「マンションの売却金はいつ入金されるんだろう…」
「そもそも、マンション売却の流れがわからない…」
など、マンション売却に不安はつきものです。
マンションの売却金を、ローン返済や新居購入に充てる方はとくに、入金のタイミングは大切です。
本記事では、マンション売却における以下のポイントを解説します。
- 売却金の入金時期
- マンション売却の全体の流れ
- マンション売却にかかる費用
新居を購入するタイミングや、住み替えで注意すべきポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
マンション売却の代金はいつ入金される?
マンションの売却金が入金されるタイミングは、次の2つです。
- 売買契約の締結時
- マンションを引き渡し時
それぞれ詳しく解説します。
売買契約の締結時
マンション売却では、売買契約締結時に買主から手付金が支払われます。
手付金は売却金の5〜10%程度が相場です。
たとえば、7,000万円でマンションを売却した場合、売買契約締結時に手付金として350万〜700万円が入金されます。
また売買契約の締結時に、地域によっては不動産会社への仲介手数料の半分を支払うケースが一般的なため、資金計画に入れておきましょう。
マンションの引き渡し時
手付金を差し引いた売却金は、マンションの引き渡し時に買主から支払われます。
マンションを7,000万円で売却した場合、たとえば手付金として350万円受け取っていれば、残りの6,650万円を受け取ります。
金額が大きいため、現金ではなく銀行口座への振込みが一般的です。
またマンション引渡し時に、地域によっては不動産会社に仲介手数料の残りの半分を支払います。

マンション売却の流れと入金のタイミング
マンション売却の流れは、以下のとおりです。
- 不動産会社に相談する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- マンションを売り出す
- 買い手と売買契約を結ぶ
- マンションを引き渡す
- 確定申告をおこなう
マンションの売却金が入金されるタイミングは、ステップ4と5です。
それぞれのステップを詳しく解説します。
1:不動産会社に相談する
まずは、不動産ポータルサイトや一括査定サイト等を利用して複数の不動産会社に一括査定を依頼します。
マンションの価格査定は無料です。マンションの売却価格を決める際には基準相場を知る必要があるため、複数の不動産会社に訪問査定を依頼しましょう。
また、査定前の事前準備として次をおこなうことで、相談や査定がスムーズに進みます。
- 売却のタイミングを家族で話し合う
- 将来的のイベントやライフプランを明確にする
- 不動産会社への予約時に必要書類を確認する
複数の不動産会社の査定額や対応を比較し、契約する不動産会社を選びましょう。
不動産ポータルサイトで一括依頼をしてから査定までは、1ヵ月程度が目安です。
ただし、不動産一括査定サイトや不動産会社が公開しているAI査定を利用することで、当日査定額を把握することも可能です。

2:不動産会社と媒介契約を結ぶ
マンションの売却を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。
媒介契約は、不動産会社に売買取引の成立に向けての活動を依頼する契約です。
媒介契約を結ぶ不動産会社選びのポイントは、次のとおりです。
- 査定額の根拠が明確
- 査定額が相場から離れすぎていない
- マンション売却の実績が豊富
- 信頼できる担当者がいる
早期売却や、より高値での売却を目指すためには、マンション売却の実績が豊富で、信頼できる担当者のいる不動産会社を選びましょう。
不動産会社に査定を依頼してから媒介契約締結までは、1ヵ月程度が目安です。
3:マンションを売り出す
媒介契約締結後は、不動産会社がマンションの売却活動を開始します。
売却活動は不動産会社がおこないますが、売却価格の設定や内見希望者の対応などは、売り手の協力も必要です。
不動産会社のマンションの売り出し方は、次のとおりです。
- 一般向けの不動産情報サイト物件の情報を掲載する
- チラシをポスティングする
一般向けの不動産情報サイトとは、スーモやアットホームなどで、賃貸物件の情報掲載もされており、多くの方の目に留まりやすいサイトです。
内覧希望者が現れたら日程を調整して対応し、物件の魅力のみではなく、デメリットも誠実に伝えましょう。
4:【入金】買い手と売買契約を結ぶ
売却活動や内見を経て、買い手が見つかったら、売買契約を結びます。売買契約は、1回目の入金のタイミングです。
入金される手付金は、不動産取引における売買契約が成立した証として、買い手が売り手に支払うお金を指します。
