1年以上売れない家がある場合、「売却できない理由が知りたい」「よい対処法はあるのだろうか」と考える方もいるでしょう。
できる限り早めに物件を売却して、資金面に加えて精神的にも楽になりたいと思うときもあるのではないでしょうか。
物件が長期間売れないのには必ず原因があるため、売却するための対策を実践すれば、不動産取引が成約しやすくなります。
本記事では、1年以上家が売れない理由や不動産を持ち続けるリスク、売却しやすくなる対策などを解説します。
物件を売却できなかった場合の対処法も紹介するため、長期間売れない家を手放せずに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
家が売れるまでにかかる期間は3か月?
東日本不動産流通機構(レインズ)によると、中古物件を新規登録して、成約に至るまでの平均期間は3か月程度です。※1
<登録から成約に至る日数>
年 | 中古戸建て | 中古マンション |
2022 | 81.2 | 71.4 |
2023 | 83.3 | 80.1 |
2024 | 97.3 | 85.3 |
不動産調査や査定、レインズへの登録までに1~2週間かかるとすると、多くの物件が3〜4か月前後で成約していることがわかります。
立地やタイミングによっては長引くことも考えられますが、長く見積もっても3~6か月が目安です。したがって1年以上経過しても家が売れないのには、何かしらの原因があると考えられます。
家が1年以上売れない理由8選
物件が売れない理由を8つ紹介します。場合によっては、複数の原因が影響しているかもしれません。
- 売り出し価格が相場よりも高い
- 築年数が古い
- 室内の汚れや劣化が気になる
- 利便性や立地が悪い
- 内覧時の対応がよくない
- 広告活動が十分ではない
- 不動産会社や担当者のスキル不足
- 競合となる物件が多すぎる
1つずつ当てはまるか確認しながら、読み進めてみてください。
1.売り出し価格が相場よりも高い
売り出し価格が相場と比べて高いことが、売れない原因になっている可能性があります。
売主側からすれば、少しでも高く売りたいと考えるのが普通です。しかし買い手からすれば諸費用もかかることから、少しでも購入価格を抑えたいと考えるでしょう。
つまり立地条件や室内の状態がよく、割安感のある物件から売れていきます。希少性があれば別ですが、同時期に売り出されている物件と比べて価格が高ければ、内覧にもつながらないかもしれません。
売り出してから内覧数が極端に少ないと感じるときは、近隣で売り出されている不動産の価格や成約事例を確認して、売り出し価格を見直すのをおすすめします。

2.築年数が古い
築年数が古い物件は、耐震性を重視する方から敬遠される傾向があります。
耐震基準は大地震が起きるたびに見直され、1981年6月1日以降は震度6強~7程度の揺れに対しても、建物が倒壊しないことが基準になりました。現在の基準を新耐震基準と呼び、以前を旧耐震基準としています。
旧耐震基準だからといって地震ですぐに倒壊するわけではありませんが、現行の基準に適合させるためには耐震補強工事が必要です。
なお築年数が古い物件が敬遠されるのは、現行の耐震基準を満たしていないからだけではありません。
不動産の担保評価の低さから、希望する金額を借り入れできない可能性があり、自己資金が少ない方にとっては購入の妨げになるでしょう。

3.室内の汚れや劣化が気になる
内覧数は一定数あるものの、その後成約に至らないのは、室内の見た目や状態の悪さが要因になっていることもあります。
築年数が新しくても清掃が行き届いていなかったり、整理整頓ができていなかったりすると印象が悪く、購入希望者も買う気持ちが失せてしまいます。
買い手はもちろん物件を買うのですが、予想以上に売主の暮らしぶりを気にしている傾向があります。内覧前になるべくきれいに清掃し、家財道具も整理整頓を心がけましょう。
またタバコの臭いやペットの汚れは敬遠されることが多いため、内覧前に窓を開けて換気し、必要に応じて消臭スプレーも活用してください。
4.利便性や立地が悪い
不動産を購入する方の多くは、交通や生活の利便性を重視するため、立地条件が悪い物件は売れにくい傾向があります。
たとえば最寄り駅までの距離が遠い、バスの便が悪い、近くにスーパーや商業施設などがない環境だと、多くの需要は期待できません。駅に近い物件と比べると、反響も少ないでしょう。
利便性が悪くても駅前より静かな環境で落ち着ける、公園が多くて子育て向きなど、売ろうとしている家の立地ならではのよい面も探せばあるはずです。
