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    マンション買い替えの基礎知識と流れ!売却や購入のタイミング・資金計画・税金を解説

    さまざまな事情でマンションの買い替えを検討する際、「何からはじめたらよいのだろか」と悩むときもあるでしょう。

    物件の買い替えに必要な費用や税金を知り、できる限りお得に済ませたいと考える方も多いのではないでしょうか。

    マンションの買い替え方法は、売り先行と買い先行の2種類があり、控除や特例を利用すれば税金を抑えられます。

    本記事では、マンション買い替えの基礎知識や資金計画、かかる税金や利用できる控除、購入や売却する際の注意点を解説します。

    マンションの買い替えを考えている方や、スムーズかつお得に物件の売買をしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

    目次

    マンション買い替えのタイミングの目安

    自宅用のマンションを購入したあとでも、ライフステージの変化や築年数などを理由に、買い替えを検討したほうがよいときがあります。

    マンション買い替えのタイミングの主な目安を解説します。

    ライフステージ

    マンションの買い替えを検討する理由の一つが、ライフステージの変化です。

    ライフステージが変化すると、必要な間取りや部屋数、広さなども変わるケースがあるでしょう。

    主なライフステージの変化の一例は、次のとおりです。

    • 結婚や出産
    • 家族の転勤や転校
    • 子どもの独立

    結婚や出産があると同居する人数が増えるため、今の物件では手狭になり、快適に暮らせる広さのマンションへ買い替えたほうがよいときがあります。

    家族の転勤や転校をきっかけに、職場や学校に通いやすい立地にあるマンションの買い替えを検討するケースも考えられます。

    また、子どものために広いマンションを購入したけれど、独立して別々に暮らし始めた場合、夫婦のみだと広すぎて買い替えを考えるときもあるでしょう。

    家族の仕事や学校、出産や子どもの独立などでライフステージが変化したときは、マンションの買い替えを検討するタイミングです。

    年齢の変化

    マンションの買い替えを検討する目安の2つめが、年齢の変化です。

    年齢を重ねたときとマンション購入したときでは、健康面や生活面などさまざまな点で、想定外の事態や、そもそも想定していなかった事態が起こることがあります。

    たとえば、足が弱ったためにエレベーターのない環境を不便に感じるようになった、退職したので駅の近くに住む必要がなくなった、などのケースが考えられるでしょう。

    今のマンションが広すぎる、不便を感じるなどがあれば、買い替えを検討するのもひとつの選択肢です。

    築年数

    マンションの築年数も、買い替えを検討するタイミングの目安です。一般的に築10年程度が買い替えを考える時期だといわれています。

    築10年程度で買い替えを検討する主な理由は、次のとおりです。

    • 築10年の中古マンションの高い需要
    • 住宅ローン控除が10年か13年で終了
    • 修繕積立金の値上がり

    築10年程度の中古マンションは人気があり、購入した価格より高く売却できるケースもあります。

    また、一定期間税金の控除を受けられる住宅ローン控除が終了し、経済的な負担が増えるのも理由です。

    さらに修繕積立金は一般的に、築10~15年頃から値上がりする傾向があり、マンションの老朽化にともない負担が増え続ける可能性もあります。

    築10年以降でマンションの買い替えを考えている場合、時間の経過とともに資産価値が下がるため、早めの売却がおすすめです。

    マンション買い替えの手順や流れは?何から始める?

    マンションを買い替える際、まずは自宅マンションの査定を不動産会社に依頼しましょう。

    マンション査定は無料で依頼できるため、複数の不動産会社に依頼して、平均値で売却価格を想定します。

    実際に売却する際は、現地調査を含めた訪問査定が必要ですが、はじめのうちは簡易査定で問題ありません。

    マンションを買い替える方法には2種類の流れがある

    マンションを買い替える方法は、売り先行と買い先行の2種類です。

    売り先行は、現在の自宅マンションを先に売る方法で、新しい物件を先に購入する方法を買い先行と呼びます。

    それぞれメリットとデメリットがあり、どちらが自身に最適なのかをよく検討する必要があります。

    次章で売り先行と買い先行のメリット、デメリットを解説するため、マンションの買い替えを検討している方は参考にしてください。

    マンション買い替え時の売り先行とは?

