コインパーキングの上部空間を活用しテナントスペースを設けるという独特なビジネスを展開する東証マザーズ上場企業の株式会社フィル・カンパニー。Fundsでは、株式会社フィルまちづくりファンディングが組成するファンドの出資対象となる不動産の企画・開発を行います。
今回はフィル・カンパニー社の能美代表取締役社長(写真右)および、フィルまちづくりファンディング社代表取締役社長兼フィル・カンパニー社の取締役である小豆澤様(写真左)に、空中店舗フィル・パーク事業の詳細やファンドの組成にかける想いなどについて伺いました。
ーーまずはフィル・カンパニー社の事業内容について教えてください
<小豆澤氏>フィル・カンパニーはコインパーキングの上部空間を店舗として活用する「空中店舗フィル・パーク」事業を中心に展開しています。
通常のコインパーキングは日中は寂しく、夜間は薄暗いため人によっては危険性すら感じてしまうような場所です。そうした場所を、コインパーキングを残したまま上部空間を店舗として活用し、デザイン性の高い施設を建築することで、土地を活用したいオーナー様にさらなる収益化の機会をご提供するとともに、周辺に人が行き交うようになることで街に灯をともすというのが私どもの事業です。
ーーこれまでに開発された物件を見ると独特な構造の建物が多いように見受けられます
<能美氏>地震が多いこと等から、日本は建築基準法と消防法が厳格な傾向にあります。とりわけ「空中店舗フィル・パーク」事業の場合、コインパーキングが1階にありながら、商業施設を上部空間に設けようとするため、規制がさらに厳しくなるんです。
そうした厳格な規制の中で、いかにテナントスペースを設計・建設するのかという部分とにらめっこしているのが私たちの事業であり、技術です。今までコインパーキングの上にテナントスペースを設けるというアイデア自体は存在しましたが、実際にやりきろうと思うと、こうした壁がいくつも立ちはだかります。
「空中店舗フィル・パーク」事業は、それを実現すべく工夫を凝らし、10cmレベルの空間までも有効に活かすようにこだわった結果として独特な構造の建物が多くなっています。
ーーフィルパーク事業を成長させる上で苦労したことはありますでしょうか
<能美氏>複雑な構造の土地・物件の限られたスペースを活用するべく、前述のような規制や各地域の条例を鑑みながら、今までにないものを毎回作り上げているので、実は全ての案件が大変です。
とりわけ初期は、空中店舗のコンセプトに対する認知が十分に広がっておらず、そもそも受注することも難しかったですし、ノウハウが無い中、実際に空中店舗を建設する際は非常に苦労しました。 ただ、こうした土地の活用はオーナー様も頭を悩ませることですし、社会・地域の問題にも発展するようなことだと考えています。
土地活用に失敗する可能性や地域の活性化が望まれる場所にフィル・パーク事業を通して、息吹を与えられる。そう考えながら空中店舗の実現にこだわったところに、結果として、独自のノウハウや技術が芽生えて、今に至っているのです。
ーーフィル・カンパニー社の事業には、コインパーキングの上部以外を対象とするものもございますね。これらはどのような事業なのでしょうか
<能美氏>いわゆる狭小地という、法制度などの観点などから簡単には建築ができず、取り残されていたような場所に立つ物件を主な対象としています。
こうした狭小地に建つ物件は、かつて町家としてにぎわっていた場所で、間口が狭く奥行の深い、独特の造りになっています。一方で狭小地であるがゆえに、その活用が難しく、手付かずのままであった結果として、建物は古びてしまい、街が暗い印象になっています。
こうした物件は、複数の土地がまとめて買い上げられない限り、新たな開発がなされないことが多いです。当社はフィル・パーク事業を通じて、狭小地の開発に関するノウハウ・技術をこれまで築きあげてまいりました。
こうした技術をもってすれば、ポツンと残ってしまっている狭小地であったとしても開発ができ、その街に灯をともし、活気をもたらすことができます。我々は、このような自分達だからこそ貢献できる事業に価値を感じており、フィル・パーク事業のノウハウの集積として、今後積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
ーーFundsで募集を行うファンドのスキームで借り手企業となっている株式会社Trophyを設立した背景を教えてください
<小豆澤氏>Trophyは、フィル・カンパニーといちご株式会社の100%連結子会社である株式会社セントロの合弁会社です。
フィル・カンパニーとしては、個人の皆様がファンドという媒体を通じてまちづくりにご参加いただけるようになることに対して強い想いがあります。その想いに共感して頂いている同じく上場企業である「いちご社」の連結子会社の力もお借りし一緒にまちづくりに取り組むことを企図して、Trophy設立に至りました。
ーー今回、ファンドの組成を行う背景や想いについて教えてください
<小豆澤氏>私達が本当に行いたいのは、今では廃れてしまい、普段は通り過ぎてしまって何とも思わなかったような場所が、愛着のある場所に変わっていく。そんな「街に灯をともす」ような取り組みをたくさんの企業・個人と共に行っていきたいと考えています。
フィル・カンパニーが展開しているのは、オーナー様のみならず、テナント様や街にも喜ばれるような事業であり、こうした喜びの循環を生み出せることが本質的な価値だと考えています。
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