なぜ1年以上マンションが売れないのでしょうか?中古マンションは3~6カ月程度で成約しているケースが多く、1年以上経っても売れないのなら何か原因があるはずです。
この記事では、マンションが1年以上売れない8つの理由と、具体的な対処法を解説します。また合わせて、家を売却する際に注意すべきポイントも紹介します。
1年以上売れなくて悩んでいる方だけでなく、これからマンションを売却する予定の方も対処法を実践して、スムーズなマンション売却を目指しましょう。
中古マンションが売れるまでにかかる期間は3カ月?
東日本不動産流通機構(レインズ)の「首都圏不動産流通市場の動向2023年」によると、中古マンションを新規登録して、成約に至るまでの平均日数は80.1日です。※1
不動産調査や査定、レインズへの登録までに1~2週間かかるとすると、多くの物件が3カ月前後で成約しているということになります。
立地やタイミングによっては長引くことも考えられますが、長く見積もっても3~6カ月が目安です。したがって1年経っても売れないのには、何かしらの原因があると考えられます。
マンションが1年以上売れない理由8選
マンションが売れない理由を8つ紹介します。場合によっては、複数の原因が影響しているかもしれません。ぜひ1つずつ当てはまるか確認しながら、読み進めてみてください。
- 売り出し価格が相場よりも高い
- 築年数が古い
- 室内の汚れや劣化がきになる
- 利便性や立地が悪い
- 内覧時の対応が良くない
- 広告活動が十分ではない
- 不動産会社や担当者のスキル不足
- 競合となる物件が多すぎる
1.売り出し価格が相場よりも高い
売り出し価格が相場価格と比べて高いことが、売れない原因になっている可能性があります。売る側からすれば、少しでも高く売りたいと考えるのが普通です。しかし買い手からすれば諸費用もかかることから、少しでも購入価格を抑えたいと考えるでしょう。
つまり立地条件や室内の状態がよく、割安感のあるマンションから売れていきます。希少性があれば別ですが、同時期に売り出されている物件と比べて価格が高ければ、内覧にも至らないかもしれません。
売り出してから内覧数が極端に少ないと感じるときは、近隣で売り出されているマンションの価格や成約事例を確認して、売り出し価格を見直すことをおすすめします。
2.築年数が古い
築年数が古いマンションは、耐震性を重視する人から敬遠される傾向があります。マンションの耐震基準は大きな地震が起きるたびに見直され、1981年6月1日以降は震度6強~7程度の揺れに対しても、建物が倒壊しない構造であることが求められるようになりました。これを新耐震基準といい、それ以前の旧耐震基準と区別されます。
旧耐震基準だからといってすぐに倒壊するわけではありませんが、現行の基準に適合させるためには耐震補強工事が必要です。
なお築年数が古いマンションが敬遠されるのは、現行の耐震基準を満たしていないからだけではありません。マンションの担保評価の低さから、希望する金額を借入れできない可能性があり、自己資金が少ない人にとっては購入の妨げになるでしょう。
3.室内の汚れや劣化が気になる
内覧数はある程度あるものの、その後成約に至らないのは、室内の見た目や状態の悪さが要因になっていることもあります。
築年数が新しくても清掃が行き届いていなかったり、整理整頓ができていなかったりすると印象が悪く、購入希望者も買う気持ちが失せてしまうのです。
買い手はもちろんマンションを買うのですが、予想以上に売主の暮らしぶりが気になるものです。内覧前になるべく綺麗に清掃し、家財道具も整理整頓を心がけましょう。
またタバコのニオイやペットの汚れは敬遠されることが多いため、内覧前に窓を開けて換気し、必要に応じて消臭スプレーも活用しましょう。
4.利便性や立地が悪い
マンションを購入する人の多くは、交通や生活の利便性を重視する傾向があり、立地条件が悪いマンションは売れにくい傾向があります。
たとえば最寄り駅からバス便の立地や、近くにスーパーなど商業施設がない環境であると、多くの需要は臨めません。駅に近いマンションと比べると、反響も少ないでしょう。
あらためてマンションのメリットを考えて、内覧時には上手にアピールできるようにしましょう。また不動産会社の担当者とも共有し、ぜひ広告紙面などに反映してもらうようにしてください。
5.内覧時の対応が良くない
マンションが売れない理由は、マンション自体が原因とは限りません。内覧時の対応が悪いと、その度合いによっては売れない原因になることもあります。
