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    4LDKのマンションは売れない?成約の傾向から理由と対策を徹底解説

    3LDの間取りと比べ、流通する戸数が少ない4LDKマンションは、部屋が多すぎる、専有面積が広すぎるため、なかなか売れないのではと悩んでいる方もいるかもしれません。

    確かに、4LDKのマンションは3LDKと比べても、戸数は少なく、少子化が進む日本では需要が減少している側面もあります。

    しかし、コロナ以降リモートワークが普及し、家で過ごす時間が増えた人もいるなか、一戸建てと同等の広さを手に入れられる4LDKマンションには、2LDKや3LDKのマンションにはないアピールポイントもあります。

    この記事では、4LDKマンションの成約傾向やターゲット層を踏まえたうえで、なかなか売れない場合の対策について解説します。

    目次

    4LDKマンションの成約件数と売買相場

    4LDKマンションを売るための対策を考えるうえで、まず成約件数や売買価格の傾向をつかむことが大切です。売却活動にあたって競合する3LDKマンションとの違いについても解説します。

    4LDKマンションの成約件数

    以下の表は、2022年度の間取り別の成約件数を3大都市圏についてまとめたものです。※1、2、3

    ワンルーム1DK
    1LDK
    2DK
    2LDK
    3DK
    3LDK
    4DK
    4LDK
    5DK
    5LDK以上
    首都圏1,654件(4.7%)6,050件(17.1%)9,757件(27.6%)15,797件(44.6%)2,062件(5.8%)61件(0.2%)35,381件
    近畿圏406件(2.4%)1,849件(10.8%)3,858件(22.6%)9,034件(53.0%)1,856件(10.9%)46件(0.3%)17,049件
    中部圏104件(1.9%)437件(7.8%)1,058件(18.9%)2,910件(52.1%)1,052件(18.8%)27件(0.5%)5,588件

    3都市圏とも、4LDKの割合は他の間取りと比べても少なく、3LDKの割合がおよそ全体の半数を占めています。特に、首都圏では4LDKマンションの成約件数は、全体の5.8%と少なく、代わりに1LDKや2LDKの割合が高い傾向です。

    これは、地価も高く新築分譲時の販売価格が高くなりやすい首都圏では、購入層も限られることから、4LDK間取りのマンションの流通戸数が少ないことが考えられます。

    近畿圏や中部圏では、首都圏と比べると4LDKのマンションの割合は高くなっているものの、3LDKのマンションと比べると大きな差があります。

    ここから言えることは、3都市圏とも、3LDKと比べると4LDKマンションのマーケット規模は小さく、不動産取引の流動性が高くないということです。

    首都圏や近畿圏に関しては、2LDKのマーケット規模よりも小さく、少子化がすすみ1家族あたりの世帯人数が減る傾向にある日本では、売却が難しい面もあるといえるでしょう。

    4LDKマンションの価格相場

    以下の表は、2022年度の3大都市圏の売買相場をまとめたものです。※1、2、3

    成約価格( )内は専有面積㎡単価
    首都圏4,259万円(92.81㎡)45.90万円
    近畿圏2,810万円(87.62㎡)31.30万円
    中部圏2,363万円(88.87㎡)26.59万円

    4LDKの間取りに対して、3都市圏ともおよそ90㎡前後の広さになっています。ただ、首都圏は、専有面積、㎡単価とも他の地域より高いため、成約価格がかなり高くなっています。

    3LDKと4LDKのマンションの比較

    4LDKのマンションを売却するとき、他の4LDKのマンション以外に競合する可能性が高いのが、3LDKのマンションです。

    そこで4LDKマンションと3LDKを成約価格、㎡単価、専有面積で比較しました。※1、2、3

    首都圏近畿圏中部圏
    4DK
    4LDK
    3DK
    3LDK
    4DK
    4LDK
    3DK
    3LDK
    4DK
    4LDK
    3DK
    3LDK
    専有面積92.81㎡73.27㎡87.62㎡72.79㎡88.87㎡76.32㎡
    ㎡単価45.90万円61.09万円31.30万円36.86万円26.59万円29.83万円
    成約価格4,259万円4,476万円2,810万円2,748万円2,363万円2,277万円

    4LDKと3LDKでは専有面積に違いはあるにもかかわらず、すべての地域において成約価格に大きな差がないことが分かります。首都圏については、3LDKの成約価格が4LDKを上回っており、他の地域でも3LDKマンションとの価格差は100万円内におさまっています。

