「マンションの売却金はいつ入金されるんだろう…」
「そもそも、マンション売却の流れがわからない…」
このような疑問や不安を抱いていませんか?
マンションの売却金を、ローン返済や新居購入に充てる場合、入金のタイミングはとくに気になるかと思います。
この記事では、マンション売却における以下のポイントを解説します。
- 売却金はいつ入金されるのか
- 全体の流れと入金のタイミング
- マンション売却にかかる費用
新居を購入するタイミングや、住み替えで注意すべきポイントも解説するので、参考にしてください。
マンション売却の代金はいつ入金される?
マンションの売却金が入金されるタイミングは、以下の2つです。
- 売買契約を結んだとき
- マンションを引き渡すとき
売買契約を結んだタイミングで、売却金の数%が買い手から支払われます。
これを「手付金」といい、現金で渡されるのが一般的です。
手付金を差し引いた残りの売却金は、マンションを引き渡すタイミングで入金されます。
金額が大きいため、現金ではなく銀行口座への振込で支払われることが多いです。
マンション売却における全体の流れと、入金の詳細については、次の章で詳しく解説していきます。
マンション売却の流れと入金のタイミング
マンション売却は、以下の流れで進みます。
- 不動産会社に相談する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- マンションを売り出す
- 買い手と売買契約を結ぶ
- マンションを引き渡す
- 確定申告をおこなう
マンションの売却金が入金されるのは、4と5のステップです。
それぞれのステップにかかる期間や、何をするのかについて、詳しく見ていきましょう。
不動産会社に相談する
マンション売却の第一歩は、不動産会社への相談です。
売却したいマンションがあるエリアの不動産会社に予約を入れ、売却について相談しましょう。
相談とあわせて、マンションの査定も依頼します。
不動産会社がおこなう査定は、基本的に無料です。
不動産会社に行く前に、以下のポイントを押さえておくと、相談や査定をスムーズに進められます。
- 売却のタイミングを家族で話し合っておく
- 将来的に起こりうるイベントや、ライフプランを明確にしておく
- 不動産会社への予約時に、必要書類を確認しておく
比較するために、複数の不動産会社に相談し、査定を依頼しましょう。
不動産会社に行く前の準備から、査定の依頼までは、1ヶ月ほどかかるケースが多いです。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
マンションの売却を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。
媒介契約は、不動産会社に買い手を見つけてもらい、間を取り持ってもらうための契約です。
媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶ際には、以下のポイントを押さえてください。
- 査定額の根拠が明確であること
- 査定額が相場から離れすぎていないこと
- マンション売却の実績が豊富であること
- 信頼できる担当者がいること
査定額は、高ければ良いというわけではありません。
査定額が高くても、実際にその金額で買い手が付かなければ意味がないためです。
売却するマンション周辺の相場を事前に調べておくと、査定の良し悪しが判断しやすくなります。
相場を調べる際には、国土交通省が運営する「土地総合情報システム」というサイトを活用してみてください。
土地総合情報システム内にある「不動産取引価格情報検索」で、条件が近いマンションの過去の取引価格を調べられます。
マンションの買い手をスムーズに見つけ、より高い価格で売却するためには、マンション売却の実績が豊富な不動産会社を選びましょう。
担当者の対応や知識量から、相性の良さや信頼できるか否かを見極めることも大切です。
不動産会社に査定を依頼してから、媒介契約を結ぶまでは、一般的に1ヶ月ほどかかります。
マンションを売り出す
不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよマンションを売り出します。
売却活動は不動産会社がおこなってくれますが、売却価格の設定や内見希望者の対応などにおいては、売り手の協力も必要です。
不動産会社は、以下のような方法でマンションを売り出します。
- 「一般向けの不動産情報サイト」や「レインズ」に、マンションの情報を掲載する
- チラシをポスティングする
一般向けの不動産情報サイトとは、スーモやアットホームなどのことです。
賃貸物件の情報も掲載しているため、なじみがある人も多いでしょう。
レインズは、不動産会社間で情報を共有するためのネットワークです。
より多くの顧客にマンションを紹介するために活用します。
【入金】買い手と売買契約を結ぶ
