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    マンションを売却したら住民税が上がる?税金の計算方法と軽減する方法を解説

    マンションを売却して、利益が発生したら税金がかかります。何となく課税されることは分かっていても、その内訳を知っている方は少ないかもしれません。

    不動産を売って売却益が発生したときにかかる税金を、一般的に「譲渡所得税」と呼んでいますが、その内訳は所得税(復興特別所得税)と住民税です。

    不動産の売却益に対する所得税は、翌年に確定申告する必要がありますが、住民税はどうなるのでしょうか?この記事では、マンション売却して利益が出たときにかかる住民税について解説します。

    計算方法や税率、申告方法だけでなく、住民税を軽減できる税金の特例も紹介します。これからマンションの売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

    目次

    住民税とは?

    住民税とは、都道府県と市区町村(東京都23区は特別区民税)に納める地方税です。おもに上下水道や公共施設、ゴミ処理施設、学校教育などの行政サービスに充てられます。

    つまり地域に住む住民は、住民税を納税することで、これらの行政サービスの費用を分担して負担していることになります。ちなみに個人が納めるものを「個人住民税」といい、法人が納めるものを「法人住民税」といいます。つまり法人も、住民税を納めています。※1

    マンション売却で住民税が上がる理由とは?

    マンションを売却した翌年に、住民税が上がることがあります。住民税が課税されることを意識していなかった場合は、急に増えたことで驚くかもしれません。

    不動産などの資産を売却して得た所得に対して、所得税と住民税がかかります。法律上本来は譲渡所得税という税金はありませんが、不動産を売却して得た所得に対する「所得税」と「住民税」を、総称して一般的に譲渡所得税と呼んでいます。

    マンション売却益に対して住民税と所得税がかかる

    マンションの売却益は課税の対象となり、住民税と所得税がかかります。給与所得など他の所得とは区分して課税(分離課税)されます。それぞれの税率は、不動産の所有期間によって異なります。

    不動産の売却益については、自ら計算する必要があり、翌年に確定申告して納付します。住民税の税率や計算方法、シミュレーションは、このあとに続く章で詳しく紹介します。

    譲渡所得とは

    マンションを売却して得た所得を譲渡所得といい、この所得に対して所得税と住民税がそれぞれかかります。※2

    しかしマンション売却代金に、そのまま税金がかかるわけではありません。取得や譲渡にかかった経費を差し引くことができ、一定の条件を満たす場合は、税金の特例を利用(特別控除)することもできます。

    長期譲渡所得と短期譲渡所得で税率が異なる

    譲渡所得税(所得税・住民税)は、不動産の所有期間に応じて異なる税率が定められています。

    マンションを売却した年の11月1日に所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となり、税率はそれぞれ以下の通りです。

    所得税住民税復興特別所得税合計
    長期譲渡所得15%5%0.315%(15%×2.1%)20.315%
    短期譲渡所得30%9%0.63%(30%×2.1%)39.63%
    ※ 国税庁、長期譲渡所得の税額の計算
    ※ 国税庁、短期譲渡所得の税額の計算
    ※ 2037年までは復興特別所得税として、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて申告し、納付することになります。

    マンション売却後の住民税の計算方法

    課税対象となる譲渡所得金額を求める計算式は、以下の通りです。税金の特例が適用できる場合は、特別控除として差し引くことができます。

    計算式で求めた譲渡所得額に、マンションの所有期間に応じた税率を乗じて住民税を計算します。※3

    課税譲渡所得金額=譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)

    課税譲渡所得金額×税率=譲渡所得税(住民税・所得税)

    ※取得費:不動産購入代金や仲介手数料、印紙税(印紙代)、不動産取得税など
    ※譲渡費用:仲介手数料、印紙税(印紙代)、立ち退き料(売却するために借主に支払った場合)

    ※取得費 次の①、②のうち大きい金額を使います

    • ①実額法:土地建物の購入代金と取得に要した費用を合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額
    • ②概算法:譲渡収入金額×5%

    住民税はいつどうやって払うの?