    マンションを買い替えるときの売り先行とは、自宅マンションを先に売却してから新居を決める方法です。

    売り先行の主なメリット、デメリットは次の表を参考にしてください。

    メリットデメリット
    ・焦らずに売却先を探せる
    ・資金計画を立てやすい
    ・ローンが二重にならない
    ・仮住まいをする必要がある
    ・仮住まいや引越しに費用がかかる
    ・新居を急いで決める必要がある

    売り先行のメリットとデメリットを詳しく解説します。

    売り先行のメリット

    売り先行のメリットは、焦らずに自身のペースで売却先を探せる点です。

    売却を急いでいると価格交渉が十分にできず、想定していたよりも低い価格での売却になり、後悔するケースもあるでしょう。

    また売り先行は先に自宅マンションを売却するため、手元のお金を把握したうえで新居を探せ、資金計画が立てやすいのも大きなメリットです。

    自宅マンションの売却が決まれば、引き渡しまでの間に新居を探せて、堅実な買い替えができます。

    また住宅ローンが二重になるのを考慮しなくてもよく、住み替えローンより負担が軽くなりやすいのも売り先行の特徴です。

    売り先行のデメリット

    売り先行のデメリットは、新居が見つかる前にマンションを引き渡す場合、仮住まいをする必要がある点です。

    仮住まいには敷金や礼金、引越し費用など多くの費用が発生するため、抵抗を感じる方もいるでしょう。

    また仮住まいする物件を探したり、引越しをしたりする手間が発生します。

    仮住まいを避けたい方は、新居選びを急いで決めなければならず、ストレスを感じてしまうケースも考えられます。

    仮住まいをしたくない場合、マンションの売却と購入の決済を同時におこない、1週間程度売却物件に住まわせてもらう、引き渡し猶予が有効です。

    ただし売却先を探している間に新居を探し、売買のタイミングをあわせる必要があるため、調整が難しいときもあるでしょう。

    マンション買い替え時の買い先行とは?

    マンション買い替え時の買い先行とは、新居を購入してから現在の自宅の売却先を探す方法です。

    買い先行の主なメリットやデメリットは、次の表を参考にしてください。

    メリットデメリット
    ・焦らずに理想の新居を探せる
    ・仮住まいをする必要がない
    ・売却の見学立ち会いの必要がない
    ・ローンが二重になる可能性がある
    ・希望価格で売れないケースもある
    ・売却先が決まらないと不安を感じる

    マンション買い替え時の買い先行のメリット、デメリットを解説します。

    買い先行のメリット

    買い先行のメリットは、時間をかけて新しいマンションを探せて、理想の新居を選べる点です。

    今の家族に最適なマンションを焦らずに探せるため、引越し後の生活の満足度が上がり、快適な暮らしができるでしょう。

    また仮住まいをする必要がないため、引越す際に発生する多額のコストを抑えられ、手間がかからない点も買い先行の魅力です。

    売却時の立ち会い見学もないため、内覧のたびに片付けや掃除をせずに済み、内覧者の対応は不動産会社に任せられます。

    買い先行はマンション買い替えに関する、さまざまな手間を省きたい方や、理想の新居を自身のペースで探したい方におすすめです。

    買い先行のデメリット

    マンション買い替え時の買い先行のデメリットは、住宅ローンが二重になる可能性がある点です。

    売却予定のマンションのローンを完済しておらず、新居の購入でもローンを組む場合は、支払いが二重になり、お金の負担が大きくなります。

    また物件の売却を急いでしまうと、希望していた価格で売れずに、資金計画が予定どおりにならない可能性もあります。

    なかなかマンションの売却先が決まらずに、不安を感じてしまうときもあるでしょう。

    買い先行は、マンション買い替えのお金が十分にある方向けの方法で、資金計画を堅実におこないたい方には向いていません。

    売りと買い同時は可能?

    マンションの売りと買いの同時進行は、物理的には可能ですが、タイミングをあわせるのは非常に難しいでしょう。

    売りと買いが同時になるのは理想的なものの、売却先と購入する物件を同時期に決めるのは運も必要で、上手くいかないケースも十分に考えられます。

    売りと買いを同時におこなうのを目標にすると、現在の物件を高く売れない、新居を納得するまで選べないなどのおそれがあるため注意が必要です。

    もちろん売りと買いを同時にするのを目指しても問題はありませんが、「可能であれば同じ日にする」くらいで考えておくとよいでしょう。

    マンション買い替えの資金計画

    マンション買い替え時の資金計画が不安な方もいるでしょう。

    自宅マンションを売却し、新居を購入するときの資金計画はいくつかのパターンに分かれます。

    マンション買い替え時の資金計画を解説します。

    売却金額で住宅ローンを一括返済

    自宅マンションの売却金額で、現在の住宅ローンを返済できる場合は、比較的わかりやすいでしょう。

    住宅ローンの残債がある場合の流れは、次のとおりです。

    1. 買主から売買代金受領
    2. 売買代金で住宅ローンを完済
    3. 金融機関から抵当権抹消に必要な書類の受け取り
    4. 司法書士へ抵当権抹消と所有権移転登記を委任
    5. 決済日に自宅マンション引き渡し