売却活動や内見を経て、買い手が見つかったら、売買契約を結びます。
1回目の入金は、このタイミングです。
ひとつ前の章で、売買契約時に「手付金」が支払われることを解説しました。
手付金は、売買契約が成立した証として、買い手が売り手に支払うものです。
一般的に、現金で手渡しされます。
手付金の相場は、売却金の数%ほどの金額ですが、上限額は売却金の20%です。
たとえば売却金が3,000万円の場合、手付金の目安は150万円〜300万円となります。
売買契約を結んだあとにキャンセルとなった場合、手付金は以下のように扱われます。
- 買い手の都合でキャンセル:買い手が手付金を放棄する
- 売り手の都合でキャンセル:売り手が手付金の2倍の額を買い手に支払う
万が一のことを考えて、手付金は引き渡しまで使わずに取っておきましょう。
売買契約は、一般的に不動産会社でおこないます。
マンションの売却活動を始めてから、売買契約を結ぶまでの期間は、3ヶ月ほどが目安です。
買い手が見つかるスピードは、マンション売却の流れのなかで、最も個人差があります。
【入金】マンションを引き渡す
売買契約を結んでから2ヶ月後あたりに、マンションを買い手に引き渡します。
ここで、手付金を差し引いた残りの売却金が、銀行口座に入金されるのです。
売却金が3,000万円で、売買契約時に手付金として300万円を受領していた場合、残りの2,700万円が振り込まれることになります。
売買契約後、すぐに引き渡しがおこなわれない理由は、買い手が住宅ローンの申し込みや審査をおこなうためです。
不動産会社に相談してから、マンションを引き渡すまでは、6ヶ月〜1年ほどの期間がかかることを想定しておきましょう。
マンションを引き渡す際には、売却金の入金以外にも、以下のような手続きをおこないます。
- 払い過ぎた固定資産税・都市計画税・修繕積立金・管理費の清算
- 住宅ローンの完済
- 抵当権抹消・所有権移転の登記手続き
- 鍵の引き渡し
マンションの引き渡しは、買い手が住宅ローンを組む金融機関でおこなうのが一般的です。
確定申告をおこなう
マンションを売却したら、翌年に確定申告をおこないます。
マンションの売却による利益は給与所得と異なるため、サラリーマンでも確定申告が必要です。
売却で利益が出なかったとしても、控除を受けた場合は、確定申告をおこなわなければなりません。
現住所を管轄する税務署に、申告書と必要書類を提出することで、確定申告が完了します。
国税庁が運営する「e-Tax(イータックス)」というシステムを使えば、オンライン申告もできます。
確定申告の期間は、マンションを売却した翌年の2/16〜3/15です。
マンション売却にかかる費用
マンション売却は、売却金が手に入るだけでなく、諸費用がかかります。
「売却金から諸費用を差し引いたら、想定よりもお金が手元に残らなかった」というケースも少なくありません。
マンション売却にかかる主な費用は、以下のとおりです。
- 仲介手数料
- 税金
- 住宅ローンの返済手数料
- 専門家への報酬
- 引っ越し業者の利用料
それぞれの費用を支払うタイミングや金額などについて、詳しく見ていきましょう。
仲介手数料
仲介手数料とは、マンション売却を依頼した不動産会社に支払うお礼金のことです。
基本的に、以下の式で計算した金額を支払います。
マンションの売却金額 × 3% + 6万円 + 消費税 = 仲介手数料
たとえばマンションの売却金額が3,000万円の場合、仲介手数料は105.6万円です。
仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立するまでは、支払う必要はありません。
売買契約時と引き渡し時に半額ずつ、現金で支払うのが一般的です。
税金
マンションを売却する場合、印紙税や登録免許税、譲渡所得税がかかります。
各税金の詳細は、以下のとおりです。
税金 | 金額の目安 | 何に対する税金か | いつ納めるのか |
印紙税 | 1万円〜6万円 | 売買契約書の作成 | 売買契約時 |
登録免許税 | 2,000円 | 登記の手続き | 引き渡し時 |
譲渡所得税 | 諸条件による | 売却による利益 | 確定申告後 |
印紙税は、郵便局などで購入した収入印紙を、売買契約書に貼り付けて納めます。
貼り付けた収入印紙が消印されることで、納税が完了する仕組みです。
登録免許税は、住宅ローンの完済後におこなう「抵当権抹消登記」に対してかかります。
登記の申請書に収入印紙を貼り付けて、法務局に納めます。
「所有権移転登記」にかかる登録免許税は、マンションの買い手が負担するのが一般的です。
譲渡所得税は、以下のような条件によって金額が大きく変わります。
- マンションの所有年数
- マンションの購入と売却にかかった総費用
- 控除の有無
マンションの所有年数が5年を超えてから売却すると、譲渡所得税の税率が下がります。
