額の根拠に納得できるか否か」を重視しましょう。
囲い込みをされた
不動産会社から囲い込みをされるケースも、マンション売却の失敗例として挙げられます。
囲い込みとは、ほかの不動産会社に不動産の情報を共有しないことです。
不動産会社は、売却を依頼された不動産の情報を「REINS(レインズ)」に載せます。
レインズとは、不動産会社専用のデータベースのことです。
レインズを利用する目的は、ほかの不動産会社に情報を共有し、各顧客に不動産を紹介してもらうことです。
囲い込みをされると、以下のような状態になってしまいます。
- レインズに不動産の情報を載せてもらえない
- レインズを見た他社からの問い合わせを断られる
不動産会社が囲い込みをする理由は「不動産の買い手を自社で見つけたいため」です。
自社で買い手を見つけると、売り手と買い手の両方から仲介手数料を受け取れます。
囲い込みをされると買い手が付きづらくなるため、売り手にとってはデメリットしかありません。
囲い込みの対策は、マンションの売却を複数の不動産会社に依頼することです。
不動産会社と結ぶ契約を「一般媒介契約」にすると、複数社に依頼できます。(REINS掲載は任意となっています。)
まとめ
マンションの売却で失敗例が多いのは「タイミング・売却費用・不動産会社選び」の3つです。
この記事では、失敗を避けるポイントとして、以下を解説しました。
- 売却を決めたら、すぐに不動産会社に相談する
- 不動産の需要が高いタイミングで売却する
- 周辺相場が上がりそうなら、売却を先送りにする
- 売却価格は相場に合わせる
- 売却にかかる諸費用を把握しておく
- 査定額と住宅ローンの残金を比較する
- 信頼できる担当者に売却を依頼する
- 複数社の査定を比較する
- 囲い込みに気を付ける
失敗例と対策を頭に入れておき、マンションの売却を安全かつスムーズに進めましょう。