「マンションの2階は売りにくい」といわれることもありますが、本当に2階は売却に苦戦するのでしょうか?
確かにマンションならではの眺望や防犯性を考えると、上層階に比べて2階は見劣りするかもしれません。しかしマンションの2階には2階ならではのメリットがあり、中には2階の方が向いている人もいます。
2階に住んでいるのにもかかわらず、もしかしたらあなた自身が2階の魅力に気がついていないのかもしれません。マンションの2階に住むメリットを理解し、内覧者に上手にアピールすることで、売却をスムーズに進めることができるかもしれません。
この記事では、マンションの2階に住むメリット・デメリット、2階が向いている人の特徴を紹介します。また、2階のマンションが売れないときの対処法も解説するので、売却を予定している方はぜひ参考にしてください。
マンションの2階に住むデメリット
マンションの2階に住む場合、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか。この章では、まず2階に住むデメリットを6つ紹介します。
不審者が侵入するリスクがある
2階部分はマンションの高層階に比べ、不審者が侵入しやすいことがデメリットとして挙げられます。2階部分はバルコニーから侵入される可能性があるため、基本的には就寝時に窓を施錠する必要があるでしょう。
夏場など、寝るときに窓を開けておきたいと考える人にとっては、マイナスポイントになるかもしれません。また、バルコニーと隣接する建物や電柱、塀などが近い場合は注意が必要です。改めて、外部から不審者が侵入しそうな経路がないか確認しておきましょう。
プライバシーを守りにくい
2つ目のデメリットとして、マンションの2階は歩行者や向かいの建物から視線を感じやすく、プライバシーを守りにくいことが考えられます。
他人の目が気になる場合は、昼間でもレースのカーテンなどで視線を遮る必要があります。また歩行者などから洗濯物も目にとまりやすいため、下着類が盗難されないように注意し、干し方にも工夫しましょう。
日当たりや眺望が悪い可能性がある
マンションの2階部分は、立地や隣接する建物の状況によっては日当たりや眺望を望めない可能性があり、2階が売れにくい要因になることがあります。
高層階であるほど日当たりや眺望がよい傾向があり、とくに眺望を重視する方からは、2階は敬遠される傾向があるでしょう。
内覧時にはカーテンを開けるようにし、昼間でも照明をつけておくことで印象は変わります。なるべく暗い印象を持たれないように工夫しましょう。
外部の騒音を感じやすい
マンションの2階は高層階に比べて地上に近いため、歩行者の会話や道路や線路を走行する車両の音を感じやすい環境になります。
高層階だからといって騒音がしない訳ではありませんが、静かな環境を好む方は、より音が伝わりにくい高層階を好む傾向があります。
二重サッシが採用されているマンションも多く、それほど気にならないケースもあります。実際の騒音については、内覧者に確認してもらいましょう。
立地によっては浸水リスクがある
近年自然災害が甚大化することが増え、中でも海や河川の近くでは浸水リスクを心配し、低層階が敬遠されることがあります。
また自治体が公表するハザードマップなどにより、浸水エリアを確認することの重要性が報道される機会も増えました。浸水の深さが3mを超えるエリアでは2階も浸水するおそれがあるため、マンション売却に影響する可能性を否定できません。
心配する方に対しては、不動産会社の担当者からハザードマップを使って説明してもらうようにし、安易に水害の可能性については答えないようにしてください。
虫が窓から入りやすいから
マンションの2階は窓から蚊やハエが入りやすく、虫が嫌いな人は購入物件の候補から外す可能性があります。
蚊やハエが飛行するのは一般的に地上10m程度までともいわれており、虫が苦手な人は4階以上を条件とすることもあるようです。
虫は人と一緒にエレベーターに乗ってくる可能性もあり、もちろん4階以上であれば虫が入って来ないというわけではありません。
マンションの2階に住むメリット
マンションの2階に住む場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。この章では、2階に住むメリットを6つ紹介します。
他の階に比べて価格が安い
