マンションの売却を検討する際、「売れるまでの期間はどのくらいなのだろうか」と考える方は多いでしょう。
物件が売れるまでの平均期間を知り、「次の住居選びや資金計画を立てたい」と思うときもあるのではないでしょうか。
マンション売却にかかる期間の平均は4か月程度で、物件によって早まるときもあれば、長期化する可能性もあります。
本記事では、マンションの売却にかかる期間や早く売るコツ、なかなかマンションが売れないときの対処法などを解説します。
マンションの売却を検討しており、売れるまでの期間を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
マンション成約までにかかる期間は平均3か月
不動産会社にマンションの売却を依頼してから、成約までにかかる期間は平均約3か月です。
マンション売却の依頼を受けてから成約するまでの平均日数は、次の表を参考にしてください。
年 | 成約までの日数 |
2023年 | 80.1日 |
2022年 | 71.4日 |
2021年 | 74.7日 |
2020年 | 88.3日 |
2019年 | 81.7日 |
上記のとおり、売り出しから70日~80日程度で成約できていることがわかります。
査定依頼を出してから、依頼する不動産会社を選ぶのに1~3週間かかるため、合計で3か月程度の期間をみておけばよいでしょう。
マンション売却完了までは平均4か月
マンションが成約しても、引き渡して完全に売却が完了になるのは、平均4か月程度かかります。
買主が売買契約を締結してから住宅ローンの審査を受け、引き渡すまでに1か月程度かかるためです。
不動産会社に査定を依頼してから引き渡しまで、スムーズに進まないときは、4か月では終わらないケースもあるでしょう。
また、直近は中古マンションの価格の上昇により、物件売却完了までの期間が長期化している傾向があります。
不安な方は早めに不動産会社に査定を依頼し、売却完了までの期間で心配な点を担当者に相談してみましょう。
主要都市別のマンション売却期間
各主要都市別のマンション売却期間のデータを「東京カンテイプレリリース」を基に紹介します。
住んでいる地域のマンション売却期間を参考にして、売却活動のスケジュールづくりに役立ててください。
東京都(首都圏)
東京都を含む首都圏の中古マンションの、売り出しから成約までの平均期間は次のとおりです。
年度 | 売り出しから成約までの期間 |
2023年下期 | 4.14か月 |
2023年上期 | 3.75か月 |
2022年下期 | 3.22か月 |
2022年上期 | 3.11か月 |
2021年下期 | 2.89か月 |
2021年上期 | 3.29か月 |
直近2023年下期は、売り出しから成約までの期間は平均4.14か月で、少しずつ長期化している傾向があります。
歴史的な円安や建築費の高騰、新築マンション価格の上昇により、中古マンション価格も上昇しており、比例して期間も長くなっていると想像されます。
不動産会社選びや引き渡しまでを含めると、マンション売却にかかる期間はもう少し長めに考えておいたほうがよいでしょう。
大阪府(近畿圏)
大阪府を中心とした近畿圏の売り出しから成約までの平均期間は、次の表を参考にしてください。
年度 | 売り出しから成約までの期間 |
2023年下期 | 5.13か月 |
2023年上期 | 4.9か月 |
2022年下期 | 4.43か月 |
2022年上期 | 4.5か月 |
2021年下期 | 4.59か月 |
2021年上期 | 4.88か月 |
首都圏と比較すると売り出しから成約までの期間が長い傾向があり、中古マンションの購入に慎重な姿勢がわかります。
また中古マンション価格の上昇にともない、売り出しから成約までの期間が長期化している傾向があります。
近畿圏でマンションの売却を検討している方は、首都圏よりも早めに動き出す必要があるので注意が必要です。
愛知県(中部圏)
愛知県を含む中部圏における、マンション売り出しから成約までの平均期間は次のとおりです。
年度 | 売り出しから成約までの期間 |
2023年下期 | 4.92か月 |
2023年上期 | 4.53か月 |
2022年下期 | 3.82か月 |
2022年上期 | 4.19か月 |
2021年下期 | 3.82か月 |
2021年上期 | 4.06か月 |