たとえばマンションを早く売りたいからといって、アピールし過ぎるのも考えものです。基本的には不動産会社の担当者に任せるようにし、ゆっくり見てもらうように心がけます。
しかし、不愛想な返答もよくありません。質問が出たら快く答え、引っ越し後の生活がイメージできるように情報を提供するようにしましょう。
6.広告活動が十分ではない
マンションが売れない理由として、不動産会社の広告活動が十分ではない可能性があります。十分需要が見込めるマンションだとしても、購入希望者に認識してもらえていない、もしくはマンションの魅力が広く伝わっていないのかもしれません。
まず不動産会社のホームページだけでなく、不動産ポータルサイトへも掲載してもらえているのか確認しましょう。実際に掲載されている紙面やWEBサイトを確認し、紹介文や室内写真もチェックすることをおすすめします。
7.不動産会社や担当者のスキル不足
不動産会社には、少なからず得手不得手があります。マンションを売却するのであれば、マンション売却が得意な不動産会社に依頼するようにしましょう。
またマンション売却がスムーズに進められるかどうかは、不動産会社や担当者の力量によるところも大きいため、不動産会社の規模だけでなく、積極性や相性も重視して依頼先を選ぶようにしましょう。
8.競合となる物件が多過ぎる
不動産がスムーズに売却できるかどうかは、需要と供給が大きく影響します。つまり需要が高ければ早期に売却できますが、供給(物件)が多すぎると競合してしまい、価格競争になりかねません。
同時期に比較検討されそうなマンションが多く売りに出ていると、好条件の物件から売れていきます。したがって売りに出す時は、競合物件の状況や動向をチェックするようにしましょう。
マンションをなるべく早く売却するための対処法8選
次に、マンションをなるべく早く売却するための対処法を8つ紹介します。マンションが売れない原因によっては、ぜひ複数の対処法を実践してみてください。
- 広告用の写真を差し替える
- 内覧時の対応を見直す
- 相場価格を把握して適正価格で売り出す
- ハウスクリーニングを依頼する
- インスペクションで実施する
- 瑕疵担保責任保険をつける
- 不動産会社・媒介契約を変える
- 買取による売却を検討する
1.広告用の写真を差し替える
広告用の写真の見栄えが良くないと感じるときは、不動産会社に相談し、差し替えを検討しましょう。WEBサイト上に掲載している写真を見て、内覧するかどうか判断している人も多く、写真映りは想像以上に重要です。
念入りに清掃し、整理整頓したうえで撮影することをおすすめします。また、なるべくお天気の良い日に撮影するようにし、昼間でも照明を点灯しておくと良いでしょう。
ちなみに不動産会社によっては、プロのカメラマンによる撮影を、オプションやサービスとして用意していることもあります。
2.内覧時の対応を見直す
マンションの内覧数はあるものの、なかなか成約に至らないと感じるときは、内覧時の対応を変えてみましょう。
内覧時に、家族全員で対応する必要はありません。室内に人が多すぎるとゆっくり内覧できない可能性もあるため、とくに小さな子どもがいる場合は、内覧前に外出しておくのもおすすめです。
また内覧前に念入りに清掃し、整理整頓に努めるのはもちろん、窓を開けて換気をしてニオイ対策も忘れないようにしましょう。
マンションが売れないのは、相場価格よりも高い可能性があります。資金計画にゆとりがあれば、値下げすることも視野に入れましょう。
3.相場価格を把握して適正価格で売り出す
相場価格を知ることも重要です。不動産会社に相談し、競合となるマンションの売り出し価格や成約事例を聞いてみましょう。
1年以上売れない状況が続くと、売れ残り感がでてしまい、結局値下げせざるを得なくなります。値下げをするのであれば、なるべく早めに対処しましょう。
4.ハウスクリーニングを依頼する
忙しくて清掃ができないときや、汚れを落とすのが難しいときは、ハウスクリーニングを検討しましょう。
室内すべてのハウスクリーニングを依頼すると、どうしても高額になってしまいますが、かけた費用を、売買価格に上乗せできるわけではありません。不動産会社の担当者とも相談し、費用対効果を考えて依頼するようにしてください。
5.インスペクションを実施する
築年数が古いマンションの対処法としては、インスペクションの実施が有効です。インスペクションとは、建築士など有資格者による建物診断のことです。マンションの基礎や、構造上主要な部分に不具合がないか調査することをいいます。