    自宅マンションの売買代金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。

    抵当権とは物件の住宅ローンが支払えない場合、金融機関がマンションを差し押さえる権利で、売却するときは抹消しなければなりません。

    住宅ローンの残債がわからない場合は、金融機関に問い合わせて確認しましょう。

    住み替えローンを利用する

    自宅マンションの売却価格により、住宅ローンの返済ができないケースが考えられます。

    住宅ローンが完済できないときは、まず自己資金で返済できないかを確認します。

    自己資金で住宅ローンの完済が難しい場合、金融機関が提供している住み替えローン(買い替えローン)を検討しましょう。

    ただしすべての金融機関が提供しているわけではなく、経済的な負担が増えるケースが多いため、住宅ローンより審査が厳しい傾向があります。

    また、年収や年齢、勤務先やローン残債により、住み替えローンが利用できないこともあります。

    借り入れる金額が多くなると、返済が苦しくなる可能性もあるため、資金計画を立てる時点で金融機関に相談してみましょう。

    つなぎ融資を利用する

    理想の新居を見つけたにもかかわらず、現在の自宅マンションが売却できていないときには、つなぎ融資を利用できます。

    つなぎ融資とは、自宅マンションを売却したお金で完済するのを条件に、購入に必要な資金の融資を受けられる制度です。

    つなぎ融資を利用すれば、自宅マンションを売却する前に資金を用意でき、希望した新居を購入できます。

    ただしつなぎ融資は、マンションを売却するまでの一時的な借り入れで、融資機関が1年以内の商品が一般的です。

    また住宅ローンより金利が高く、事務手数料や保証料も発生するため、つなぎ融資は慎重に検討しましょう。

    マンション買い替え時にかかる税金・諸費用

    マンションを買い替えるときには、さまざまな税金や諸費用が発生します。

    資金計画を立てる際には、マンション買い替え時にかかる税金や諸費用も含めて考えましょう。

    印紙税

    マンションを売却する際は、売買契約書に貼る印紙代(印紙税)がかかります。

    印紙税の金額は、次のようにマンションの売却価格に応じて決まります。

    2027年3月31日までは印紙税の軽減措置があるため、現在の印紙税額は「軽減後の税額」を参考にしてください。

    記載された契約金額税額軽減後の税額(2027年3月31日まで)
    10万円超50万円以下400円200円
    50万円超100万円以下1千円500円
    100万円超500万円以下2千円1千円
    500万円超1,000万円以下1万円5千円
    1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
    5,000万円超1億円以下6万円3万円
    1億円超5億円以下10万円6万円
    ※ 国税庁、不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

    登録免許税

    マンションを買い替える場合、売却時と購入時にそれぞれ登録免許税が発生します。

    売却時の登録免許税は1物件につき1,000円で、抵当権を抹消するために必要な税金です。

    また購入時には所有権移転、抵当権設定それぞれに、次の登録免許税がかかります。

    従来の税率軽減後の税率
    土地の所有権移転登記2%1.5%
    中古住宅の所有権移転登記2%0.3%
    新築住宅の保存登記0.4%0.15%
    住宅ローンの抵当権設定登記0.4%0.1%
    ※ 国税庁、No.7191 登録免許税の税額表

    2026年3月31日までは住宅を購入する際、一定の要件を満たせば、表右側の軽減された税率が適用されます。

    所有権移転登記は、不動産の固定資産税評価額に税率をかけて計算するため、気になる方は住んでいる地域の自治体で確認しましょう。

    住宅ローンの抵当権設定にかかる登録免許税は、住宅ローン借入額に税率をかけて計算します。

    譲渡所得税(所得税・住民税)