あらためて物件のメリットを考えて、内覧時には上手にアピールできるようにしましょう。また不動産会社の担当者とも共有し、ぜひ広告で物件の魅力を伝えてください。
5.内覧時の対応がよくない
家が売れない理由は、物件自体が原因とは限りません。内覧時の対応が悪いと、買主候補や物件のイメージが悪くなり、売れない原因になることもあります。
たとえば家を早く売りたいからといって、アピールしすぎるのは印象が悪くなる可能性があるためおすすめできません。
基本的には不動産会社の担当者に任せるようにし、ゆっくり見てもらうように心がける必要があります。
とはいえ、無愛想な対応や返答もよくありません。質問が出たら快く答え、引っ越し後の生活がイメージできるように情報を提供するようにしましょう。
6.広告活動が十分ではない
家が売れない理由として、不動産会社の広告活動が十分ではない可能性があります。
需要が見込める物件だとしても、購入希望者に認識してもらえていない、もしくは不動産の魅力が広く伝わっていないのかもしれません。
まず不動産会社の公式サイトに加えて、不動産ポータルサイトに掲載してもらえているのか確認しましょう。
実際に掲載されている紙面やWebサイトを確認し、紹介文や室内写真もチェックするのをおすすめします。
7.不動産会社や担当者のスキル不足
不動産会社や担当者には、少なからず得手不得手があります。家を売却するのであれば、物件の売却が得意な不動産会社に依頼しましょう。
また家の売却がスムーズに進められるかどうかは、不動産会社の担当者のスキルにも大きく左右されます。
不動産会社の規模だけでなく、担当者の積極性や自身との相性も重視して信頼できる依頼先を選んでください。
8.競合となる物件が多過ぎる
不動産がスムーズに売却できるかどうかは、需要と供給が大きく影響します。つまり需要が高ければ早期に売却できますが、供給(物件)が多すぎると競合してしまい、価格競争になりかねません。
同時期に比較検討されそうな物件が多く売りに出されていると、好条件の物件から取引されていきます。
家を売りに出すときは、競合物件の状況や動向をチェックするようにしましょう。
1年以上家が売れないとどうなる?
通常は3〜4か月程度で売却できる家が、1年以上売れないと次のようなデメリットがあります。
- 資産価値が低下する
- 維持費が必要になる
- 管理責任を求められる
基本的に売れない家を放置しておいてもよいことはないため、まずはデメリットを理解して対策をしてください。
資産価値が低下する
一部の好条件の住宅を除き、一戸建てやマンションは時間が経過するにつれて、資産価値が低下するケースが一般的です。
つまり中古物件を取引する際は、早く売るほど高い金額で売れるため、できる限り売却期間を短くしたほうが手元に多くのお金を残せます。
木造の一軒家の場合、国税庁が定める法定耐用年数は22年とされており、22年経過した家は建物自体の評価が低くなり、土地の価値が主な評価対象となる可能性があります。
資産価値の低下を最小限にするために、売れていない家を早く売却する対策が必要になります。
維持費が必要になる
1年以上の長期間にわたり家が売れないと、物件の維持費が必要になるのも見逃せない注意点です。
1月1日時点で不動産を所有している方に課される固定資産税に加えて、売ろうとしている家に住んでいない場合は、メンテナンス費用もかかります。
仮にメンテナンスを怠って、家が特定空家に認定されれば住宅用特例が利用できなくなり、土地の固定資産税が最大6倍(※)になるため要注意です。
家が売れなくても、固定資産税やメンテナンス費用の維持費がかかり続けることを考えると、物件は早めに売却する必要があります。
※参照元:空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!(政府広報オンライン)
管理責任を求められる
売ろうとしている家に住んでいない場合でも、不動産所有者には管理責任があります。
仮に外壁材の落下や建物の倒壊などで、建築物や人的被害が発生した場合は、民法第717条に基づいて所有者が損害賠償責任を負う可能性があります。
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
引用元:e-Gov 法令検索「民法」
他にもメンテナンスをせずに害虫が発生したり、動物のすみかになったりして近隣住民に被害が出れば、罰金が課されるケースも考えられます。
管理責任を求められる側面でも、売れない家を所有し続けるのはリスクがあり、おすすめできません。
1年以上売れない家は値引きが必要?
