不動産の売却価格は、相場や査定額を基に決めます。
「所有している不動産がどれくらいの価格で売れるのか知りたい」
「不動産の売却相場を手軽に調べたい」
このような人に向けて、不動産の売却相場を自分で調べる方法について紹介します。
また、以下の内容もあわせて解説するので、不動産を売却する際には参考にしてください。
- 査定を依頼する際の注意点
- 査定結果の比べ方
- 査定額を左右するポイント
- 不動産を早く売却するための工夫
不動産を少しでも高く・少しでも早く売却するために、相場や査定について理解を深めていきましょう。
不動産の売却相場を自分で調べる方法
不動産の売却相場は、以下のサイトで調べられます。
- 不動産情報サイト
- 土地総合情報システム
- レインズマーケットインフォメーション
それぞれの概要や使い方について、詳しく見ていきましょう。
不動産情報サイト
不動産情報サイトとは、一般向けに不動産の情報を掲載しているサイトのことです。
「SUUMO(スーモ)」や「athome(アットホーム)」のようなサイトを指します。
不動産情報サイトの使い方は、以下のとおりです。(例:SUUMO)
- SUUMOを検索し、トップページを開く
- 「買う」の項目で「中古一戸建て」をクリックする
- 売却したい不動産と同じエリアを選択していく
- 「この条件で検索する」をクリックする
- 表示された不動産の中から、売却したい不動産と条件が近い不動産を探す
- 5の不動産の「販売価格」を確認し、参考にする
なお、上記は一戸建てを売却したい場合を想定しています。
マンションの一室を売却したい場合は「買う」の項目から「中古マンション」を選択してください。
検索結果が多く出てきた場合、間取りや築年数の条件で絞り込みましょう。
売却したい不動産と条件が近い不動産を探しやすくなります。
不動産情報サイトの注意点は、実際に取引された価格ではなく、売り手の希望価格が掲載されていることです。
実際の取引価格は、売り手と買い手の交渉によって、希望価格から変わるケースがよくあります。
次に紹介する「土地総合情報システム」や「レインズマーケットインフォメーション」では、実際の取引価格を調べられます。
土地総合情報システム
土地総合情報システムとは、国土交通省が運営するサイトのことです。※1
サイト内には、以下3つの項目があります。
- 不動産取引価格情報検索
- 地価公示都道府県地価調査
- 不動産取引価格アンケート回答
「不動産取引価格情報検索」では、過去におこなわれた不動産取引の価格を調べられます。
価格のデータは「不動産取引価格アンケート回答」で集められたものです。
「地価公示都道府県地価調査」では、公示地価・基準地価を調べられます。
過去の取引価格や公示地価・基準地価は、いずれも売却相場の参考になります。
それぞれの調べ方について、詳しくみていきましょう。
土地総合情報システムで「過去の取引価格」を調べる方法
土地総合情報システムで過去の取引価格を調べる方法は、以下のとおりです。
- 土地総合情報システムのトップページを開く
- 「不動産取引価格情報検索」をクリックする
- 直近の時期を選択する
- 売却したい不動産と同じ「種類」と「地域」を選ぶ
- 「この条件で検索」をクリックする
- 表示された不動産の中から、売却したい不動産と条件が近い不動産を探す
- 6の不動産の「取引総額」を確認し、参考にする
取引情報は、個人のアンケートを基にしているため、住所の詳細までは確認できません。
最寄り駅からの距離や築年数、面積などから、売却したい不動産と条件が近い不動産を探しましょう。
公示地価・基準地価とは?
