マンション建て替えが決まったらどうする?立ち退き料や売却方法を解説

所有している分譲マンションについて建て替えする方向で話し合いが進んでいる中、このまま建て替えに賛成すべきか迷っている方のために、一般的な区分所有者の負担額や、仮住まいに必要になる費用について解説します。

またマンション建て替えに際して、建て替えに賛同しないときの対処法や、マンションを売却する方法を紹介します。

マンション建て替えには注意すべき点もありますので、メリットとデメリットを考慮したうえで判断するようにしましょう。

目次

分譲マンションの建て替えが決まったらどうする?

分譲マンションは築30年~40年ぐらいになると、老朽化により建て替えを検討するようになります。大規模修繕工事は経験してきたものの、建て替えが実際にどのように進められるのかわからず、不安に感じている方も少なくないでしょう。

マンション建て替えに賛同する方法以外に、所有している住戸を売却する方法もあります。この章では、分譲マンションの建て替えに対して、所有者が選択できる対処法を3つ紹介します。

建て替え後の新しいマンションに入居する

建て替えに賛同して、新しく完成したマンションに入居する方法です。仮住まいをする必要はありますが、完成後には新築マンションを手に入れることができ、住み慣れた地に住み続けることができます。

そして自己負担額は発生しますが、リフォームや大規模修繕では実現しない、快適な住環境を得ることができるでしょう。

もし自己負担額や仮住まいの費用を捻出できるのであれば、建て替えに賛同してもよいかもしれません。なお建て替えにかかる費用については、後半で詳しく紹介します。

建て替えが決まる前に売却する

まだ建て替えが検討されている段階であれば、マンションは自由に売却することができます。売却代金を元手にして、分譲マンションや戸建て住宅、賃貸物件など、希望する住宅に引っ越すことができるでしょう。

しかし建て替えが検討されているマンションは、敬遠される傾向があり、売却しにくい可能性があります。買い手側からすれば、購入してすぐ仮住まいしなければならないのは、面倒だと感じるでしょう。売却を希望するのであれば、なるべく早く売却するようにしましょう。

住宅ローンの残債額を確認し、まずマンションの相場価格を把握することをおすすめします。不動産会社に査定を依頼するのが一般的ですが、成約事例を公表しているサイトなどでも相場価格を確認できます。

住戸の持ち分を買い取ってもらう

マンション建て替えについて区分所有者および議決権の4/5以上の賛成が得られた場合、建て替えが決定します。しかし建て替えに反対している人を無理やり建て替えに参加させるわけではありません。※1

賛成しなかった区分所有者に対しては、あらためて建て替えに賛成するか否か書面で催告されます。そのうえで賛成しない区分所有者に対しては「売り渡し請求権」が行使されることになります。※2

売り渡し請求権とは、建て替えに参加しない区分所有者に対し、区分所有権および敷地利用権を売り渡すように請求できる権利です。

つまり建て替えの決議後でも、建て替えに賛同したくない場合は、区分所有権と敷地利用権を時価で買い取ってもらうことができます。なお催告から2カ月以内に返答しなければなりませんので、回答期限には注意しましょう。

ちなみに現在建て替え決議には区分所有者の「4/5以上」の賛成が必要ですが、一定の条件下では「3/4以上」と引き下げる要綱案がすでにまとめられており、今後緩和される見通しです。

立ち退き料がもらえるのはどのようなケース?

結論からいうと、分譲マンションの建て替えに際して、区分所有者に対して立ち退き料が支払われることはありません。引っ越し代や仮住まいにかかる家賃は、区分所有者自らが負担することになります。

立ち退き料とは、貸主がアパートやマンションの入居者に対して、退去を求める際に代償として支払うものをいいます。借主は借地借家法により保護されており、貸主は正当な理由がなければ退去を求めることはできません。建物の老朽化などが理由であっても、財産上の給付が必要とされています。

ちなみに一般的に立ち退き料といわれていますが、そもそも法律用語ではありません。したがって金額についてルールはなく、貸主と借主の話し合いで決めることになります。

建て替えにかかる期間はどのくらい?

分譲マンションは築30~40年ぐらいのタイミングで、建て替えについて検討することが多く、準備期間を含めるとマンション建て替え決議が成立するまでに10年以上かかるケースが多いです。そして区分所有者同士で話がまとまらない場合は、15~20年かかることもあります。

建替え工事にかかる期間は、マンションの規模や階数によっては異なりますが、1~2年程度を想定しましょう。※3

建て替えにかかる費用はどのくらい?

