固定利回り投資の資産運用サービス「Funds(ファンズ)」を運営するファンズ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:藤田雄一郎、以下 当社)は、2023年12月時点で、2023年7月に示された税制適格ストックオプションに関する法令解釈通達に基づき、税制適格ストックオプションの再発行が完了したことをお知らせいたします。
これまで税制適格ストックオプションの設計、特に株価算定については明確なルールが明示されておらず、商慣習的に未上場企業の直近資金調達ラウンドの評価価格を参照したり、優先株と普通株の財産分配の差に着目してディスカウントを設けたりと、個別性が高いものとなっていました。
このような中で、昨年7月に国税庁より、権利行使価額要件に係る「新株予約権に係る契約の締結の時の1株当たりの価額」の算定方法を定めた通達(以下、本通達)が新設された経緯となります。(国税庁「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/kaisei/230707/index.htm
本通達によって、当社のような未上場企業が発行する取引相場のない株式に係るストックオプションについては、指定された方式によって算定した当該株式の価額以上の金額で「権利行使価額」を設定していれば、権利行使価額要件を満たすこととなりました。
当社はMissionを "未来の不安に、まだない答えを" と定義しており、これまで数々の「国内初」の金融の取り組みや商品の開発を行ってきました。今回も、このスタートアップを取り巻くストックオプションというインセンティブの不安に対し、ファーストペンギンとしてその実例を示すことに存在意義があると考え、先行的に再設計を進めてまいりました。本件を一つの実例として公開することで、広くスタートアップの不安解消にも貢献できればと考えております。
また、日本経済新聞社が実施した2023年の「NEXTユニコーン調査」を元にした記事によると、有望スタートアップの平均年収は上場企業を上回るという調査結果も示されるなど、スタートアップの待遇改善が進んでいます。
そういった背景の中、本通達に基づいたストックオプションの再設計によって、特にミドル・レイターと呼ばれるフェーズからスタートアップに参画する方にとって、より魅力的なインセンティブ報酬の獲得が可能となり、スタートアップへの優秀な人材の流入が一層加速していくことが期待されます。
当社についても、従前から税制適格ストックオプションを導入しておりましたが、本通達による法令解釈に基づき、特例方式における純資産価額方式を用いて株価算定を行うことで、従前に比較して廉価な行使価額の設定が可能となりました。
他方で、権利行使価額を特例方式で算定した株価を基に設定した場合において、会計上で算定した株価が、その権利行使価額を上回る場合には、会計上、その差額を株式報酬費用として処理する必要があります。当社については、会計上の株価算定は第三者の株価算定機関に依頼し、優先株式と普通株式の株価を別々に算定した上で、差分を株式報酬費用として計上しております。
株式報酬費用の計上に際しては、「ストック・オプション等に関する会計基準」ならびに「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」に明示されているルールに則り取り扱う必要があります。具体的には、権利行使に係る条件の内容、権利行使の蓋然性有無、勤務条件有無、保有者が退職した際の取り扱い等の要因によって、その取り扱い方法は定まることになり、この設計次第で、対象勤務期間における按分による計上方法と、付与日一括計上による方法等が選択されることとなります。自社の条件に則って監査法人等との擦り合わせも必要となります。
また、実際には再発行という手段に限らず、契約変更という手段によっても同様の効果を期待することができますが、再発行を行うことで税制適格要件の1つである権利行使可能期間の起算日が直近付与決議日に更新され、仮に創業してから長期間経過している企業にとっては、副次的に従業員の税務メリットが得られる期間を回復させることもできます。
1月16日に当社取締役CFO 前川が、Nstock株式会社 代表取締役CEO 宮田氏、株式会社10X 取締役CFO 山田氏と共に登壇し、「スタートアップにおける報酬制度の最適解と最新プラクティス」をテーマにお話しします。
当社はこれまでも、主にポストIPOのスタートアップに対してFundsを通じて成長資金を提供することでスタートアップ・エコシステムに貢献してきましたが、当社も非連続な成長を企図する当事者として、役職員に対するインセンティブ報酬におけるベストプラクティスの探求といった観点においても日本のスタートアップ・エコシステムの発展に貢献してまいりたいと考えています。
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