手付金の相場は、売却金の5〜10%ほどの金額です。
売買契約は一般的に売り手や買い手、業者の担当者や司法書士同席のもと、不動産会社でおこないます。
マンションの売却活動を始めてから、売買契約を結ぶまでの期間は、3ヵ月程度が目安です。
ただし、買い手が見つかるスピードは、物件の条件や選ぶ不動産会社などにより違います。
5:【入金】マンションを引き渡す
売買契約締結後は金融機関に融資の本審査を依頼し、通過すればマンションの引き渡しと不動産の所有権移転登記をおこないます。
引き渡し当日に金融機関から口座に必要な金額が入金されますので、売り手への支払いや各支払先への振込を行います。
一般的に、売買契約から引き渡しまでの期間は2ヵ月程度です。
不動産会社に相談してから、マンションを引き渡すまでに必要な期間は、6ヵ月〜1年程度と考えましょう。
6:確定申告をおこなう
マンションを売却したら、翌年に確定申告をおこないます。
マンションの売却による利益は給与所得と異なるため、サラリーマンでも確定申告が必要です。
譲渡所得に対する確定申告は、給与所得者の年末調整とは別に行う必要があります。譲渡所得が発生した場合や、特例・控除を利用する場合は、必ず翌年に確定申告が必要です。
確定申告は、現住所を管轄する税務署に、申告書と必要書類を提出しておこないます。
国税庁が運営するe-Tax(イータックス)を利用すれば、オンライン申告もできます。
確定申告の期間は、マンションを売却した翌年の2/16〜3/15のため、忘れずおこないましょう。
マンション売却時におけるお金の流れに関する注意点
マンション売却時のお金について、次の3点に注意しましょう。
- 引き渡し完了まで手付金は使用しない
- 残金の入金は時間がかかる
- 仲介手数料は2回に分けて支払う
それぞれ詳しく解説します。
引き渡し完了まで手付金は使用しない
手付金は売上金の一部であり売り手の所有物ですが、引き渡し完了まで使用せずに慎重に管理しましょう。
不動産取引では契約解除の可能性があり、仮に売り手の都合で契約解除となった場合には、手付金の2倍の金額を支払う必要があります。
万が一のことを考え、手付金は引き渡し完了後に使用しましょう。
残金の入金は時間がかかる
売却金から手付金を除いた残金は、マンションの引き渡し時に入金されますが、多くの場合時間がかかります。
残金の入金に時間がかかる理由は、次のとおりです。
- 金融機関による買い手の審査に7~10日かかる
- 売り手の引き渡し準備に時間がかかることがある
- 引き渡し時の最終確認で契約内容との違いが発覚するケースがある
とくに、契約内容との違いが発覚すると、内容の再確認や両者の合意を得るまで引き渡しは見送られます。
売買契約から残金の入金までに2〜3ヵ月かかるケースもあるため、入金を見越した資金計画は余裕を持って立てましょう。
仲介手数料は2回に分けて支払うこともある
不動産会社への仲介手数料の支払いは、地域によっては一般的に2回に分けて半分ずつ支払いうことがあります
手数料を分けて支払う場合、前述のとおり売買契約時に仲介手数料の50%、マンション引渡し時に残りの半分を支払うケースが一般的です。
仲介手数料を2回に分けるのは、不動産会社の業務の進捗に合わせるためです。売買契約が成立した時点と、すべての業務が完了する引き渡し時点で、それぞれ報酬を支払うのが一般的です。
ただし、仲介手数料を2回に分ける支払い方法は、法律で定められているわけではなく、売買契約時に全額請求される可能性もあると考えておきましょう。
マンションの売買契約解除による返金対応
マンションの売買契約が解除された場合、解除理由により手付金の返金が必要です。
ここでは、マンションの売買契約解除の理由別に対応法を解説します。
売主都合のキャンセルの場合
売主都合のキャンセルの場合、手付金の2倍の額を買主に支払う必要があります。
手付金の返金に加え、手付金と同額の違約金が発生するためです。
また、不動産会社にもよりますが、仲介手数料は売買契約時に発生するため、売主都合でのキャンセルの場合は請求される恐れがあります。
買主都合のキャンセルの場合
買主都合のキャンセルの場合、基本的に売主は手付金の返金は必要ありません。
契約締結時に支払った手付金を手放すことにより、買主は契約を解除できる仕組みがあり、手付解除と呼びます。
一般的に手付解除は、不動産売買契約書にも内容が明記されています。
ただし、買主都合のキャンセルであっても不動産会社に仲介手数料を請求されることもあります。
特約条件によるキャンセルの場合
特約条件によるキャンセルの場合は、売主は買主に手付金を全額返金する必要があります。
特約条件とは、売買契約書に盛り込まれている特別な取り決めを指します。