公示地価と基準地価は、過去の取引価格と同じく、不動産の売却相場の参考になります。
「わかるようでわからない」という人も多いため、調べ方の前に概要を解説します。
公示地価と基準地価は、どちらも「不動産鑑定士によって定められた土地の評価額」です。
以下のように、基準日や公開機関などに違いがあります。※2
評価額 | 基準日 | 公開機関 | 不動産鑑定士 | 対象となる土地 |
公示地価 | 毎年1月1日 | 国土交通省 | 2人以上 | ・都市計画区域内の土地・取引がありそうな土地 |
基準地価 | 毎年7月1日 | 都道府県 | 1人以上 | ・公示地価と同様・都市計画区域外の土地も含む |
公示地価と基準地価は、あわせて「公示価格」と呼ばれることもあります。
土地総合情報システムで「公示地価・基準地価」を調べる方法
土地総合情報システムで公示地価や基準地価を調べる方法は、以下のとおりです。
- 土地総合情報システムのトップページを開く
- 「地価公示都道府県地価調査」をクリックする
- 地図上で売却したい不動産と同じ地域をクリックする
- 「検索条件指定」で「最新調査年のみ」を選択する
- 「検索」をクリックする
- 表示された不動産の中から、売却したい不動産と条件が近い不動産を探す
- 6の不動産の「価格」を確認し、参考にする
不動産情報の左上には「国土交通省地価公示」または「都道府県地価調査」と書いてあります。
「国土交通省地価公示」が地価公示・「都道府県地価調査」が基準地価のことです。
土地情報の右上にある「詳細を開く」をクリックすると、不動産の「鑑定評価書」を確認できます。
鑑定評価書には、エリアの特性や将来予測が書いてあるため、売却時の参考にしましょう。
なお公示地価・基準地価は、土地のみの価格である点に注意してください。
レインズマーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションとは、国土交通省指定の不動産流通機構が運営するサイトのことです。※3
過去におこなわれた不動産取引の価格を検索できます。
取引価格の情報は、東日本・西日本・中部圏・近畿圏の不動産流通機構が保有しているものです。
レインズマーケットインフォメーションで一戸建ての売却相場を調べる場合は、以下の流れとなります。
- レインズマーケットインフォメーションを検索し、トップページを開く
- 「戸建」の枠にある「都道府県」と「地域」を選択する
- 「検索する」をクリックする
- 「追加検索条件」で売却したい不動産に近い条件で絞り込む
- グラフ上にある緑色の丸を参考にする
グラフの下にある「取引情報一覧」では、不動産の条件と価格を確認できます。
売却したい不動産に条件が似ている不動産を参考にしましょう。
相場を調べたら不動産会社に査定を依頼しよう
売却したい不動産の相場を調べたら、不動産会社に査定を依頼しましょう。
先に自分で相場を調べておくと「査定結果が適正か否か」を判断しやすくなり、主体的かつ納得して売却を進められます。
査定結果は不動産会社によって異なるため、複数社に査定してもらうことで、より具体的な相場がわかります。
不動産会社の査定は、基本的に無料です。
また査定の目的は、不動産の売却相場を知るためだけではありません。
査定を通して、安心して売却を任せられる不動産会社を見つけるという目的もあります。
以下に、査定を依頼する際の注意点と、査定結果の比べ方を解説します。
不動産会社に行く前に、参考にしてください。
査定を依頼する際の注意点
不動産会社に査定を依頼する際には、以下の点に注意しましょう。
- 必要書類を事前に確認し用意しておく
- 不動産のメンテナンス状況を伝える
- すべての不動産会社に同じ条件で査定してもらう
査定の際には、不動産の登記事項証明書や測量図など、いくつかの書類を提出する必要があります。
必要書類は不動産会社によって異なるため、来店予約の際に確認し、用意しておきましょう。
またリフォームや修繕など、適切なメンテナンスをおこなっている場合、アピールポイントになります。
メンテナンスを証明する書類がない場合や、提出書類の中に記載されていない場合は、不動産会社に伝えましょう。
不動産の情報量によって、査定結果が変わることもあります。
そのため、すべての不動産会社に同じ条件で査定を依頼してください。
査定結果の比べ方
複数の不動産会社から査定結果をもらえたら、以下のポイントを確認しましょう。
- 査定額
- 自分で調べた相場との差
- 根拠
- 透明性
査定額は、高ければ高いほど良いというわけではありません。
査定書の内容を確認したうえで「査定結果に納得できるか否か」が大切です。
書面だけではわからない点や、納得がいかない点は、担当者に説明してもらいましょう。
根拠が弱かったり、透明性がないように感じたりする不動産会社とは、売却を依頼しても良い関係を築けない可能性が高いです。
複数社の査定結果を比べたうえで、対応やサービス内容から、総合的に不動産会社を選んでください。
不動産の査定額を左右するポイント
不動産の査定額は、周りに建つ不動産の相場や経済状況によって左右されます。
相場と査定額は比例するため、周りに建つ不動産が高く売却されるほど、査定額も高くなりやすいです。
経済状況は日々変化するため、注意しておかなければなりません。
景気が良かったり金利が低かったりすると、不動産を購入する人が増えるため、査定額が高くなる傾向にあります。
また不動産の査定額を左右するポイントとして、以下のような不動産の条件も挙げられます。
- 築年数
- 建物や設備の状態