    これは、3LDKマンションの㎡単価が4LDKと比べ高いことが要因です。間取り別の㎡単価を比較すると分かりますが、専有面積が広くなるほど㎡単価は下がる傾向です。

    以下の表は、首都圏における間取りと㎡単価の関係をまとめたものです。※1

    間取り(専有面積)㎡単価
    1DK・1LDK(39.84㎡)92.42万円
    2DK・2LDK(62.05㎡)80.82万円
    3DK・3LDK(72.27㎡)61.09万円
    4DK・4LDK(92.81㎡)45.90万円
    5DK・5LDK以上(117.18㎡)34.20万円

    1LDKと比べると4LDKマンションの㎡単価は、およそ1/2になっています。

    つまり、専有面積が広い分、成約価格が高くなると考えてしまうかもしれませんが、それだけでは成約価格は決まらないということです。成約価格にはさまざまな要因が関係しますが、広さという点では、専有面積が大きいほど評価が低くなっているといえます。

    つまり、売却時の価格設定においても、専有面積の広さや部屋数の多さを重視し過ぎると、なかなか売れない状況に陥る可能性があるということです。

    4LDKのマンションが売れない理由

    ここまでの成約傾向を踏まえながら、4LDKのマンションが売れない理由としてどういう点が考えられるか、3LDKとの比較も含めて解説します。

    間取りのニーズが少ない

    1つめは、4LDKという間取りの需要が少ないことです。

    4LDKマンションのターゲットは、子育て世帯、なかでも子ども2人以上のファミリー層が考えられます。

    この点、2020年の国勢調査※4によると、一般世帯の1世帯あたりの人数は2.21人と前回2015年(2.33人)と比べても減少傾向です。過去の世帯人員別の推移をみても、1~2人世帯の数は増加する一方、3人以上の世帯数は、2000年以降減少し続けています。

    つまり、4LDKのマンションを購入する層が、年々減少傾向にあることが要因の1つと考えられます。

    管理費や修繕積立金などの維持費が高い

    2つめは、管理費や修繕積立金などの維持費の高さです。

    以下の表は、マンションの維持費の算出方法について調査した結果です。ほとんどのマンションの管理費や修繕積立金は、専有面積の割合によって負担が決められます。※5

    各戸の専有面積の割合に応じて算出各戸均一その他・不明
    管理費88.7%7.3%4.0%
    修繕積立金81.3%9.3%9.4%

    つまり、4LDKは専有面積が広い分、管理費や修繕積立金の負担が大きくなりやすく、固定資産税・都市計画税を含めると、購入後の維持費は高くなる傾向です。築年数を経過しているマンションであれば、修繕積立金の増額が実施されている場合もあり、その影響を受けやすいのも専有面積が広いマンションです。

    マンション購入者は、こういった維持費以外に住宅ローン返済や駐車場代、火災保険料などのコスト負担を考えて購入判断します。マンションの維持費を含めた月々の負担の大きさが、4LDKマンションが売れない要因の1つといえるでしょう。

    価格設定が高い

    3つめは価格設定が高い場合です。価格設定が高い要因は、高値売却を狙いすぎている場合と価格設定が間違っている場合があります。

    高く売却したい意向は分かりますが、確実に売却するためには、高値過ぎると難しくなります。価格帯などにもよりますが、一般的に相場より10%まで高くなると売却は難しくなる傾向です。

    また、マンションの売り出し価格を決めるときに不動産会社の査定結果を利用しますが、このとき取引事例比較法という査定方法が一般的に使われます。取引事例比較法は、近隣エリアの過去の取引事例をもとに物件の個別要因を比較しながら価格を決める方法です。

    この点、4LDKマンションは3LDKと比べると成約件数が少なく、取引事例も少なくなります。首都圏に関していうと、およそ3LDKマンションの1/7~1/8程度です。取引事例比較法は、比較する事例や条件が近い事例数が多いほど精度の高い査定金額を算出できます。

    そのため、取引事例が少ない4LDKマンションでは、査定の精度が悪く、売り出し価格の設定が間違っている可能性もあります。

    一戸建てと競合する

    4つめは、一戸建てと競合する点です。

    4LDKマンションのターゲット層は、子どもが2人以上いるファミリー層が中心と考えられます。

    そのため、4LDKマンションの購入層は、マンションだけでなく一戸建てを含めて探している人も多く、エリア内で売り出されている一戸建てと競合します。

    一戸建てとマンションの大きな違いは、維持費です。一戸建ては、マンションのような管理費や修繕積立金の負担はありませんし、ファミリー世帯では必要とされやすい駐車場代がかからないケースも多いでしょう。