2022年度まで売り出しから成約までの期間は、平均4か月程度で推移していますが、2023年度から顕著に長期化しています。
中部圏は戸建てを選ぶ方も多く、マンション売却の期間が長くなりやすいエリアです。
愛知県を中心とした中部圏でマンションを売却する際には、余裕のあるスケジュールを立てる必要があります。
すぐに売れる・売れない物件の特徴|マンションの売却期間を左右する条件
マンションが売却できるまでの期間は、築年数やマンションの立地などの諸条件により異なります。
売却期間を左右するマンションの諸条件を解説します。
築年数の長さ
マンションがすぐに売れるか売れないかは、築年数が大きく影響します。
基本的に築年数が古くなるほど、需要の低下とともに価値も下落していき、販売するまでに時間がかかる傾向があります。
2024年7~9月における、東京都の築年数別の中古マンション平均成約価格は次のとおりです。
築年数 | 平均成約価格 |
~築5年 | 10,446万円 |
~築10年 | 8,195万円 |
~築15年 | 8,275万円 |
~築20年 | 7,107万円 |
~築25年 | 6,375万円 |
~築30年 | 5,450万円 |
築30年~ | 3,458万円 |
築15年までであれば平均成約価格が高めな一方で、築15~20年になるとマンションの価値が急激に落ちることがわかります。
目安として、築15年までの中古マンションはすぐに売れやすく、築15年を超える物件は次第に売却までに時間がかかりやすくなるでしょう。
築15年以上の中古マンションは、築年数が古いほど売却に期間がかかるため、当てはまる方は注意が必要です。
最寄り駅からの移動時間
マンションの売却期間を左右する要因の一つに、最寄り駅からの移動時間があります。
電車を利用する前提であれば、駅から近い物件のほうが早く売れやすく、遠いと売れづらい傾向があります。
具体的には最寄り駅から徒歩10分以内であれば需要が高く、20分以上かかる中古マンションは、売却までに時間がかかりやすいでしょう。
ただし車移動が前提、周辺環境がよく利便性が高いなどの場合は、最寄り駅から遠い物件でも短期間で売れやすいケースも考えられます。
最寄り駅まで遠いマンションを売却する際は、時間がかかる可能性が高いため、余裕を持ったスケジュールを立ててください。
マンションの立地
マンションの売却期間は、立地条件にも左右されます。
立地条件がよければ早めに売れやすく、悪いと中古マンションの売却までに時間がかかる傾向があります。
主な立地条件は次のとおりです。
- 買い物施設や病院の近さ
- 周辺の治安
- 都市部へのアクセスのよさ
- 災害の可能性
- 騒音の有無
上記の立地条件に加えて、周辺の地価が上昇しているか低下しているかもマンションの売却期間を左右します。
人によって希望する条件が異なる場合もあるので、立地が悪くても訴求方法を変えれば、比較的時間をかけずに売却できるケースもあるでしょう。
専有面積の広さ
マンションの専有面積の広さも、売却期間に大きく影響します。
一番需要が高いのは60~70㎡程度の中古マンションで、80㎡を超える広さのマンションはニーズが低く、売却までに時間がかかります。
一都三県で成約した中古マンションの専有面積の平均は、次の表を参考にしてください。
地域 | 平均専有面積 |
東京都 | 60.0㎡ |
埼玉県 | 67.6㎡ |
千葉県 | 72.0㎡ |
神奈川県 | 67.5㎡ |
60~70㎡程度の中古マンションは、ファミリー層が住むのに適しており、購入しやすい価格のため需要が高いのでしょう。
一方で専有面積が100㎡以上の広いマンションは買い手が限られ、売却までにかかる期間が長期化しやすくなります。
売り出し価格
マンションの売却期間を左右する要因として、物件の売り出し価格もあげられます。
物件の購入を検討している方は、周辺の相場を調べていることが多く、適正価格から売り出し価格がかけ離れていると、マンションがなかなか売れません。
適正価格より低すぎる価格で売り出していた場合でも、何か問題があるマンションかも知れないと疑われて、すぐに売れないケースも考えられます。
売り出し価格を決めるのは売主のため、周辺の相場を調査したうえで適正な価格設定をすると、マンションの売却期間を短くしやすくなります。
価格設定が不安な方は、契約した不動産会社の担当者に、相談しながら決めるのもよいでしょう。
管理費や修繕積立金
毎月支払う管理費や修全積立金も、マンションの販売期間を左右する要因です。