分譲マンションの建て替えに際して、区分所有者が必要になる費用にはどのようなものがあるのでしょうか。以下の3つについて詳しく紹介します。

  • 建て替えの自己負担金
  • 仮住まいの家賃
  • 引っ越し費用

建て替えの自己負担金

マンションの建て替えに際して、区分所有者が負担する金額は1,000万円~2,000万円といわれています。内訳は仮住まいの家賃や引っ越し費用、マンションの解体費用や建設費用、設計費用、諸経費などです。※4

しかし建築資材や人件費の高騰、また採用する設備や仕様のグレードによっては、これよりも高額になる可能性はあります。

自己資金から容易に出せる金額ではないため、通常建て替え費用として住宅ローンの借入れを検討することになりますが、住宅ローンの残債がある場合や、所有者の年齢によっては借入れが難しいことも考えられます。まずは早めに金融機関に相談してみましょう。

仮住まいの初期費用と家賃

マンション建て替え工事中は、団地など他の棟に移動する場合を除いて、仮住まいする必要があります。マンション解体から竣工までに2年程度かかるため、その間の家賃と初期費用として敷金や礼金、仲介手数料などがかかります。

賃貸物件の初期費用は地域や物件によって異なりますが、家賃の5~6カ月と想定しておくと安心です。

たとえば家賃が20万円の物件に2年間仮住まいする場合で、初期費用が家賃の6ヶ月分かかる場合は以下通り計算できます。

初期費用:20万円×6カ月分=120万円

家賃:20万円×24カ月=480万円

仮住まいにかかる費用:合計600万円

マンションの総戸数によっては、仮住まいする世帯数が多く、近隣で仮住まいを借りられないケースも考えられます。マンション全体で近隣の社員寮を借り上げるなど、区分所有者の負担を軽減するための工夫をしているケースもあります。

また自治体によってはマンションの建て替えにあたって、仮住まいの確保が難しい方に対し、公営住宅の提供をしているケースもあります。事前に役所のホームページや窓口で相談してみましょう。

引っ越し費用

マンション建て替えに際して、引っ越し費用がかかります。仮住まいと建て替え後のマンションへの引っ越しの2回です。

依頼する引っ越し会社やプランによってかかる費用も異なります。複数社に依頼し、比較したうえで決定しましょう。

マンションを売却するためにかかる手数料や費用

建て替えに賛同せず、マンションを売却する場合でも諸費用はかかります。この章では、マンションを仲介で売却するときにかかる費用について紹介します。

仲介手数料

マンションの売却を不動産会社へ依頼する場合には、仲介手数料がかかります。仲介手数料には広告費や契約業務にかかる費用も含まれており、基本的には仲介手数料以外に費用がかかることはありません。

仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が定められており、売買価格の価格帯によって求める計算式が異なります。

なお売買価格が400円以上の場合は、速算式である「売買価格×3%+6万円+消費税」で計算できます。

たとえば売買価格が4,000万円の場合、仲介手数料の上限額は以下の通りです。

4,000万円×3%+6万円+消費税=1,386,000円

ちなみに不動産会社が直接買い取る「買取」によって売却する場合は、仲介手数料はかかりません。

登記費用(登録免許税・司法書士への報酬)

所有権移転登記費用は、買主と負担とするのが一般的です。したがってマンションを売却するときにかかるのは、抵当権抹消登記や住所移転登記にかかる費用です。

住宅ローンを完済しても、自動的に抵当権が抹消されることはありません。マンションの所有権移転登記前に抵当権抹消登記が必要です。また登記簿上の住所と、実際の住所が異なる場合は、住所変更登記が必要になります。

それぞれ登記をする際は、不動産1個につき登録免許税が1,000円、司法書士への報酬が1~2万円かかります。

印紙税

売買契約書は印紙税法上の課税文書のため、売買契約締結時には印紙税がかかります。売買価格に応じた、税額分の収入印紙を貼付して印紙税を納めます。

なお2024年3月31日までに作成する売買契約書は、軽減措置が適用になります。通常の印紙税額と、軽減後の印紙税額は以下の通りです。

記載された契約金額税額軽減後の税額(2024年3月31日まで)
10万円超50万円以下400円200円
50万円超100万円以下1千円500円
100万円超500万円以下2千円1千円
500万円超1,000万円以下1万円5千円
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円
※ 国税庁、不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