    譲渡所得税は、マンションを売却したときの利益に対して発生する税金です。税率は所有していた期間により、次のように異なります。

    所得税住民税復興特別所得税合計
    長期譲渡所得15%5%0.315%(15%×2.1%)20.315%
    短期譲渡所得30%9%0.63%(30%×2.1%)39.63%
    ※ 国税庁、長期譲渡所得の税額の計算
    ※ 国税庁、短期譲渡所得の税額の計算
    ※ マンションを売却したら住民税が上がる?税金の計算方法と軽減する方法を解説
    ※ 2037年までは復興特別所得税として、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて申告し、納付することになります。

    課税の対象となる譲渡所得金額は、次の式で計算します。

    不動産売却による利益-必要経費-特別控除=譲渡所得金額

    課税の対象となる譲渡所得金額に、表の税率をかければ納税額がわかります。

    ただしのちほど解説する、特別控除や特例を利用すれば、減額または全額非課税になる可能性もあるため参考にしてください。

    不動産取得税

    不動産を取得したときにかかる税金です。新居購入後しばらくしてから自治体から納税通知書が届くため、忘れ不動産取得税は名前のとおり、土地や建物を取得した際にかかる税金です。

    一般的にマンション購入後、半年~1年後くらいに不動産取得税の納付書が届きます。

    不動産取得税は次の式で計算します。

    固定資産税評価額×4%=不動産取得税

    2027年3月31日までは軽減措置があるため、税率は3%です。

    マンションの購入費ではなく、固定資産税評価額に税率をかけて納税額が決まります。

    固定資産税評価額は各自治体が個別に決定しており、不動産の購入価格の60~70%程度です。

    不動産取得税の計算は複雑なため、気になる方は専門家や自治体の担当者に聞いてみましょう。

    消費税

    マンションを買い替える際、不動産会社に支払う仲介手数料に消費税が発生します。

    仲介手数料は次のように上限額が決められており、算出された金額に10%の消費税がかかります。

    不動産売買価格仲介手数料の上限額
    400万円超物件価格×3%+6万円+消費税
    200万円超400万円以下物件価格×4%+2万円+消費税
    200万円以下物件価格×5%+消費税
    国交省、宅地建物取引業法関係