周辺のマンションと比較して管理費や修繕積立金が高いと、物件の売却までの期間が長期化しやすくなります。
東日本レインズのデータによると、2023年の一都三県の管理費や修全積立金の平均額は、次のとおりです。
地域 | 平均月額管理費 | 平均月額修繕積立金 |
東京都 | 13,888円 | 11,708円 |
埼玉県 | 10,919円 | 11,665円 |
千葉県 | 11,194円 | 12,226円 |
神奈川県 | 12,073円 | 12,328円 |
管理費や修繕積立金はマンションの規模によっても異なるため、上記を参考に周辺の物件と比べてみるとよいでしょう。
また修繕積立金は、築年数が経過するほど高くなる傾向があり、今後マンションの売却を検討している方は注意が必要です。
売り出すタイミング
売り出すタイミングは、マンションの売却期間を決める要因の一つです。
不動産取引が活発な時期にマンションを売り出せれば、物件の売却がスムーズに決まり、期間を短くできる可能性が上がります。
中古マンションは2~3月に売れやすいため、10~11月頃から動きはじめるとよいでしょう。
また周辺エリアに条件が似ている物件や、同じマンション内の物件が売りに出されていると、売却までに時間がかかりやすくなります。
売り出されているライバル物件が多い場合は、マンションの売却期間が長期化しやすいため、スケジュールを長めにみておきましょう。
契約している不動産会社
契約している不動産会社は、マンションの売却期間を大きく左右する要因です。
優良でマンションの売却に強い不動産会社を選べば、物件を早く売れる可能性が高くなります。
一方で悪質な不動産会社を選んでしまうと、売主と買主からの両手仲介を狙う囲い込みをされて、売却までの期間が長期化するため注意が必要です。
不動産会社を選ぶ際は、次の点をチェックしましょう。
- マンション売却に強い業者か
- マンション売却の実績は豊富か
- 口コミや評判はどうか
- 担当者との相性はよいか
上記を基準に優良な不動産会社を選べれば、売却活動がスムーズに進み、売却までの期間を短縮できるでしょう。
マンション売却の流れ
マンション売却の全体の流れは次のとおりです。
1:査定依頼 | 1~3週間 |
2:媒介契約締結、売り出し価格の決定 | |
3:売却活動 | 1~3か月 |
4:内覧の対応 | |
5:購入申込、価格交渉 | |
6:売買契約締結 | 1か月 |
7:残代金決済、引き渡し | |
8:確定申告 | 翌年2月16日~3月15日 |
それぞれの段階を解説します。
住宅ローンの残債を調べる
マンションの売却を検討しはじめた方は、まず住宅ローンの残債を確認してください。
物件を売却する際は住宅ローンを完済する必要があり、マンションを売却した資金で返済できるか把握する必要があります。
完済できそうな場合は問題ありませんが、住宅ローン残債が残るケースもあるので注意が必要です。
次におこなう不動産会社への査定依頼の結果をもとに、資金計画を立てるようにしましょう。
不動産会社へ査定依頼する
次に不動産会社へ査定依頼をします。まずはWebから情報を入力するのみで依頼できる、机上査定を複数社に依頼しましょう。
机上査定の結果が出たら、対応のよさやレスポンスの早さなどから不動産会社を選定し、訪問査定を依頼します。
訪問査定とは、実際に不動産会社の担当者が物件を見て、査定額を算出する方法です。
訪問査定も複数社に依頼して、査定額をはじめ担当者の対応や相性のよさなども確認してください。
媒介契約を結ぶ
売却活動を依頼できる不動産会社を選んだら、媒介契約を結びます。媒介契約は次の3種類のなかから選びます。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数社との契約 | 〇 | × | × |
指定流通機構(レインズ)への登録 | 任意 | 義務(7営業日以内) | 義務(5営業日以内) |
不動産会社の売主への業務報告 | 任意 | 義務2週間に1回以上 | 義務1週間に1回以上 |
自己発見取引(売主が自ら発見した相手との契約) | 〇 | 〇 | × 必ず媒介契約を結んだ不動産会社を介して契約する必要あり |
契約有効期間 | 法律上の制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
※ 媒介契約とは?