住宅ローンの返済手数料
マンションの売却金で住宅ローンを完済する場合、金融機関に繰り上げ返済を申し込むことになります。
金融機関によっては、繰り上げ返済をおこなう際に手数料が発生します。
繰り上げ返済にかかる手数料は、1万円〜2万円ほどが相場です。
ネット上で返済手続きをおこなうと、手数料が安くなったり、ゼロになったりするケースもあります。
専門家への報酬
マンション売却は、登記の専門家である司法書士に手伝ってもらうのが一般的です。
司法書士に依頼することで、以下のようなサポートを受けられます。
- 法務局への登記申請を代行してもらえる
- 必要書類を作成してもらえる
- マンションの引き渡しに立ち会ってもらえる
正しいマンション取引をおこなうためには、司法書士からのサポートが必要です。
司法書士への報酬は、マンションの引き渡しが完了したあとに支払います。
報酬額の目安は、1万円〜3万円ほどです。
司法書士以外の専門家(税理士・弁護士など)にもサポートを依頼した場合、各専門家に報酬を支払います。
引っ越し業者の利用料
売却したマンションから新居に移る際には、引っ越し業者を利用するのが一般的です。
引っ越し業者の利用料は、移動距離や荷物の量、タイミングによって異なります。
荷物の量が多く、移動距離が長いほど、料金が高くなります。
また引っ越す人が多い2月〜4月は、引っ越し業者の需要が高いことから、料金も高くなりやすいです。
条件によっては30万円以上かかることもあるため、早い段階で見積もりを取り、必要な金額を把握しておきましょう。
新居探しについて【住み替え】
マンションの売却では、新居を探して住み替えるケースが多く見られます。
新居探しのスケジュールは、家庭の状況に合わせることが大切です。
この章では、以下の2つについて解説します。
- 新居を購入するタイミング
- 住み替えで注意すべきポイント
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
新居を購入するタイミング
売却金を使って住み替える場合、新居を購入するタイミングは、マンションを引き渡したあとです。
この住み替え方法は、売却後に購入することから「売り先行」といいます。
売り先行では、マンションの売却活動を始めた頃から、新居を探し始めます。
買い手と売買契約を結び、売却金が明確になったら、新居購入の具体的な相談に移る流れです。
マンションを引き渡して売却金が入ったあとに、新居を購入します。
マンションの引き渡しから、新居に住めるようになるまでの間は、仮住まいで過ごすことになります。
金銭的に余裕がある場合は、マンションを売却する前に、新居を購入しても良いでしょう。
この住み替え方法は、購入後に売却することから「買い先行」といいます。
買い先行のメリットは、仮住まいの費用がかからないという点です。
しかし売却活動が長引くと、住宅ローンを2重に支払う期間が長くなってしまいます。
まずは売却を依頼する不動産会社に相談し、住み替えの適切なスケジュールを提案してもらいましょう。
住み替えで注意すべきポイント
住み替えでは、資金不足に注意しましょう。
マンションの売却には多くの費用がかかるため、住み替えるための資金が足りなくなる可能性があります。
マンションの売却金だけで住宅ローンを完済できない場合は、足りない分を自己資金で補わなければなりません。
資金不足に陥ってしまった場合は、以下のような選択を迫られます。
- 新居の購入を先送りにする
- 住み替えローンを利用する
新居の購入を先送りにすると、仮住まいで過ごす期間が長くなってしまいます。
また住み替えローンとは、住宅ローンの完済に必要な費用と、新居の購入費用をあわせて借り入れられるものです。
一時的に資金不足を補えますが、審査が厳しく、金利が高い傾向があります。
さらに借り入れ額が大きくなりやすいため、新居購入後の生活が苦しくなってしまう可能性もあります。
住み替えを検討する際には、はじめに住宅ローンの残金を確認して、具体的な資金計画を立てることが大切です。
まとめ
マンションの売却金が入金されるタイミングは、売買契約を結んだときと、マンションを引き渡すときです。
売買契約時には、手付金として売却金の数%が、現金で手渡しされます。
残りの売却金は、マンションの引き渡し時に、銀行口座に振り込まれるのが一般的です。
マンションを売却する際には、諸費用がかかります。
「売却金から諸費用を差し引いたら、想定よりもお金が手元に残らなかった」というケースも少なくありません。
また住み替えをおこなう場合、新居を購入するタイミングが重要です。
家庭の状況に合うスケジュールについて、マンションの売却を依頼する不動産会社に相談してみてください。
資金不足に陥ると、マンションを売却したあとのライフプランが崩れてしまうリスクがあります。
住宅ローンの残金や諸費用を把握したうえで、具体的な資金計画を立てましょう。