    たとえば、2,000万円でマンションを売却できたときの仲介手数料の上限額は60万円で、消費税は6万円です。

    売却時と購入時の2回、仲介手数料に対しての消費税がかかります。

    またマンション購入時の消費税は、物件価格に含まれているケースが多く、別途消費税は発生しませんが、気になる方は不動産会社に聞いてみましょう。

    諸費用

    税金以外の代表的な諸費用として、マンションの購入費用が発生し、住宅ローンを組む場合は頭金が必要です。

    住宅ローンの頭金は一般的にマンション購入価格の2割程度のため、多額の資金を用意しなければなりません。

    また購入時の諸費用として、新築はマンション価格の3~5%、中古は5~8%程度かかります。

    売却時と購入時の2回、仲介手数料が発生するため、物件価格により多額のお金を用意する必要があります。

    マンション買い替えにかかる税金や諸費用を把握し、無理のない資金計画を立てましょう。

    マンション買い替え時に利用できる控除や特例

    マンションの買い替えをする際に、控除や特例を利用すると、減税できたり非課税で済んだりします。

    控除や特例を利用して、お得にマンションの買い替えをおこないましょう。

    3,000万円の特別控除

    自宅のマンションを売却した際、利益が出ている場合は譲渡所得税がかかりますが、要件を満たしていれば、3,000万円の特別控除を利用できます。※6

    要件を満たしている場合、課税対象の譲渡所得が3,000万円以下であれば、譲渡所得税が非課税になるお得な制度です。

    たとえば、4,000万円で購入した自宅マンションを5,000万円で売却できた場合、特別控除を利用できれば、譲渡所得税は発生しません。

    適用条件は6つありますが、マイホームを売る場合は、特別控除を利用できる可能性は十分にあります。

    自宅マンションを売却したときに利益が出た方は、3,000万円の特別控除を活用すれば、税金を大きく抑えられます。

    居住用財産の買い替え特例

    居住用財産の買い替え特例とは、2025年3月31日までにマイホームを売却して、新居に買い替えたときに利用できる特例です。※7

    通常、自宅を売却したときに多くの利益が出ていれば納税する必要がありますが、買い替えの資金にする場合は、課税のタイミングを繰り延べできます。

    たとえば、2,000万円で購入したマンションを6,000万円で売却すると、4,000万円の譲渡益が発生します。

    そして譲渡益を含めた資金で、7,000万円で購入したマンションを購入した場合は、課税の対象にはなりません。

    将来7,000万円で購入したマンションを7,500万円で売却したとすると、繰り延べた4,000万円とあわせて、4,500万円が譲渡益と見なされる特例です。

    居住用財産の買い替え特例は、税金の免除や減税ではなく、税の繰り延べのため覚えておきましょう。

    マイホームを売ったときの軽減税率の特例

    マンションを売却する際、所有期間が10年を超えている場合には、軽減税率の特例が利用できます。※8

    解説したとおり、譲渡所得税は5年を超えると20.315%ですが、10年を超えると次のようにさらに税率が軽減されます。

    課税長期譲渡所得金額税額
    6,000万円以下課税長期譲渡所得金額×10%
    6,000万円超課税長期譲渡所得金額6,000万円を超える部分は15%
    ※ 国税庁、No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

    また上記の特例は、3,000万円の特別控除と併用でき、要件が当てはまる場合は大きな節税効果が期待できます。

    ただし、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている必要があり、売却した時点でのタイミングではないため注意しましょう。

    譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

    自宅マンションを売却した際に損失が出た場合は、譲渡損失の損益通算ができます。※9

    原則的に不動産の売却で出た損失は、ほかの所得との損益通算(相殺)ができません。

    ただし、マイホームのマンション売却で損失が出た場合、給与所得や事業所得など、ほかの所得との損益通算ができるため節税効果があります。

    また1年で損失が相殺できない場合は翌年に繰り越せて、合計3年にわたり損益通算が可能です。

    マンションを購入したときよりも低い価格でしか売却できない場合は、譲渡損失の損益通算や繰越控除の特例を活用して、納税額を抑えましょう。

    住宅ローン控除

    住宅ローン控除は、住宅ローンを組んでマイホームを購入した際に利用できる控除です。※10

    一定の要件を満たせば、年末のローン残債の0.7%が控除されるため、税負担を軽減できます。

    控除される期間は、新築や再販マンションの場合は13年間、中古マンションは10年間です。

    買い替え前に住宅ローン控除を利用していた方でも、新居購入時にもう一度利用可能です。

    借入限度額は住宅の種類や性能などにより異なるため、金融機関で確認するのをおすすめします。

    マンションを買い替える際の注意点

    マンションを買い替える際には、いくつかの注意点があります。

    注意すべき点を知り、後悔のないようにマンションを買い替えましょう。

    併用できない控除がある

    解説した控除のなかには、併用できないものがあるため利用する前に注意が必要です。

    住宅ローン控除は次の控除、特例と併用できません。

    • 3,000万円の特別控除
    • 居住用財産の買い替え特例
    • マイホームを売ったときの軽減税率の特例

    どの控除や特例も税金面で有利ですが、自身に最適な制度を選ぶ必要があります。

    住宅ローンの借り入れが少額な場合は、3,000万円の特別控除、売却益が少ないときは住宅ローン控除など、人それぞれでしょう。

    マンション買い替え時は、どの控除や特例を利用すればよいのかを検討し、自身に最もメリットがある制度を選ぶようにしてください。

    控除・特例は確定申告が必要

    各種控除や特例を利用する場合には、確定申告が必要です。

    確定申告をしないと、本来納めるはずの税金をなぜ納めていないのか、税務署側がわかりません。

    たとえば、3,000万円の特別控除を利用すれば、全額非課税になる場合でも、確定申告は必要なため注意しましょう。

    確定申告は、マンションを売却した翌年の2月16日から3月15日までにおこないます。

    忘れずに確定申告をして、マンション買い替え時にかかる税金をできる限り抑えましょう。

    購入・売却のタイミングをなるべく合わせる

    マンションの買い替えは、売り先行と買い先行どちらを選んだ場合でも、なるべく購入と売却のタイミングをあわせるとスムーズです。

    とくに自宅マンションの売却は、3か月程度で売れるときもあれば、1年以上買い手が見つからないケースもあります。

    売却は余裕のあるスケジュール計画を立て、4~6か月程度かかると考えておくとよいでしょう。

    マンションの購入は物件さえ見つかれば、自身の好みのタイミングで買えるため、スケジュール調整がしやすい傾向があります。

    つなぎ融資の利用を念頭に置きながら、購入と売却のスケジュールをできる限りあわせましょう。

    事前に相場を調べておく

    マンションの買い替えをする際は、事前に相場を調べておく必要があります。

    自宅マンションがいくらで売れそうなのか、また売却して得た資金を利用して、どの程度の物件を買えるのかを調べないと、資金計画が立てられません。

    またマンションを売却する場合、相場よりも高い価格を希望すると、買い手が見つからずスムーズに買い替えが進まなくなります。

    まずは自宅マンションを複数の不動産業者に査定依頼をして、適正な相場を把握すると、買い替えがしやすくなるでしょう。

    信頼できる不動産会社を選ぶ

    マンションの買い替えは、不動産会社選びが重要です。

    不動産会社にはさまざまなタイプがあり、購入が得意な業者もあれば、売却に強みを持つ業者もあります。

    自宅マンションを売りに出す際は、売却が得意な不動産会社を選ぶと、買い替えがスムーズに進みやすくなります。

    売却が得意な不動産会社かどうかは、公式サイトや店頭で、売却に強い点をアピールしているかで判断しましょう。

    また大手のほうが安心できると考えている方は、大手不動産会社を選ぶのも選択肢です。

    マンションの買い替えは長い期間やり取りがあるため、担当者との相性も含めて、信頼できる不動産会社を選んでください。

    マンション買い替えの失敗例と対策

    自宅マンションの買い替えは多額のお金が動くため、失敗したくないと考えて当然です。

    マンションを買い替えるときに起こる、主な失敗と対策を解説します。

    売却価格が高すぎる

    できる限りマンションを高く売りたいと考え、売却価格を高めに設定すると、買い替えに失敗しやすくなります。

    相場より高い価格だと買い手が見つからず、徐々に金額を下げてもなかなか売れないケースも珍しくありません。

    売却価格で失敗しないためには、主に次の対策が有効です。

    • 相場の範囲内で価格を設定
    • 不動産全体の相場が上がる時期に売り出し
    • 値下げ交渉のために最低価格を設定

    基本的には売り手がマンション価格を決めるため、相場から逸脱しない金額で売りに出すようにしましょう。

    また値下げ交渉をされた際に、自身が譲れない最低価格を決めておくと、希望より安い金額で売却するのを防げます。

    売却を先延ばしする

    自宅マンションの売却を先延ばしにすると、買い替えに失敗する可能性が高くなります。

    マンションは築10年程度までの需要が高く、築10~20年以上の物件は外壁や内装などの劣化が目立ちはじめ、資産価値が下落していくため要注意です。

    また、先に新居を購入したけれど希望した価格で売れず、売却を先延ばしにしている場合はローンが二重になり、多額のお金を失うおそれがあります。

    対策として、早めに売却が得意な不動産業者に依頼する、売却希望価格を低くするなどが有効です。

    マンションの買い替えは、物件の売却が前提となるため、先延ばしにしないようにしましょう。

    購入をキャンセルされる

    マンションの売買では、売り手や買い手の都合で、キャンセルが発生する場合があります。

    売買契約を結んだあとでも手付金を放棄すれば、買い手の都合でキャンセルが可能です。

    マンションの売却で得たお金を新居の購入費に充てる場合、キャンセルがあると住み替えの日程を大きく変更しなければならないケースも考えられます。

    購入のキャンセルに効果的な対策は、次のとおりです。

    • 手付金を高く設定
    • 売却が完了してから購入する
    • 買取保証サービスを検討

    買取保証サービスとは、不動産会社が一定期間売却活動をしても売れない場合、最終的に買取をするサービスです。

    ただし、マンション買取額は相場の60~70%程度になるため、慎重に検討する必要があります。

    まとめ

    マンションの買い替えは、そのタイミングや資金計画が難しいため、ゆとりをもったスケジュールと無理のない予算を立てましょう。

    また不動産会社選びも重要です。買い替えをサポートした実績が豊富な担当者に買い替えを依頼しましょう。

    売却だけや購入だけでなく、その両方を依頼できる不動産会社へ相談することをおすすめします。スケジュール管理や資金計画をすべて相談することができるので、スムーズに進めることができます。


    ※:法務局、抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税
    ※:総務省、不動産取得税
    ※:2 不動産取得税の計算方法
    ※:1 住宅を新築する場合 (土地を取得してから3年以内)
    ※:3 中古住宅とその敷地を取得した場合 (個人が自己の居住の用に供するもの)
    ※6:国税庁、No.3302 マイホームを売ったときの特例
    ※7:国税庁、No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
    ※8:国税庁、No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき
    ※9:国税庁、No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)

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