新築マンションの価格高騰がニュースなどで報道されていますが、人手不足やコストが上昇していることから、今後もこの傾向は続くでしょう。
価格の上昇傾向は、中古マンションも例外ではありません。新築マンションの価格高騰にともない、割安感のある中古マンションが今注目されています。
この機会を逃す手はないと、マンション売却を検討している人も少なくないでしょう。しかしすべてのマンションが、スムーズに売却できるとは限りません。
この記事では、売れるマンションの8つの条件について解説します。より高く売却するためのコツも紹介しますので、マンション売却を検討している方はぜひ参考にしてください。
売れるマンションの8つの条件
売れるマンションの条件とは何でしょうか。もし「売れるマンション」に条件があるのであれば、売却前に知っておきたいものです。
実は早期に売却しているマンションと、そうではないマンションには違いがあり、売れるマンションには共通項があります。
この章では、売れるマンションの条件を8つ紹介します。該当する数が多いマンションほど、売れやすいということになります。所有するマンションが当てはまるかどうか、ぜひ確認しながら読み進めてください。
- 立地がよく利便性が良い
- 日当たりや眺望が良い
- 管理の状態が良い
- 人気の間取り・広さである
- 築年数が古すぎない
- 住環境が良いエリアにある
- 希少性が高い・競合物件が少ない
- 大手デベロッパーのマンションである
1.立地がよく利便性が良い
最寄り駅から近く、日常の買い物や医療施設への通院が便利なマンションは人気があり、まず売却に苦労することはないでしょう。
国土交通省が5年に一度公表しているマンション総合調査結果(2018年)によると、マンション購入の際に考慮した項目で一番多かったのは、「駅からの距離など交通利便性(72.6%)」でした。
また約53%の人が「日常の買い物環境」を重視しており、約40%の人が「周辺の医療・福祉・教育等の公共公益施設の立地状況」を挙げています。売れるマンションの条件として、交通や買い物、通院、通学の利便性はもっとも重要な条件の1つといえます。※1
2.人気の間取り・広さである
利便性がどんなに良いマンションでも、住む家族にとって間取りや広さが適当でなくてはなりません。マンションの人気の間取りや広さは、エリアによって需要が異なるため一概にいうことはできませんが、小さすぎてもまた大きすぎても売りにくくなることがあります。
ちなみに東日本不動産流通機構(レインズ)の「季報MarketWatchサマリーレポート」によれば、成約したマンションの専有面積の平均値は63.93㎡で、前年比で1.1%拡大しています。※2
間取りについては、ベットタウンともいわれるエリアではファミリータイプである3LDKや4LDKが人気です。一方都心部では、比較的購入しやすいコンパクトな間取りも人気があります。
3.日当たりや眺望が良い
住まいに日当たりを求める人は多く、北向きよりも南向きの方が売りやすく、とくに開放感のある角部屋は人気があります。
購入希望者はマンションならではの眺望を望む傾向があり、低層階よりも他の建物の影響を受けにくい高層階が好まれます。とくにタワーマンションでは、その傾向が顕著になります。
また富士山や東京タワーなどが見える部屋は人気があり、その希少性から高値がつくこともあります。
4.管理の状態が良い
マンションは「管理を買う」と表現するほど、管理状態が重要です。維持管理がきちんと行われているマンションは見栄えもよく、住み心地も良いため、区分所有者の満足度も高いでしょう。
また大規模修繕工事が適正に行われていることで、建物や設備をよい状態で維持しやすく、資産価値にもつながります。
そして管理が良いマンションは結果的に売りに出されるケースが少なく、価格が下がりにくいのが特徴です。
5.築年数が古すぎない
中古マンションは新しいほど希少性が高く、人気もあるため早期売却が望めます。新築マンションの価格が高騰していることもあり、都心部で築5年以内のマンションであれば、新築とさほど変わらない価格で成約に至っているケースもあるほどです。
中古マンションを売却するのであれば、水回りの設備にまだ劣化が見られず、リフォーム費用があまりかからない築10年以内までのタイミングがおすすめです。
6.住環境が良いエリアにある
駅近であっても、繁華街にあるマンションは敬遠される傾向があり、売れ行きに少なからず影響します。とくにファミリー層は住環境を重視するため、近くに大きな公園があるなど、自然に恵まれた環境は大きなプラスポイントになります。
また大きな街道沿いにあるマンションよりも、閑静な住宅街にあるマンションが好まれます。
7.希少性が高い・競合物件が少ない
不動産は需要と供給のバランスによって、売れやすくなったり、逆に売れにくくなったりします。
つまり、需要があるエリアなのに売り出されているマンションが少なければ、早期に売れる可能性があります。しかし競合するマンションが多すぎると、売却に苦労するおそれがあります。
したがってマンション自体に希少性があり、あまり売り物件が出ないエリアのマンションは、売却しやすい条件を備えているといえます。
8.大手デベロッパーのマンションである
大手デベロッパーのマンションは「ブランドマンション」と称されることもあり、大手が手掛けているという安心感から、実際に人気があります。
中古マンションを購入するのにデベロッパーを限定している方は少数派ですが、ブランドマンションであることが、購入の後押しになることはまちがいないでしょう。
なるべく高く売却するためにすべきこととは?