- 周辺環境
- 交通の利便性
不動産の条件について、詳しく見ていきましょう。
築年数
不動産は、築年数が古いほど価値が下がるため、査定額も低くなります。
木造一戸建ての場合、価値がゼロになると言われている築年数は、20年です。
築年数が経つほど、建物の主要部分である柱や壁、屋根の耐久性は下がります。
築年数が古い場合は、耐震診断やホームインスペクションをおこないましょう。
ホームインスペクションとは、住宅診断士に建物の状態を確認してもらい、改修のアドバイスをもらうことです。
耐久性の高さを証明できれば、不動産の査定額を上げられる可能性があります。
建物や設備の状態
建物や設備の状態も、不動産の査定額を左右するポイントのひとつです。
以下のように状態が悪いと、査定額が下がってしまいます。
- 設備や配管が劣化している
- 外壁にひび割れがある
- 雨漏りしている
- 水まわりにカビが発生している
建物や設備の状態から「適切なメンテナンスがおこなわれているか否か」が判断されます。
リフォームで見た目をキレイにしたり、設備をグレードの高いものに変えたりすると、査定額が高くなりやすいです。
周辺環境
査定額を左右する周辺環境は、生活利便施設と住環境がポイントです。
生活利便施設とは、以下のような「生活に必要な施設」のことです。
- スーパー
- ドラッグストア
- コンビニ
- 病院
- 学校
不動産の近くに生活利便施設が揃っていると、査定額が高くなる傾向にあります。
また査定額が高くなりやすい住環境は、以下のとおりです。
- 騒音がなく静か
- 車通りが少ない
- 治安が良い
過ごしやすく便利な周辺環境の場合、査定時のアピールポイントになります。
交通の利便性
交通の利便性も、不動産の査定額を左右します。
以下のように交通の利便性が高いと、査定額も高くなりやすいです。
- 最寄り駅に乗り入れている路線の本数が多い
- 主要駅に乗換なしで行ける
- 急行が止まる
また、不動産から駅までの距離も重要です。
駅が近いほど、査定額が高くなる傾向にあります。
とくに一戸建ての場合、駅から離れた住宅街に建てられることが多いため、駅の近さはアピールポイントになります。
不動産を早く売却するための工夫
相場や査定額を出したら、不動産の売却に進みます。
不動産は築年数が経つほど価値が下がってしまうため、早く売却するに越したことはありません。
この章では、不動産を早く売却するための工夫として、以下のポイントを解説します。
- 相場に合わせた売却価格にする
- 建物や設備を修繕する
- 広告に掲載する情報を充実させる
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
相場に合わせた売却価格にする
不動産の売却価格は、相場に合わせて設定しましょう。
相場よりも高すぎてしまうと、買い手が付かなくなってしまいます。
売却価格は、相場や査定額を見ながら、不動産会社と相談して決めるのが一般的です。
売却したい時期も加味して、適切な価格を設定してください。
すぐに売却したいからといって、売却価格を相場よりも極端に安くするのはおすすめしません。
「何か問題があるのではないか?」と、買い手に怪しまれてしまう可能性があるためです。
相場は変動するため、売却価格は定期的に見直しましょう。
建物や設備を修繕する
建物や設備の状態は、不動産の査定額だけでなく、買い手の付きやすさも左右します。
売却するために大規模なリフォームをおこなう必要はありませんが、傷や汚れを可能な範囲でキレイにしておくことが大切です。
設備が壊れている場合は、業者に修理してもらったり、取り替えたりしましょう。
売却で得られそうな利益とのバランスを考えながら、適切な修繕をおこなってください。
内見時には掃除や片付けをしておくと、印象が良くなります。
広告に掲載する情報を充実させる
不動産の広告も、買い手の付きやすさを左右する重要なポイントです。
広告には、以下のような種類があります。
- 不動産情報サイトへの掲載
- レインズへの掲載
- チラシのポスティング
レインズとは、先ほど紹介した「レインズマーケットインフォメーション」ではなく、不動産会社しか見られないネットワークシステムのことです。
レインズに掲載することで、全国の不動産会社に情報を発信することになります。
不動産会社は、レインズの情報を基にして、顧客に不動産を紹介しているのです。
広告には、基本的に不動産の写真と紹介文を掲載します。
買い手が付きやすい広告にするためには、以下のような工夫を施しましょう。
- 可能な限り多くの写真を掲載する
- 明るい印象の写真を選ぶ
- 不動産のアピールポイントを掲載する
広告を工夫することで、買い手の目に留まりやすくなるうえに、各不動産会社に紹介してもらいやすくなります。
まとめ
今回は、不動産の売却相場を自分で調べる方法として、以下の3つを紹介しました。
- 不動産情報サイト
- 土地総合情報システム
- レインズマーケットインフォメーション
不動産会社に査定を依頼する前に相場を調べておくと、査定結果の良し悪しを判断しやすくなります。
複数の不動産会社に査定してもらい、結果を比較してください。
査定額はさまざまな要素で決まるため、ポイントを押さえておくことが大切です。
売却方法を工夫し、信頼できる不動産会社と相談しながら、不動産売却をスムーズに進めましょう。
※1:国交省、土地総合情報システム
※2:SUUMO、公示地価・基準地価・路線価とは?実勢価格とは?違いを解説!購入時や相続時に参考にするのは?
※3:レインズ、マーケットインフォメーション