一般媒介契約は複数社と契約できるのに対して、専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社しか契約できません。
信頼できる不動産会社を選定できた場合は、専任媒介契約か専属専任媒介契約がおすすめです。
成約した場合、必ず仲介手数料が得られるため、積極的に広告活動をして成約を目指すでしょう。
売却活動開始
媒介契約を結んだら売却活動がはじまります。不動産会社の担当が広告活動をおこない、内覧の申し込みがあれば、日程を調整して対応します。
内覧対応は基本的に担当者が案内しますが、内覧者からマンション内や周辺などの環境を聞かれた際は回答しましょう。
複数回内覧がおこなわれるケースが多いため、不用品は処分しておき、整理整頓しておくのをおすすめします。
購入申込書を受け取る
内覧をして購入を決めた方から、購入申込書を受け取ります。
購入申込書とは購入希望金額や手付金、売買契約締結希望日や決済希望日などが記載されており、購入する意思を示す書類です。
また購入希望者から価格交渉がある場合は、不動産会社の担当者を介してやり取りをおこないます。
売買契約締結
売却価格や諸条件が決定したら、契約日を設定して売買契約を締結します。
売買契約は不動産会社の担当者と売主、買主が集まって手続きをする方法が一般的です。
売買契約書の署名と捺印が完了したら、買主から手付金を受け取り、不動産会社に仲介手数料を支払います。
売買契約を締結しても、買主の事情で解除される可能性があるので注意が必要です。
新居へ転居する
マンションを引き渡すために新居に引越しをします。
電気やガスなどの公共料金の移転手続きをはじめ、マンションの管理組合への区分所有者変更届が必要になるケースもあります。
売買契約から1~2か月後に引き渡す流れが一般的ですが、2週間程度のときもあるので、事前に新居へ移る準備をしておきましょう。
残代金決済(入金)・マンション引き渡し
マンションの引き渡しは、一般的に買主が住宅ローンを組む銀行でおこないます。
買主は売主に残代金を支払い、マンションの管理費や修繕積立金、固定資産税なども清算します。
また登記関係の手続きは、司法書士から案内された書類や委任状を作成し、司法書士に渡してください。
関係書類と鍵を買主に渡し、鍵の受領と引き渡し完了書を取り交わして引き渡しは完了です。
すべて完了したら、不動産会社に残りの仲介手数料を支払いますが、業者によって支払い時期が異なるため担当者に確認しましょう。
確定申告をおこなう
マンションの売却によって譲渡益が出た場合や、税金の特例や控除を利用するときは確定申告が必要です。
確定申告は、マンションを売却した翌年の2月16日~3月15日の期間におこないます。
確定申告をしていないと、延滞税や無申告税などのペナルティが発生するため、注意が必要です。
仮にマンション売却で譲渡損失が出た場合でも、特例を受けられるケースもあります。
マンションをスムーズに売却する4つのコツ
マンションをスムーズに売却するためには、複数の不動産会社に査定依頼する、適切な売り出し価格を設定するなどのコツがあります。
中古マンションを早めに売る方法を4つ紹介します。
複数の不動産会社に査定依頼する
マンション売却の期間を早めたい方は、複数の不動産会社に査定依頼をしてください。
複数社に査定依頼をするメリットは、次のとおりです。
- 物件の相場がわかる
- 不動産会社の対応を比較できる
- 不動産会社の実績を比較できる
- 相性のよい担当者に出会いやすくなる
査定依頼は査定額を提示してもらうのみではなく、不動産会社の対応や実績を比較でき、自身に最適な業者を選べるようになります。
査定額が提示されたら価格の根拠を必ず確認し、担当者の対応がよく納得できる説明ができる不動産会社を選びましょう。
マンション売却の実績が多い不動産会社に依頼する
マンション売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶと、スムーズに物件が売れやすくなります。
不動産会社は得意な業務が異なるため、マンション売却が得意で実績が多い業者を見つけられれば、安心して任せられます。
検討している不動産会社の得意分野や実績は、公式サイトで確認するか、担当者に聞いてみましょう。
また自身のマンションと同じエリアに詳しい不動産会社であれば、売却活動のときに地域の魅力を伝えられるため、成約しやすくなります。
売却期間を早めたい方は、マンション売却の実績が多い不動産会社に依頼すると、希望どおりに進みやすいでしょう。
適正な売り出し価格を設定する
マンションの売却は適正な売り出し価格を設定すると、早めに売れやすくなります。
不動産取引には相場があるので、自身のみ高い売り出し価格で売却するのは難しいでしょう。
周辺の相場をチェックしたあと、価格交渉をされるときのことを考慮して、相場内で高めに設定する方法もあります。