    もちろん、一戸建てでも将来の外壁や屋根のメンテナンスやリフォーム費用の積立は必要ですが、売り出し価格があまり変わらなければ、月々のランニングコストを考え一戸建てを選ぶ人もいるでしょう。

    4LDKのマンションを売却するときのターゲット層

    4LDKマンションを売却する際のターゲット層を明確にすることで対策が立てやすくなります。

    ファミリー層

    4LDKのターゲットの中心はファミリー層です。なかでも子どもが2人以上いる世帯のニーズに合いやすい間取りです。子ども2人にそれぞれ1部屋ずつを与え、残り2部屋を夫婦の寝室と仕事部屋、もしくは夫婦それぞれの部屋として使うことが考えられます。

    子どもが多い世帯でも3LDKで子ども部屋を2人でシェアするなどの使い方も考えられますが、性別が違ったり、年齢が離れ生活時間帯が違ったりすると、別々の部屋の必要性が高くなるでしょう。

    仕事部屋や趣味の部屋が欲しい人

    仕事部屋や書斎、趣味の部屋が欲しい人もターゲットとなります。特に、コロナ以降リモートワークが普及し、部屋数や独立した部屋の要望は強くなっています。

    また、狭くても趣味やゲームに没頭できるスペースや落ち着ける書斎が欲しい人にも需要が高くなります。ワンフロアのマンションの場合、子どもがいる家庭では、独立した部屋がないと落ち着ける環境を確保することはが難しい場合が多いでしょう。

    収納スペースを確保したい人

    物が多く収納スペースをしっかり確保したい人もターゲットです。

    特にマンションの場合、収納は購入判断の重要ポイントの1つです。内覧時に収納の奥行や高さをしっかりとチェックする人は一定数いますし、リフォーム後に収納スペースをしっかり確保する人もいます。

    一般的な収納率(収納面積÷延床面積)は、マンションの場合8~10%、一戸建ての場合10~15%といわれていますが、所有物が多い人や居住スペースを有効に使いたい人には足りないケースもあるでしょう。4LDKの1部屋もしくはその一部でも収納として活用できれば、そういった人のニーズを満たすことができます。

    ペット用の部屋が欲しい人

    ペットの部屋が欲しい人にも4LDKマンションのターゲットとなります。

    サイズや飼育数など管理規約による制限はあるものの、ペットが飼えるマンションは数多くあります。

    リビングの一画にケージを設置したり、簡易的なゲートで部屋を仕切る方法もありますが、その分スペースをとり、部屋が狭くなります。ペット好きで複数飼いたい人は、ターゲットになるでしょう。

    来客が多い人

    来客が多い人もターゲット層です。自宅で仕事をすることが多く、打ち合わせや作業のために人が訪れる家もあるでしょう。

    来客のたびに、リビングや居室を片付けたり、掃除したりするのは手間がかかることもあります。身内などが泊まりにくることが多い人にも部屋の多さはアピールポイントとなります。

    4LDKのマンションが売れないときの対策

    ここまでの4LDKマンションの成約傾向とターゲット層を踏まえ、なかなか売れないときの対策について解説します。

    4LDKのメリットを訴求する広告

    4LDKという間取りのメリットをしっかりと訴求する広告になっているか確認しましょう。

    4LDKのメリットを大きくまとめると次のようになります。

    • マンションでありながら戸建てと同水準の床面積を確保できる
    • 部屋数が多く、仕事・趣味の環境やプライバシーを確保しやすい
    • 将来のライフスタイルの変化に対応しやすい

    リモートワークのほか書斎や趣味の部屋を確保できるだけでなく、家族のプライバシーを確保しやすい点も訴求しましょう。子どもが勉強に集中しやすい環境を提供できる点など、実際に生活するなかで感じるメリットを含めてもよいでしょう。収納がしっかりと確保されている間取りであれば、収納率の高さをしっかりアピールすることが大切です。

    また、子どもが増えた、親を引き取ることになったなど、家族構成に変化が生じても対応しやすい点もメリットです。リフォームは必要ですが、家族構成の変化に合わせて、リビング続きの部屋をつぶして、4LDKから3LDKにしたり、ウォークインクローゼットのような使い方に変更したりすることも可能です。

    ホームステージングの活用

    ホームステージングを活用することも有効な方法です。

    4LDKのように部屋数が多いことは、間取りの使い方の選択肢が多いことでもあります。リビングから続きの部屋を含めた広い空間を、家具やインテリアを配置することで魅力的に演出できれば成約率の向上が期待できます。ホームステージングを実施して内覧会を積極的に開催することも考えられます。