    住民税と所得税は、納税のタイミングが異なります。マンションを売却して利益が発生したら確定申告をしなければなりませんが、翌年の確定申告時に納付するのは所得税のみです。

    どちらも譲渡所得税と呼ばれますが、納税のタイミングが異なります。住民税が課税されるタイミングを忘れないようにしましょう。なおマンション売却で住民税が課税されるのは翌年の1度のみです。

    住民税の納税方法は、給与所得者と自営業やフリーランスの人では多少異なります。自身がどちらになるのか確認しながら、ぜひ読み進めてください。

    特別徴収の場合(会社員などの給与所得者)

    会社員など給与所得者は、普段から住民税を特別徴収で納めています。つまり会社の給料から天引きされるかたちで納税しています。

    したがって、不動産売却による住民税の増額分も、給与所得の住民税と一緒に納めることになります。とくに特別な手続きは必要ありません。

    不動産を売却して利益が発生した場合、会社に売却したことが知られることになります。隠しておきたい場合は、普通徴収に切り替えることを検討しましょう。

    普通徴収の場合(自営業やフリーランスの人)

    自営業やフリーランスの方は、普段から住民税を普通徴収で納付しています。マンション売却による住民税の増額分も、他の所得の住民税と一緒に納めることになります。

    役所から毎年決まった時期に送られてくる住民税の納付書を使って、それぞれの期限までに納付します。4期に分かれていますが、1年分を一括で納付することも可能です。それぞれの期日までに、忘れないように納めましょう。

    住民税は申告不要

    マンションを売却して、利益が発生したことについて確定申告によって申告する必要がありますが、住民税については特別に申告する必要はありません。

    給与所得者は給与から天引きされ、自営業者やフリーランスの方は、納付書に増額分も計算されているため、普段通り住民税を納付すれば特段問題ありません。

    マンション売却で住民税を軽減する方法

    マンションを売却して利益が発生しても、一定の条件を満たすことで住民税は軽減できます。合わせて所得税も減らすことにつながりますので、マンションの売却を予定している方はぜひ参考にしてください。

    3,000万円の特別控除の特例を利用する

    居住用の不動産を売却したときは、その所有期間に関係なく、譲渡所得金額から最高で3,000万円を控除できる特例があります。これを「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除といいます。※4

    マンションを売却して利益が発生したときは、マンションの取得や譲渡にかかった費用を経費として差し引くことができますが、さらにこの特例を利用することで3,000万円控除できます。したがって金額によっては、譲渡所得税がかからない可能性があります。

    この特例の適用を受けるための、おもな要件は以下の通りです。

    • 自分が住んでいる建物(建物とともに土地)を売却すること
    • 現在住んでいない場合は、転居した日から3年を経過する日の属する12月31日までに売却すること
    • 自宅を売却した年の前年、もしくは前々年にこの特例もしくは「マイホームの譲渡損失について損益通算および繰越控除」の適用を受けていないこと
    • 親子間や夫婦間の売買ではないこと

    所有期間5年超で売却する

    居住用財産ではない場合、3,000万円の特別控除の特例を利用できません。たとえば投資用のマンションを売却する場合は、所有期間が5年超になるタイミングで売却しましょう。※5

    長期譲渡所得と短期譲渡所得では、税率が2倍近く異なります。売却するタイミングに注意しましょう。

    所有期間10年超で売却する

    自宅マンションを売却するときで、譲渡による利益が高額になるときは、所有期間が10年超となるタイミングで売却を検討しましょう。

    譲渡所得金額の6,000万円以下については、長期譲渡所得よりもさらに低い税率が適用になります。

    住民税所得税
    所有期間10年超の軽減税率(6,000万円以下の部分)4%10%※6
    所有期間10年超の軽減税率(6,000万円超の部分)5%15%※6