自身のみで適正な売り出し価格を決めるのは難しいため、不動産会社の担当にも相談すると、売れやすい価格のアドバイスを受けられます。
内覧前にマンションの清掃&整理整頓を心がける
マンションの売却期間を短くするためには、内覧時の印象が大切なポイントです。内覧の前には次の準備を徹底しておきましょう。
- 物件内を掃除して整理整頓をしておく
- 不用品は処分して広く見せる
- 湿気や臭いを感じさせないように換気しておく
- 部屋を明るくして印象をよくする
上記の準備をしておき、購入を検討している方が物件に好印象を持てば、マンションの売却が決まりやすくなります。
とくに水回りは汚れが目立ちやすいため、できる限りきれいな状態にしておきましょう。
基本的にハウスクリーニングは不要ですが、気になる汚れがある場合は、不動産会社の担当者に相談してください。
マンション売却を長期化させないために注意すべき3つのポイント
マンションの売却期間を長期化させないためには、囲い込みに注意する、物件が売れる月に売却するなどの注意点があります。
注意すべきポイントを把握しておき、マンションの売却がスムーズに進むようにしてください。
囲い込みに注意する
不動産会社のなかには自社の利益を優先して、囲い込みをする業者もあるので注意が必要です。
囲い込みとは、買主と売主の両方から仲介手数料を得る目的で、情報を公開しない、問い合わせに対応しないなどの行為を指します。
不動産会社の利益は増える一方で、売主は売却までに時間がかかり値下げをせざるを得なくなるなど、よいことはありません。
囲い込みをする悪質な不動産会社に依頼しないためには、業者の口コミや評判をチェックして、怪しい場合は避けるようにしましょう。
ほかにも査定依頼の際の対応がいい加減、査定額の根拠があいまいな場合は、別の不動産会社に依頼するようにしてください。
マンションが売れる月・時期に売却する
マンションが売れる月や時期に売却活動をすると、物件が早めに売れやすくなります。
首都圏の中古マンションが売れる月の上位は、次の表を参考にしてください。
中古マンションが売れた月(2023年) | 取引件数 |
1位:3月 | 3,442件 |
2位:10月 | 3,287件 |
3位:2月 | 3,240件 |
4位:7月 | 3,236件 |
5位:9月 | 3,191件 |
一般的に新生活がはじまる前の2~3月、異動が多い時期の9~10月にマンションが売れやすくなります。
ほかの月でも売却できる可能性はありますが、早めにマンションを売りたい方は、不動産取引が活発な時期に売り出しましょう。
一方で、不動産取引が活発ではないタイミングで売り出すと、売却する期間が長期化するおそれがあるので注意が必要です。
売買契約をしても解除される可能性がある
マンションの売買契約が締結された場合でも、解除される可能性があります。契約を解除されるパターンは次の2種類です。
解除方法 | 特徴 |
手付解除 | 買主が手付金を放棄して、契約を解除する方法 |
住宅ローン特約による解除 | 住宅ローンが組めずに契約を解除する方法 |
どちらの解除にしても再度買主を探す必要があり、マンション売却までに時間がかかります。
売買契約を締結しても、絶対にマンションを売却できるわけではないため、安心しないようにしましょう。
代金決済がおこなわれマンションを引き渡して、はじめて物件の売却が成立します。
## 中古マンションが3か月以上経過しても売れないときの対処法
なかなかマンションが売れないと、次第に心配な気持ちが大きくなるでしょう。
目安として3か月以上売れない場合は、何らかの対策をする必要があります。
売り出したマンションが3か月以上経過しても売れないときの対処法を5つ紹介します。
値下げを検討する
マンションを売り出してから3か月経過しても売却できないときは、値下げを検討しましょう。
マンション売却の平均期間の3か月で売れない場合、売り出し価格が市場相場より高い可能性があります。
不動産取引には相場があるものの、同じ物件は存在しないため、諸条件によっては相場以下でないと売れません。
値下げを検討する際は、どのくらいの売り出し価格であれば売却できそうかを不動産会社の担当者に聞いてみましょう。
値下げをすれば新たに検討する方も増えるため、マンションを売却できる可能性を上げられます。
物件の訴求のやり方を変える
マンションがなかなか売れないときは、物件の訴求を変えてみる方法がおすすめです。
マンションの売却が長期化するのは、物件の魅力が十分に伝わっていない可能性があります。
そのため、物件の訴求方法や特徴の伝え方を変えてみましょう。訴求方法を変える一例は、次のとおりです。
現状の訴求、特徴 | 変更後 |
最寄り駅から徒歩20分 | 交通量が少なく閑静な住環境 |
近くに繁華街がある | 夜間でも明るく安心して帰れる |
専有面積が狭い | 子どもが独立後も住み続けられる |