住宅ローン返済事務手数料

住宅ローンを返済もしくは完済する場合は、金融機関の事務手数料がかかります。金融機関や返済方法によって手数料が異なります。実際には住宅ローン借入先に確認してください。

譲渡所得税

マンションを売却して利益が発生した場合は、譲渡所得税がかかります。マンションの取得や譲渡にかかった経費は差引くことができ、居住用財産である場合は特別控除として最大3,000万円を控除できます。

課税譲渡所得税=収入金額-(取得費-譲渡費用)-特別控除額

なお所有期間によって、譲渡所得金額に乗じる税率は異なります。譲渡した年の1月1日に5年を超える場合は長期譲渡所得になり、5年未満は短期譲渡所得になります。

所得税住民税復興特別所得税合計
長期譲渡所得15%5%0.315%(15%×2.1%)20.315%
短期譲渡所得30%9%0.63%(30%×2.1%)39.63%
※ 国税庁、長期譲渡所得の税額の計算
※ 国税庁、短期譲渡所得の税額の計算
※ 2037年までは復興特別所得税として、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて申告し、納付することになります。

※2013年から2037年までは復興特別所得税として、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて申告して納付することになります。

マンションを売却するのにかかる期間はどのくらい?

公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2022)」によれば、レインズの登録から成約に至るまでの日数は71.4日です。年ごとにばらつきはあるものの、マンションを売却するのに、約70〜80日前後かかっていることがわかります。

レインズとは、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムのことです。不動産会社は専任媒介契約、もしくは専属専任媒介契約締結後に、レインズへの登録が義務付けられています。

首都圏不動産流通市場の動向(2022年)、9ページ

分譲マンションを建て替えるメリットとは?

共用部分だけでなく専有用部分の設備や給水の配管、内装が新しくなるため、快適な住環境を手に入れることができます。たとえば旧耐震基準のマンションは、建て替えることによって現行の耐震基準を満たすことになります。

また建て替え後はマンションの資産価値が高くなり、売却しやすくなることもメリットといえます。

分譲マンションを建て替えるときに注意すること

分譲マンションの建て替えに賛同するか否かは、注意すべき点も考慮したうえで判断するようにしましょう。代表的なデメリットを3つ紹介します。

住戸が狭くなることがある

建築当時は適法だったマンションも、法令の改正により既存不適格になるケースがあります。

そのまま住んでいる分には問題ありませんが、建て替え時には現行の建築基準法にあわせて建築しなければなりません。条件によっては現状の容積や高さを確保できず、建て替え後の部屋が狭くなることがあります。

建て替え費用が想定よりも高額になることがある

建築資材や人件費が高騰しています。今後世界情勢や国内の市場の影響により、計画した建て替え費用よりも高額になる可能性があります。余裕をもった資金計画を立てるようにしましょう。

仮住まいが見つからないことがある

とくに建て替えするマンションの世帯数が多い場合、近隣で希望する条件の住み替え先がみつからないケースも想定しておきましょう。

一般的に貸主は長期での貸し出しを希望するため、短期間の賃貸を敬遠する傾向があります。仮住まいについては、デベロッパーにも相談し、早めに計画を立てましょう。

マンションの建て替えを相談できる窓口

マンションの建て替えについて、法律や制度など専門的な相談をしたい場合は国土交通大臣指定の「住まいるダイヤル」(電話相談窓口)を利用できます。なお対象は、マンションの建て替えに関係する管理組合や区分所有者、賃借人などです。

ナビダイヤルのため固定電話は3分9.35円(税込)、携帯電話は3分99円(税込)かかりますが、無料で弁護や建築士等へ相談できます。

住まいるダイヤル:0570-016-100(03-3556-5147)

電話受付:10時~17時(土日祝日、年末年始を除く)

まとめ

分譲マンションの建て替えに際して、管理組合から区分所有者に対して、立ち退き料などが支払われることはありません。基本的に建築費用や仮住まいにかかる費用は、区分所有者が負担することになります。

住宅ローンを借り入れて、マンション建て替え費用に充てることもできますが、残債がある場合や年齢によっては難しい可能性があります。

マンションを建て替えることによってメリットもありますが、注意すべき点もあります。状況によっては売却することも視野に入れ、早めに資金計画を立てることをおすすめします。


※1:国土交通省、マンション建替法の改正について
※2:区分所有権売渡請求権、建物の区分所有等に関する法律
※3:マンション建替えの流れ・注意点などをわかりやすく解説
※4:マンションは建て替えと売却どちらがいい?メリット・デメリットや費用で比較
※5:

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