売却活動をはじめて1年以上家が売れないときは、値引きが必要なのかと悩む方もいるでしょう。
家が売れない理由が売り出し価格の場合は値引きが効果的なため、一度検討してみる必要があります。
売れない家を値引きする際の注意点を解説するため、売り出し価格を下げようとしている方は参考にしてください。
相場価格を把握して値引きを検討する
1年以上売れない家の値引きを検討する際は、まず相場価格を把握する必要があります。
相場より高すぎる家は当然ながら売れませんが、売り出し価格が安すぎる物件も違法建築や事故物件を疑われ、売却できないケースがあります。
こうした事態を防ぐため、近隣地域で同じような条件の物件の売り出し価格を確認して、相場から極端に離れていないかを確認してください。
値引きを検討する際は信頼できる不動産会社に相談しながら、売り出し価格を決めると売れそうな金額がわかるでしょう。
何度も値引きを繰り返さない
1年以上売れない家を値下げするときは、何度も売り出し価格を下げないようにしてください。
価格を下げれば売れる可能性は上がりますが、何度も値引きを繰り返していると、売り急いでいると思われて、さらに安く買い叩かれるおそれがあります。
また、売却活動中には購入希望者からの値下げ交渉があるため、相場に見合う価格を設定できていれば、値引きを繰り返す必要はありません。
相場価格で販売しても売れない場合は、価格以外に売れない理由があると考えてよいでしょう。
1年以上売れない家を売却するための対策9選
1年以上にわたり売却できない家を売るためには、次の9つの対策を実践しましょう。
- 広告用の写真を差し替える
- 内覧時の対応を見直す
- リフォーム・修繕をおこなう
- ハウスクリーニングを依頼する
- インスペクションを実施する
- 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)に関する保険をつける
- 不動産会社・媒介契約を変える
- 買取による売却を検討する
- ホームステージングを活用する
同時にできる対策も複数あるため、家を売りたいと考えている方は、ぜひ紹介する対策をしてみてください。
1.広告用の写真を差し替える
広告用の写真の見栄えがよくないと感じるときは、不動産会社に相談して差し替えを検討しましょう。
Webサイト上に掲載している写真を見て、内覧するかどうか判断している方も多く、写真選びは想像以上に重要です。
念入りに清掃し、整理整頓したうえで撮影するのをおすすめします。また、なるべくお天気のよい日に撮影して、昼間でも照明を点灯しておくとよいでしょう。
不動産会社によっては、プロのカメラマンによる撮影を、オプションやサービスで用意していることもあります。
2.内覧時の対応を見直す
物件の内覧数はあるものの、なかなか成約にいたらないと感じるときは、内覧時の対応を変えてみましょう。
現在住んでいる家の内覧は、家族全員で対応する必要はありません。室内に人が多すぎるとゆっくり内覧できない可能性もあるため、とくに小さな子どもがいる場合は、内覧前に外出するのもおすすめです。
また内覧前に念入りに清掃し、整理整頓に努めるのはもちろん、窓を開けて換気をして臭い対策も忘れないようにしてください。
内覧時の対応を見直して、物件の魅力や注意点などを誠実に伝えれば、買主候補からのイメージもよくなり、成約率を上げられるでしょう。

3.リフォーム・修繕をおこなう
1年以上家が売れない場合は、リフォームや修繕をおこなうのも選択肢の一つです。
経年劣化によって汚れや痛みが目立ち、専門業者でないと改善が難しいような場合は、リフォームや修繕が有効なときもあります。
畳が汚れすぎている、フローリングの劣化が激しいなどのケースは、一度不動産会社の担当者に相談してみましょう。
独断でリフォームをしても買主候補が気に入らない可能性があるため、担当者に相談しながら売却につながる修繕を検討してください。
4.ハウスクリーニングを依頼する
忙しくて清掃ができないときや、汚れを落とすのが難しい箇所は、ハウスクリーニングを検討しましょう。
当然ながら物件の状態がきれいなほうが買主候補の印象もよくなり、成約につながる可能性を高められます。
ただし、室内すべてをハウスクリーニングすると高額な費用がかかるうえに、コストを売買価格に上乗せできるわけではありません。
ハウスクリーニングを検討する際は、不動産会社の担当者とも相談し、水回りや玄関のみにしておくなど、費用対効果を考えて依頼しましょう。

5.インスペクションを実施する
築年数が古い物件がなかなか売れないときは、インスペクションの実施が有効です。インスペクションとは、専門家による建物診断で、不動産の基礎や構造上主要な部分に不具合がないか調査することをいいます。