一見デメリットに見える特徴でも、訴求方法を変えればアピールポイントにもなります。
マンションの売却期間が長期化した際は、不動産会社の担当者と相談しながら、どのように訴求するのかを考えてみましょう。
一般媒介契約にする
3か月以上マンションが売れない場合は、一般媒介契約にするのもおすすめです。不動産会社との媒介契約には、次の3種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社にしか依頼できない一方で、一般媒介契約であれば複数の不動産会社と契約できます。
複数社と一般媒介契約を結んだ場合、報酬の仲介手数料を得られるのは、売却を決めた不動産会社のみです。
そのため、一般媒介契約で売却を依頼された不動産会社の間で競争原理が働き、マンションを売却しやすくなります。
専任媒介契約か専属専任媒介契約で物件の売却を依頼した方は、一般媒介契約で複数社と契約して、マンションが売れる可能性を上げましょう。
不動産会社を変更する
マンションがなかなか売れない場合は、契約している不動産会社を変更するのも選択肢です。
不動産会社を変えれば、異なる売却戦略ができたり、別のターゲット層を狙えたりします。
不動産会社との契約期間は、どの媒介契約かによって次のように異なります。
媒介契約の種類 | 契約期間 |
一般媒介契約 | 期間の定めなし |
専任媒介契約 | 3か月以内 |
専属専任媒介契約 | 3か月以内 |
契約期間内に媒介契約を解除すると、交通費や広告費などを請求される可能性があります。
専任媒介契約と専属専任媒介契約の契約期間は一般的に3か月のため、契約満了のタイミングで不動産会社を変更しましょう。
不動産会社の買取を検討する
マンションが一定期間をすぎても売れない場合、不動産会社に買取をお願いするのがよいでしょう。
買取は不動産会社が直接物件を購入するため、次のようなメリットがあります。
- 売却期間を短縮できる
- 早めに資金を用意できる
- 修繕やリフォームが不要
- 次の住居の計画が立てられる
不動産会社の多くは物件の状態にかかわらず買取するため、マンションが売れないときに有効な方法です。
ただし買取の場合、相場価格の7~8割程度で買い取られるケースが一般的です。
どうしても物件が売れないときや、早く次の住居に引越したいときの最後の方法として、不動産会社の買取を検討しましょう。
マンションの売却期間に関するよくある質問
マンションの売却期間に関してよくある質問に回答しています。
気になる質問や疑問を抱く点があれば、ぜひ参考にしてみてください。
中古マンションを1か月で売却する方法は?
中古マンションを1か月で売却するためには、次のコツを実践しましょう。
- 物件が売れやすい2~3月に売りに出す
- 需要が高い築年数10年程度のときに売却する
- 適正な売り出し価格を設定する
- 不動産会社の担当者に相談する
一般的に中古マンションの売却には3~6か月程度かかりますが、条件がよければ1か月で売れるケースもあります。
また売り出し価格を相場より少し低めに設定するのも効果的なため、不動産会社の担当者と相談しながら価格設定をしてください。
マンション売却での内覧件数はどのくらい?
マンション売却での内覧件数の平均は、6~10件程度とされています。
ただし、物件の条件やエリアなどさまざまな要因によって内覧件数は異なり、1~3件の内覧で成約する可能性もあります。
内覧の対応はマンションの売却期間に大きく影響するため、不動産会社の担当者とよく相談して売却戦略を検討しましょう。
マンション売却にかかる期間を把握して、スムーズに住み替えしよう
マンションの売却にかかる期間や売却する際の流れ、売れないときの対処法などを解説しました。
不動産会社への査定依頼からはじまり、引き渡しまでの平均期間は4か月程度で、物件の諸条件によっては6か月程度かかる可能性もあります。
スムーズにマンションを売却したい方は、次のコツを実践してください。
- 複数の不動産会社に査定依頼する
- マンションの売却に強い不動産会社に依頼する
- 適正な売り出し価格を設定する
- 内覧前に掃除や整理整頓をする
複数の不動産会社に査定を依頼し、対応や実績、担当者との相性をチェックして、優良な業者を選べれば、物件の売却に成功しやすくなります。
マンションの売却期間を短く済ませたい方は、本記事の内容を参考に物件を売却して、スムーズに新居へ住み替えをしましょう。
※1:マンション売却経験者にアンケート!売却期間は?売却方法は?体験談もご紹介
※2:国税庁、No.3302 マイホームを売ったときの特例
※3:国税庁、No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
※4:国税庁、No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例