マンションのインスペクションを依頼する場合、5~7万円が相場です。インスペクションを利用することで買い手側にとっては安心材料に、売り手側にとっては競合マンションとの差別化になります。
インターネットなどでインスペクションを行う専門会社を探すこともできますが、不動産会社によっては斡旋していることもあります。まずは不動産会社に実施の有無も含めて、相談してみてください。
6.瑕疵担保責任保険をつける
マンションの築年数が古く、引渡し後に不具合が出そうなときは、瑕疵担保責任保険の加入を検討しましょう。補修にかかる費用が保険金として保険事業者から支払われるため、もしものときも安心です。
瑕疵担保責任保険に加入する前に専門家によるインスペクションが必要で、保険加入には7~15万円かかります。
瑕疵担保責任保険付きで売却できるので、買い手側は安心して購入することができます。また売主としても、もしもの際に備えることができるでしょう。
7.不動産会社・媒介契約を変える
不動産会社の積極的な活動が期待できないと感じるときや、担当者との相性が悪いと感じるときは、不動産会社を変更する方法があります。
ただし専任媒介(専属専任媒介)契約の期間中に解約し、その後他社で成約した場合、それまでにかかった広告費を請求される可能性があるため注意が必要です。不動産会社のあきらかな落ち度がない限り、媒介契約が終了するタイミングで依頼先を変更するようにしましょう。
また依頼している不動産会社との媒介契約を一般媒介に変更し、他にも依頼先を増やす方法もあります。
8.買取による売却を検討する
1年以上マンションが売れないときは、買取による売却を検討しましょう。売買契約や引渡しの時期について相談できることも多く、住み替えを予定している場合などは、スムーズに買い替えを進めることができるのでおすすめです。
不動産会社や買取専門の不動産会社へ買取を相談することになりますが、売買価格が相場の7~8割程度になるケースが多いため、資金計画に無理がないか確認したうえで進めるようにしてください。なお不動産会社と直接売買する場合は、仲介手数料はかかりません。
1年以上売れない家を売るときの注意点
1以上マンションが売れない状況が続くと、多くの人はどうしてよいかわからず、極端な手段を選びがちです。あとになって後悔しないためにも、よく考えた上で対処するようにしましょう。
最後に1年以上家が売れないときに注意すべきポイントを3つ紹介します。
- リフォームに費用をかけすぎない
- 不動産会社を頻繁に変えない
- 賃貸物件として貸し出す場合はリスクを把握する
1.リフォームに費用をかけすぎない
マンションや戸建て住宅を売る際に、基本的にはリフォームは必要ありません。不具合や気になる汚れがあれば、買主に説明して売却します。
「家の見栄えが悪いから売れない」と感じるときは、リフォームを検討する人もいるでしょう。クロスにカビが生えていたり、襖や障子に穴が開いていたりするなど、状態によってはリフォームが有効なケースもあります。
しかしリフォームにかけた費用は、基本的に売買価格に上乗せできるわけではありません。つまり持ち出しになってしまい、自己資金を減らすことになります。リフォームを検討するときは独断で決めす、不動産会社に相談するようにしてください。
2.不動産会社を頻繁に変えない
不動産会社を頻繁に変えることは、基本的におすすめできません。もし既存の不動産会社と解約し、新しい不動産会社へ依頼すると、広告活動を始めるまでに数週間かかります。つまり、広告活動がストップする期間ができてしまうのです。
もし変更する場合でも3カ月以上は様子を見るようにし、専任媒介契約から一般媒介契約に変更して、依頼先を増やすことも検討してみてください。
3.賃貸物件として貸し出す場合はリスクを把握する
買い先行した場合、いつまでも売却できないと賃貸物件として貸し出すことを考えるかもしれません。賃貸収入を得られれば問題ありませんが、空室になるリスクも想定しておきましょう。
賃貸物件として貸し出す場合、リフォームや維持に費用がかかります。賃貸収入よりもリフォーム費用の方が大きくならないように注意してください。
また一度貸し出してしまうと、貸主の都合で借主に立ち退きしてもらうことは難しいものです。将来のことも考えてから、賃貸物件として貸し出すようにしましょう。
まとめ
1年以上マンションが売れない理由と、具体的な対処法について解説しました。マンションが売れない原因を把握し、適正に対処することで早期売却も夢ではありません。
まずは何が売れない原因になっているのか、理解することから始めてみてください。また、ぜひ注意すべきポイントも参考にして、マンション売却を成功させましょう。