家のインスペクションを依頼する場合、5~7万円が相場です。インスペクションを利用すれば買い手側にとっては安心材料に、売主側にとっては競合物件との差別化になります。
インターネットでインスペクションをおこなう専門会社を探せますが、不動産会社によっては斡旋していることもあります。まずは実施したほうがよいかを含めて、不動産会社に相談してみてください。

6.瑕疵担保責任保険をつける
物件の築年数が古く、引渡し後に不具合が出そうなときは、瑕疵担保責任保険の加入を検討しましょう。仮に不具合の補修が必要になった場合、保険金が出るためもしものときも安心です。
瑕疵担保責任保険に加入する前に専門家によるインスペクションが必要で、保険加入には7~15万円かかります。
瑕疵担保責任保険付きで売却できるため、買い手側は安心して購入できます。また売主としても、もしもの際に備えられるでしょう。
7.不動産会社・媒介契約を変える
不動産会社の積極的な活動が期待できないと感じるときや、担当者との相性が悪いと感じる場合は、業者や媒介契約を変更する方法があります。
媒介契約の種類や特徴は、次の表を参考にしてください。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数社との契約 | 〇 | × | × |
レインズへの登録 | 任意 | 義務(7営業日内) | 義務(5営業日内) |
売主への業務報告 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
自己取引 | 〇 | 〇 | × |
契約有効期間 | 法律上の制限なし | 3か月以内 | 3か月以内 |
現在どのような契約なのかを確認し、必要に応じて媒介契約を変えると、売却できる可能性を上げられます。
ただし専属専任媒介契約の期間中に解約し、その後他社で成約した場合、それまでにかかった広告費を請求される可能性があるため注意が必要です。
8.買取による売却を検討する
1年以上家が売れないときは、買取による売却を検討しましょう。売買契約や引渡しの時期について相談できることも多く、住み替えを予定している場合でも、スムーズに取引を進められます。
ただし買取の場合、売買価格が相場の7~8割程度になるケースが多いため、資金計画に無理がないか確認したうえで進めるようにしてください。
なお不動産会社と直接売買する場合は、仲介手数料はかかりません。
9.ホームステージングを活用する
空き家が長期間売れない場合は、ホームステージングを活用するのもよいでしょう。
ホームステージングとはプロが内装や家具、照明などのインテリアを配置して、モデルルームのように魅力的な物件に見せる手法です。
殺風景な空き家ではなく、ホームステージングを活用して生活するイメージを持ってもらいやすくすれば、内覧時の印象がよくなり成約率がアップします。
ただし、家具のレンタル代や設置費用が発生するため、不動産会社の担当者と相談しながら、費用対効果の高いプランを選んでください。
1年以上売れない家を売るときの注意点
1年以上売却できていない家を売る際は、次の点に注意する必要があります。
- リフォームに費用をかけすぎない
- 不動産会社を頻繁に変えない
- 賃貸物件として貸し出す場合はリスクを把握する
上記の注意点を意識すれば、後悔する可能性を大きく減らせるため、長期間売れない家を所有している方は参考にしてください。
1.リフォームに費用をかけすぎない
マンションや戸建て住宅を売る際に、基本的に大規模なリフォームは必要ありません。不具合や気になる汚れがあれば、買主に説明して売却します。
「3.リフォーム・修繕をおこなう」の章で解説したとおり、状態によってはリフォームが有効なケースもあります。
ただし壁紙を全部張り替える、畳をフローリングにするなど、リフォームをしすぎると買主の希望と合わなくなるケースもあるため要注意です。
買主候補によってはある程度自身でリフォームするつもりで、中古物件を購入する方も珍しくはありません。
また、リフォームにかけた費用は売買価格に上乗せできないため、修繕を検討する際は不動産会社の担当者に相談してください。

2.不動産会社を頻繁に変えない
不動産会社を頻繁に変えるのは、基本的におすすめできません。もし既存の不動産会社を解約し、新しい業者へ依頼すると、広告活動をはじめるまでに数週間かかります。
つまり、広告活動がストップする期間ができ、売れるまで余計に時間がかかる可能性があります。
もし変更する場合でも3か月以上は様子を見るようにし、専任媒介契約から一般媒介契約に変更して、依頼先を増やすのも検討してみてください。

3.賃貸物件として貸し出す場合はリスクを把握する
家がいつまでも売れない場合、賃貸物件として貸し出そうと考える方もいるでしょう。