たとえば、住宅ローン特約や買い替え特約が当てはまり、想定外の事態が発生した場合に買主を守るためのものです。
住宅ローン特約の場合、買主が申し込んだ住宅ローンを組めなかった場合に、契約を無条件で解除できます。
特約条件によるキャンセルは、売主・買主の双方に負担の無いキャンセルです。
そのため仲介手数料の支払い義務は発生せず、手付金も返還されます。
契約不適合責任によるキャンセルの場合
契約不適合責任によるキャンセルの場合は、売主は買主に手付金を返金する必要があるほか、修理費などの費用負担も求められるケースもあります。
契約不適合責任とは、物件の状態が売買契約の内容と異なる場合に、売主が負う責任のことです。
たとえば、契約時に説明のない構造上の欠陥や雨漏りなどが当てはまります。
買主は修理や補修の請求ができ、売主が応じない場合は契約をキャンセルできます。
マンション売却にかかる費用
マンション売却では売却金が手に入りますが、次の諸費用がかかります。
- 仲介手数料
- 税金
- 住宅ローンの返済手数料
- 専門家への報酬
- 引っ越し業者の利用料
それぞれの費用を支払うタイミングや金額などを解説します。

仲介手数料
仲介手数料とは、マンション売却を依頼した不動産会社に支払うお礼金のことです。
売買価格が400万円を超える場合は基本的に、以下の式で計算した金額を支払います。
マンションの売却金額 × 3% + 6万円 + 消費税 = 仲介手数料
たとえばマンションの売却金額が3,000万円の場合、消費税を10%とすると仲介手数料は105.6万円です。
仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立するまでは、支払う必要はありません。
税金
マンションを売却する場合、印紙税や登録免許税、譲渡所得税がかかります。
各税金の詳細は、以下のとおりです。
| 税金 | 金額の目安 | 何に対する税金か | いつ納めるのか |
| 印紙税 | 1万円〜6万円 | 売買契約書の作成 | 売買契約時 |
| 登録免許税 | 2,000円 | 登記の手続き | 引き渡し時 |
| 譲渡所得税 | 諸条件による | 売却による利益 | 確定申告後 |
印紙税は、郵便局などで購入した収入印紙を、売買契約書に貼り付けて納めます。貼り付けた収入印紙が消印されれば、納税完了です。
登録免許税は、住宅ローンの完済後におこなう抵当権抹消登記に対してかかる税金です。登記の申請書に収入印紙を貼り付けて、法務局に提出して納税します。
抵当権抹消登記は不動産1件につき登録免許税1,000円(通常マンションは土地・建物で合計2,000円)です。
譲渡所得税は、次の条件により金額が大きく変わります。
- 譲渡所得(利益)
- マンションの所有年数
- マンションの購入と売却にかかった総費用
- 控除の有無
譲渡所得税の計算は複雑なため、必要に応じて税理士をはじめとした専門家に相談してください。

住宅ローンの返済手数料
マンションの売却金で住宅ローンを完済する場合、金融機関に繰り上げ返済を申し込みます。
繰り上げ返済をおこなう際は、金融機関により手数料が発生します。
繰り上げ返済にかかる手数料は、都市銀行の窓口申し込みで、3.3万円〜5.5万円程度が相場です。
ネット上で返済手続きをおこなうと、手数料が安くなったり、ゼロになったりするケースもあります。

専門家への報酬
マンション売却では一般的に、登記の専門家である司法書士に依頼してサポートを受けます。
司法書士に依頼できるサポートは、次のとおりです。
- 法務局への登記申請の代行
- 必要書類の作成
- マンションの引き渡し時の立ち合い
司法書士への報酬は、マンションの引き渡しが完了したあとに支払います。
報酬額の目安は、1万円〜3.5万円程度です。
また、司法書士以外の専門家(税理士・弁護士など)にもサポートを依頼した場合、各専門家に報酬を支払う必要があります。

引っ越し業者の利用料
売却したマンションから新居に移る際には、一般的に引っ越し業者を利用します。
引っ越し業者の利用料は、移動距離や荷物の量、タイミングにより異なり、荷物の量が多く、移動距離が長いほど、料金が高くなります。
引っ越し業者の一般的な相場は、次の表を参考にしてください。
| 通常期(5月~1月) | 繁忙期(2月~4月) | |
| ~15㎞未満 | 約8.5万円 | 約10.5万円 |
| ~50㎞未満 | 約9.5万円 | 約12万円 |
| ~200㎞未満 | 約11万円 | 約14.5万円 |
表にあるとおり、2月〜4月は、引っ越し業者の需要が高いため、料金も高くなる傾向です。
条件により30万円以上かかることもあるため、早い段階で見積もりを取り、必要な金額を把握しましょう。
マンションを売却して住み替える際の流れ