中古マンションをなるべく高く売るためには、どのようなことに注意したらよいのでしょうか。この章では、高くそしてスムーズに売却するためのポイントを5つ紹介します。
- 相場価格を把握する
- 適正価格で売り出す
- マンション売却が得意な不動産会社へ依頼する
- 需要が高まる時期に売り出す
- 内覧前に念入りに清掃する
相場価格を把握する
不動産会社へ査定依頼する前に、ある程度相場価格を調べておきましょう。同じマンション内で売り物件があればチラシなどをとっておき、近隣で同等クラスの売り物件があれば、相場価格を把握しておきます。
相場価格を確認しておくことで不動産会社の査定額に納得しやすく、適正な価格かどうかの判断もできます。
また不動産会社によって査定額が異なることがあるため、不動産査定は2~3社以上に依頼し、かならず比較するようにしてください。
適正価格で売り出す
マンションは価格設定が高すぎると売りにくく、売却に時間がかかってしまいます。早期売却を目指すのであれば、適正価格で売り出すようにしましょう。
売却に時間をかけ過ぎると売れ残り感が出てしまい、大幅な値下げをせざるを得なくなることがあります。適正価格で売り出すことが、結局は高値での売却につながると心得ましょう。
もし売り出しても反響や内覧数が極端に少ないと感じるときは、不動産会社と相談して価格の見直しを行いましょう。
マンション売却が得意な不動産会社へ依頼する
マンション売却を依頼するのであれば、マンション売却を得意とする不動産会社へ依頼しましょう。
不動産によって特徴が異なり、マンション売却が得意な不動産会社もあれば、戸建て住宅の売却に注力している会社もあります。
不動産がスムーズに売却できるかどうかは、不動産会社の力量や独自のノウハウによるところが大きいため、依頼先の選定にも注意が必要です。
需要が高まる時期に売り出す
不動産を売却するのであれば、需要が高まる時期にタイミングを合わせて売り出しましょう。一般的に新生活や新学期を迎える前の、1~3月が不動産業界の繁忙期といわれています。
もし売り出しのタイミングを合わせられるのであれば、繁忙期に売り出せるように、12月中旬ごろには不動産会社へ査定依頼しましょう。もし年末年始に合わせるのが難しいときは、気候が比較的良く、新居探しに適した9~10月にタイミングを合わせる方法もあります。
内覧前に念入りに清掃する
売れるマンションの条件を備えていたとしても、室内の汚れが目立つときは、敬遠されることがあります。内覧前には、とくに汚れが目立ちやすい水回りや玄関を念入りに清掃しましょう。
また物が多すぎると室内がせまく感じられるため、新居への引っ越しに備えて不要物は処分し、整理整頓も心がけてください。
マンション売却の一般的な流れ
最後に、マンション売却の一般的な流れを紹介します。
- 相場価格を調べる
- 複数の不動産会社に査定依頼する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 内覧に対応する
- 売買契約を締結する
- 新居へ引っ越しする
- 残代金決済・マンション引き渡し
- 確定申告
相場価格を調べる
まず適正価格で売り出すためにも、相場価格を調べます。不動産ポータルサイトで同等クラスのマンション価格の成約事例を検索してみましょう。
不動産情報ライブラリ
国土交通省が運営するWEBサイトです。不動産の取引価格や成約価格だけでなく、都市計画情報なども一緒に検索できます。
レインズマーケットインフォメーション
国土交通大臣指定の不動産流通機構である、レインズが運営しているサイトです。マンションの成約事例を、都道府県や地域を絞って検索できます。
複数の不動産会社に査定依頼する