家を貸し出す際は、壁紙の張り替えや設備の交換などのリフォーム費用に加えて維持費がかかるため、注意する必要があります。
また、貸し出しても住人が決まらない空室リスクもあり、必ず家賃収入を得られるわけではありません。
また一度家を貸し出すと、貸主の都合で住人に立ち退きをしてもらうのは難しくなります。将来のことも考えてから、家を貸し出すようにしましょう。
それでも家が売れない場合の対処法3選
さまざまな対策を実施しても、家を売却できないケースも考えられます。
物件を仲介で売却できなくても更地にして売ったり、不動産会社の引き取りサービスを利用したりできるため、焦る必要はありません。
どうしても家が売れないときの対処法を3つ紹介します。
1.更地にして土地のみを売る
さまざまな対策を講じても家が売れない場合は、更地にして土地のみを売るのを検討しましょう。
更地にすれば活用方法が増えるため、マイホーム購入やアパート経営を検討している業者など、買い手の幅も広がります。
ただし、更地にする場合、物件の規模や地域により50万円~300万円程度の解体費用がかかるうえに、土地のみになると固定資産税が高くなります。
1年以上売れない家を更地にして売却するのを検討する際は、自身の判断で進めるのではなく、信頼できる不動産会社に相談しましょう。
2.寄付や譲渡する
ずっと売れない家を手放すためには、寄付や譲渡をするのも選択肢の一つです。
物件を寄付または譲渡できれば、固定資産税やメンテナンス費用などの維持費がかからなくなります。
ただし、家を売れば得られるはずだったお金を受け取れなくなる、自治体に寄付しようとしても拒否される可能性があるなどの点がデメリットです。
譲渡する先は個人や法人が考えられますが、無償だとしても税金がかかるケースもあるため、専門家に確認しながら検討しましょう。
3.不動産会社に引き取ってもらう
1年以上買主が見つからない場合は、不動産会社の引き取りサービスを利用するのもおすすめです。
買取と引き取りサービスの主な特徴や違いは、次の表を参考にしてください。
買取 | 引き取りサービス | |
取引 | 売却額を受け取れる | 所有者が支払う |
断られるケース | あり | 基本的になし |
メリット | 売却額を得られる | 高確率で物件を手放せる |
デメリット | 仲介より価格は安くなる | 法規制が弱い |
ただし引き取りサービスは比較的新しいビジネスのため、引取料が不明瞭、宅建業の免許がない業者の可能性があるなどの注意点があります。
長期間家が売れないときは、まず不動産会社に買取できるかを聞くとよいでしょう。
1年以上売れない家に関するよくある質問
不動産会社に依頼しても1年以上売れない家がある場合、空き家バンクに登録したほうがよいのか、放棄できるのかなどが気になる方もいるでしょう。
よくある質問に回答しているため、気になる質問があればぜひ参考にしてください。
新築物件が売れない原因とは?
新築の物件にもかかわらず売れない場合は、次のような原因が考えられます。
- 設定価格が高い
- 需要の少ないエリアにある
- デザイン面に魅力がない
- 中古住宅市場が活発化している
まずは周辺相場を把握して、価格の見直しを検討するとよいでしょう。
自治体の空き家バンクに登録したほうがよい?
各自治体の空き家バンクへの登録を検討している方は、次のメリットとデメリットを把握したうえで決めてください。
メリット | デメリット |
・無料で掲載できる ・資産価値にかかわらず登録できる ・補助金や助成金がもらえることもある | ・業者のような宣伝活動はない ・修繕は自費でおこなう ・トラブルへの対応も自身でおこなう |
空き家バンクは無料で物件を掲載できますが、不動産会社に依頼したほうが早く売れる可能性もあります。
自身で修繕やトラブル対応ができる方は空き家バンク、業者に任せたい方は不動産会社に依頼するとよいでしょう。
売れない不動産は放棄できる?
売れない不動産は放棄できません。所有権がある場合は、売却や譲渡により権利を移転させる必要があります。
処分したい家がある場合は、不動産会社に買取できるかを聞いてみましょう。
また、売れない不動産を相続する前であれば放棄できますが、他の財産もすべて受け取れなくなります。
まとめ
家が1年以上売れない理由や売却するための対策、どうしても処分したいときの対処法などを解説しました。
物件が長期間売却できないのには何かしらの理由があるため、改善する対策を実施すれば、家が売れやすくなります。
また、どうしても家が売れない場合は、更地にして売却したり、不動産の引き取りサービスを利用したりすれば家を手放せます。
1年以上売れない家を所有している方は、本記事で解説した対処法や注意点などを参考に、不動産会社と相談しながら物件の売却を成功させましょう。