    ※所得税については、2027年まで復興特別所得税として基準所得税額に2.1%を乗じて計算した額と、所得税を合算して申告・納付する必要があります。

    この特例の適用を受けるためのおもな要件は、以下の通りです。

    • 自分が住んでいる建物(建物とともに土地)を売却すること
    • 現在住んでいない場合は、転居した日から3年を経過する日の属する12月31日までに売却すること
    • 売却する年の1月1日に所有期間が10年超になること
    • 自宅を売却した年の前年、もしくは前々年にこの特例を受けていないこと
    • 親子間や夫婦間の売買ではないこと

    マンション売却した翌年の住民税のシミュレーション

    マンションを売却して利益が出たときの、住民税の計算をシミュレーションしてみましょう。なお、税金の特例を利用しないケースの計算を紹介します。

    条件

    ・3,000万円で購入したマンションを4,500万円で売却

    ・所有期間:12年

    ・取得するためにかかった費用:100万円(減価償却費を含む)

    ・譲渡するのにかかった費用:160万円

    課税譲渡所得金額=譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)

    住民税=課税譲渡所得金額×税率

    課税譲渡所得金額=4,500万円-(3,100万円+160万円)=1,240万円

    住民税=1,240万円×5%(長期譲渡所得)=62万円

    ちなみに確定申告で納付する所得税の計算式は、以下の通りです。

    課税譲渡所得金額=4,500万円-(3,100万円+160万円)=1,240万円

    所得税=1,240万円×15.315%(所得税・復興特別所得税)=約190万円

    もし3,000万円控除が適用になる場合は、課税譲渡所得金額がゼロになり、マンション売却でかかる住民税(譲渡所得税)もゼロになります。

    計算式は以下の通りです。

    課税譲渡所得金額=4,500万円-(3,100万円+160万円)-3,000万円(特別控除)=0円

    マンションを売却したら翌年に確定申告をする

    マンションを売却して利益が発生したら、翌年の確定申告を忘れないようにしましょう。譲渡所得を計算してゼロになる場合でも、3,000万円の特別控除の適用を受けようとする場合は確定申告が必要です。

    確定申告しないとどうなるの?

    本来納めるべき税金の他に、加算税や遅延税がかかります。申告や納付が遅くなればなるほど遅延税が加算されるため、気がついたらなるべく早く申告しましょう。

    たとえば税金について申告を怠った場合は、無申告加算税が加算されます。納付すべき税金の50万円までの部分は15%、50万円超300万円までの部分は20%、300万円超は30%の加算税が課されます。※7

    確定申告はいつどこでするの?

    確定申告は、原則2月16日~3月15日に行います。所在地を管轄する税務署へ直接申告する方法や申告書を税務署に郵送で送る方法がありますが、e-Tax(電子申告・納税システム)を利用して行うこともできます。

    スマートフォンやパソコンがある場合は、e-Taxが便利です。24時間どこからでも提出でき、途中まで入力したデータを利用して、入力を再開することもできます。

    分からないときは専門家に相談しましょう

    確定申告をし忘れたり、遅れたりすると、ペナルティとして納める税金が増えてしまします。分からないときはそのままにせず、早めに専門家に相談しましょう。

    たとえばマンションが所在する地域を管轄する税務署や、役所で開催している無料税務相談会などでも相談できます。

    不動産会社によっては、提携する税理士の無料税務相談会を定期的に開催していることもあります。まずは、不動産会社に相談してみましょう。

    まとめ

    マンションを売却して利益を得たら、翌年の住民税が上がります。確定申告で所得税を納付しても、終わりではありません。住民税については、翌年の他の所得に対する住民税と一緒に納めることになるので、忘れないようにしましょう。

    居住用のマンションだけでなく、所有期間が長い投資用マンションに対しても、住民税が安くなる税金の特例があります。

    3,000万円の特別控除やマイホームを売却したときの軽減税率の適用を受けるときは、翌年の確定申告が必要です。自動的には適用されないため、忘れないように注意しましょう。


    ※1:総務省、個人住民税
    ※2:国税庁、No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
    ※3:国税庁、土地や建物を売ったとき
    ※4:国税庁、No.3302 マイホームを売ったときの特例
    ※5:国税庁、No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
    ※6:国税庁、No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
    ※7:国税庁、No.2024 確定申告を忘れたとき

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