査定価格を比較するためにも、2~3社へ査定依頼しましょう。査定には机上査定(簡易査定)と訪問査定がありますが、どちらも基本的には無料で依頼できます。
売却する場合、必ず訪問査定が必要になります。初めから訪問査定を依頼する方法もありますが、机上査定で不動産会社の特徴や担当者との相性を確認してから、訪問査定を依頼する方法もあります。
不動産会社と媒介契約を締結する
次に売却を依頼する不動産会社と、媒介契約を締結します。媒介契約は3種類あり、1社に依頼するときは専任媒介契約(もしくは専属専任媒介契約)、複数社に依頼するときは一般媒介契約になります。それぞれ以下の通り、特徴が異なります。希望や条件に合わせて選びましょう。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数社との契約 | 〇 | × | × |
指定流通機構(レインズ)への登録 | 任意 | 義務(7営業日以内) | 義務(5営業日以内) |
不動産会社の売主への業務報告 | 任意 | 義務2週間に1回以上 | 義務1週間に1回以上 |
自己発見取引(売主が自ら発見した相手との契約) | 〇 | 〇 | × 必ず媒介契約を結んだ不動産会社を介して契約する必要あり |
契約有効期間 | 法律上の制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
※ 媒介契約とは?
内覧に対応する
媒介契約締結後、早ければ次の週末に内覧希望者が現れる可能性があります。基本的には不動産会社の担当者が内覧に対応しますが、マンションについての質問が出た際は、快く答えましょう。
内覧に備えて念入りに清掃し、購入希望者にきれいな状態で見てもらいましょう。水回りは汚れが気になる箇所です。掃除が難しいときは、必要に応じてハウスクリーニングの利用を検討しましょう。
売買契約を締結する
売買価格や引渡し条件に買主と折り合いがついたら、契約日を定めて売買契約を締結します。売買契約時には買主から手付金を受領し、不動産会社へ仲介手数料の半額を支払うのが一般的です。
仲介手数料の支払い方法は不動産会社によって異なるため、詳細については不動産会社へ確認するようにしてください。
新居へ引っ越しする
引渡し日の前日までに、新居へ引っ越しを済ませます。なお水道やガス、電気などについては、解約することを忘れないようにしましょう。
残代金決済・マンション引き渡し
決済日に買主は売主に残代金を支払い、売主は住宅ローンの残債があれば完済してマンションを引き渡します。
司法書士へ依頼して、その日のうちに所有権移転登記を申請します。不動産会社へ売買契約時に仲介手数料の半額を支払っている場合は、その残りの半額を決済日に支払います。
また引き渡し日に、マンションの鍵や管理規約、取扱説明書などを買主へ渡すことになります。
確定申告
マンションを売却して利益(所得)が発生したときは、翌年に確定申告を行い、譲渡所得税を支払います。
確定申告は1月1日から12月31日に生じた所得を、翌年の2月16日から3月15日に申告します。
まとめ
マンション価格は10年以上にわたって値上がりし続けていますが、すべてのマンションがスムーズに売却できるということではありません。
マンション売却を検討しているのであれば、売れるマンションの特徴を理解し、必要に応じて高く売るためのコツを実践しましょう。
適正価格で売り出すためにも、まずは相場価格を把握し、不動産会社へ査定依頼するところからぜひ始めてみてください。
※1:平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
※2:季報MarketWatchサマリーレポート 2024年1~3 月期