    ホームステージングは、内覧時だけでなく、不動産ポータルサイトに掲載する画像や動画にも活用できますので、反響数や問合せ数の向上につながる場合もあります。不動産会社のなかには、無料でホームステージングを提供しているところもありますので判断材料の1つとしましょう。

    内覧時の掃除や片付け

    内覧時には、部屋の掃除や片付けをしっかり行うことが大切です。

    4LDKの広い間取りで部屋がすっきり片付いていれば、部屋全体を広く見せることもでき好印象を持ってもらいやすくなります。

    もともとある収納やウォークインクローゼットだけでなく、居室を収納として活用しているのであれば、きれいに収納されていると、部屋の使い方をイメージしやすくなることもあるでしょう。

    立地や築年数を踏まえた価格設定

    立地や築年数を踏まえた価格設定をすることが重要です。

    3LDKと比べて比較事例が少なく、不動産会社の査定結果にも差が出やすいため、相場や売出価格について再度確認することが必要です。

    3大都市圏における成約価格をみても、競合する3LDKと4LDK価格差は少なく、首都圏に関しては3LDKの価格が4LDKの価格を上回っています。

    成約価格には、立地や築年数が大きく影響しますので一概にはいえませんが、広さや間取りの希少性を重視し過ぎて、強気の価格設定になっていないか確認してみましょう。

    4LDKのマンションは、管理費や修繕積立金の負担が大きくなりやすく維持費の負担がポイントとなります。住宅ローン返済額に影響する売り出し価格の設定は、他の間取り以上に慎重にしなければなりません。

    マンション売却に強い不動産会社の活用

    マンション売却に強い不動産会社を活用することです。

    ここまで解説してきたように、4LDKマンションの売り出し価格は、慎重に査定しながら、維持費の負担を踏まえて決める必要があります。また、4LDKの間取りが持つメリットや魅力をしっかりと訴求する広告、販売活動をすることがポイントです。

    そのため、4LDKの間取りを含めたマンションの販売実績が豊富で、マンションのメリットをしっかりと伝えられる不動産会社に依頼することが重要になります。一括査定で複数の不動産会社に依頼する場合は、査定金額だけでなく、次の点を比較して決めましょう。

    • 査定金額の算出根拠
    • 管理費や修繕積立金を含めた売り出し価格の設定金額
    • 4LDKマンションの広告の仕方・販売方法
    • エリア内のマンション販売実績

    不動産買取を活用

    さまざまな対策を講じたものの売れない場合は、不動産買取を検討しましょう。不動産買取は、不動産会社が買主と売主との間に入る仲介とは異なり、不動産会社が買主となってマンションを買い取る方法です。

    買い取った不動産会社は、リフォームやリノベーションし再度販売します。そのため、買取価格は市場価格の6~8割程度と低くなりますが、現金化までのスピードが速く、そのままの状態で買い取ってもらえる点などがメリットです。

    また、マンションの状態が悪く、購入後にかかるリフォーム費用が見えにくいため、なかなか売れないケースもあります。特に、専有面積が広いマンションだとリフォーム費用もかかりやすいため、買手が見つからない場合などは買取を活用しやすいケースの1つです。

    まとめ

    4LDKのマンションの成約の傾向から売れない理由、対策まで解説しました。

    4LDKマンションの一番の特徴は、専有面積の広さと部屋数の多さです。ただ、それだけで価格が決まるわけでなく、物件によっては3LDKのマンションより成約価格が安くなる場合もあります。加えて、4LDKのマンションは、維持費が高くなりやすく、価格設定は特に慎重にする必要があります。

    また、専有面積の広さや十分な収納が確保できる点など、競合する3LDKのマンションにはないメリットを広告や販売活動で訴求することが大切です。ターゲット層は、子どもがいるファミリー層が中心になりますが、その他実際に住んで感じるメリットを含めてしっかりアピールしましょう。


    ※1:公益社団法人東日本不動産流通機構「中古マンションの間取り別成約件数(2022年度)」
    ※2:公益社団法人近畿圏不動産流通機構「中古マンションの間取り別成約件数(2022年度)」
    ※3:公益社団法人中部圏不動産流通機構「中古マンションの間取り別成約件数(2022年度)」
    ※4:総務省、令和2年国勢調査
    ※5:国土交通省、平成30年マンション総合調査

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