マンションの売却では、新居を探して住み替えるケースが多く見られます。
ただし、新居を購入すべきタイミングは家庭の状況により異なり、住み替える際の流れも違います。
自分に最適な住み替えの流れを知ることで、スムーズな住み替えが可能です。
ここでは、住み替えの際の新居を購入するタイミングと、住み替えで注意すべきポイントを解説します。
新居を購入するタイミング
新居を購入するタイミングは、売却前と売却後の2パターンあります。
新居購入がマンション売却前の住み替え方法を「買い先行」、売却後の住み替え方法を「売り先行」といいます。
それぞれの住み替えの流れは、次のとおりです。
<買い先行>
| 住み替えの流れ | 売却の手順 | 新居購入の手順 |
| ① | 新居購入の手続き開始 | |
| ② | 査定依頼 | 売買契約締結 |
| ③ | 不動産会社に売却依頼 | 住宅ローンの契約 |
| ④ | 売却活動開始 | 支払い |
| ⑤ | 決済売買契約締結 | 引き渡しで新居を受け取る |
| ⑥ | 決済 | |
| ⑦ | 引き落とし | |
| ⑧ | 新居へ引越し |
<売り先行>
| 住み替えの流れ | 売却の手順 | 新居購入の手順 |
| ① | 査定依頼 | |
| ② | 不動産会社に売却依頼 | |
| ③ | 売却活動開始 | |
| ④ | 売買契約締結 | 新居購入の手続き開始 |
| ⑤ | 決済 | 売買契約締結 |
| ⑥ | 引き落とし | 住宅ローンの契約 |
| ⑦ | 仮住まい期間 | 支払い |
| ⑧ | 新居へ引越し | 引き渡しで新居を受け取る |
買い先行は、時間をかけて納得のいく新居が探せますが、マンション売却の価格が思ったより安い場合は資金計画が崩れかねません。
また、マンションの住宅ローンが残っている場合はダブルローンになる可能性があり、家計を圧迫する原因になってしまいます。
売り先行は、資金計画が立てやすいですが、仮住まいが必要になったり、新居探しに時間をかけられなかったりします。
どちらが自身に合う方法かは、不動産会社に相談し、住み替えの最適なスケジュールを立てましょう。
住み替えで注意すべきポイント
住み替えで注意すべきポイントは、次のとおりです。
- 不動産会社は慎重に選ぶ
- 住宅ローン残債を確認する
- 諸費用の発生を考慮する
住み替えでは、査定額のみでなく、住み替えに伴う手続きや住宅ローンなどトータルで相談できる不動産会社を選びましょう。
また、資金計画は、住宅ローンの残債を確認してから立てることが大切です。
マンションの売却や新居購入時に発生するさまざまな諸費用も考慮し、資金不足にならないよう注意しましょう。
マンション売却時の入金に関するよくある質問
最後に、マンション売却時の入金に関するよくある質問をまとめました。
同じ疑問を持つ方は多いため、ぜひ参考にしてください。
入金に関するよくあるトラブル事例は?
マンション売却時は、買主からの入金が遅延したり、滞納したりするトラブルが発生しがちです。
契約前に、買主の資金調達状況の確認や、支払い能力の確認をおこなうことで防げます。
また、契約書に支払期日や支払い方法、遅延した場合の対応などの明記も大切です。
マンション売却にかかる期間は?
マンション売却にかかる期間は、準備から引き渡しまでのトータルで、5〜6ヵ月です。
実際に売り出してから買主が決まるまでの期間は、3ヵ月程度といわれています。
ただし、マンションの立地や条件、不動産会社の販売力などにより異なります。
住宅ローン残債がある場合は銀行への連絡が必要?
住宅ローン残債がある場合は、銀行に連絡する必要があります。
売却するマンションは住宅ローンを完済し、銀行が設定している抵当権を抹消する必要があります。
抵当権とは、ローンの返済が万が一返済できなくなった場合に金融機関が不動産を担保として回収できる権利です。
ローン完済や抵当権抹消の手続きには時間がかかる場合もあるため、マンション売却を決めた時点で銀行に連絡し、事前に相談しておくとよいでしょう。
まとめ
マンションの売却金が入金されるタイミングは、売買契約を結んだときと、マンションを引き渡すときです。
一般的に、売買契約時に手付金として売却金の5〜10%が支払われ、マンションの引き渡し時に、残りの売却金が銀行口座に振り込まれます。
マンション売却時は、売却金が入る一方で、諸費用がかかります。
売却金から諸費用を差し引いたら、想定よりもお金が手元に残らないケースもあるため、注意が必要です。
また、住み替えをおこなう場合は、新居を購入するタイミングも重要です。
家庭の状況に合うスケジュールについて、マンションの売却を依頼する不動産会社に相談しましょう。
ぜひ本記事を参考に、スムーズなマンション売却や住み替えをおこないましょう。