マンションは高層階になればなるほど、価格も高くなる傾向があります。これは新築マンションだけでなく、中古マンションにもあてはまります。
つまり同じマンション内に複数の売り物件が出ている場合、同じ広さでも2階は他の階に比べて安く購入できることが多く、コストパフォーマンスが高いといえます。
たとえば、いわゆるブランドマンションや人気のエリアで手が届かないようなマンションでも、2階なら予算範囲内になる可能性があります。2階マンションの割安感を生かして、売却活動を進めましょう。
固定資産税が安い
タワーマンションは低層階の方が固定資産税も安く、長い目でみると節税効果があります。(2017年1月2日以後に新築されたタワーマンションが適用)とくに地価が高い都心部では固定資産税も高いため、税額はかなり違ってくるでしょう。※1、2
通常同じ専有面積であれば、階数に関係なく固定資産税は課税されます。しかし高さが60mをこえるようなタワーマンション(居住用超高層建築物)は、低層階と上層階では分譲価格が大きく異なるため、バランスをとるために現在では以下の通り補正率を加えて固定資産税が算出されています。
N階の階層別専有床面積補正率=100+10/39×(N-1)
1階を100として、1階増えるごとに10/39を加算して計算します。
たとえば1階の固定資産税を100とした場合、40階は110になります。
100+10/39×(40-1)=110
災害時に避難しやすい
マンションの2階は、災害時に避難しやすいことがメリットとして挙げられます。地震などの災害時は、エレベーターが休止することもあり、階段での避難を余儀なくされます。2階であれば階段での避難も苦になりませんが、高層階から避難する場合はかなりの時間を要することもあるでしょう。
まして足腰に不安がある人にとっては、かなりの重労働に感じられかもしれません。停電が長引き、救援物資を持って往復しなければならない状況でも、2階であればさほど苦痛に感じないでしょう。
地震に対して揺れにくい
高層マンションは上階になるほど揺れやすく、また揺れている時間も長くなります。また震度が小さくても揺れを感じやすく、人によっては乗り物酔いのような症状が表れることもあります。
それに比べて2階の場合、地震が収まれば基本的に揺れを感じることはなくなります。2階部分は地震に対して揺れにくく、家具も倒れにくいことがメリットといえます。
最短の所要時間で通勤通学ができる
2階は比較的階段の利用が気にならない高さのため、たとえば朝の通勤時間帯はエレベーターに乗らずに出勤することもできます。
一方で高層階の場合は、エレベーターが混雑する時間帯は、待ち時間も通勤時間として考慮しなければなりません。最短の所要時間でスムーズに通勤通学できるのは、低層階ならではのメリットです。
植栽や街路樹を楽しめる
マンションの2階は、ちょうど窓の外の植栽や街路樹の緑を楽しめる高さです。一戸建てに住んでいるような感覚で、窓から自然の風景を楽しむことができるのは、2階ならではのメリットといえます。
もし窓から街路樹などの緑が楽しめる配置であれば、ぜひ内覧者に見てもらいましょう。
マンションの2階が向いている人
マンションの2階は、どのような人に向いているのでしょうか。この章では、ターゲット層について解説します。
マンションをなるべく安く買いたい人
先述の通りマンションは高い階層ほど、価格も高い傾向にあります。つまり2階は、通常他の階に比べて価格設定が安いため、なるべく安くマンションを買いたい人に向いています。
希望する立地や条件に合えば、階数は問わないという人は必ずいるものです。したがって2階だからといって、売れないということはありません。マンション内で売り物件が出ている場合は、その売値を参考にして価格設定をしましょう。
小さい子どもがいる人
マンションの2階は外部へのアクセスがよいのが特徴です。エレベーターを使わずとも気軽に外出できるため、とくに小さい子どもがいる家族に向いています。
また部屋の真下がエントランスや共用施設、駐車場になっている場合は、子どもの足音を気にする必要がありません。階下への音の配慮が不要な場合、大きなメリットになることがあります。
災害時の避難のしやすさを優先する人
マンションの2階部分は、万が一の時に避難がしやすい点がメリットです。2階であればエレベーターが止まっていたとしても、階段を使ってすぐに避難できます。
とくに足や腰に不安を抱えている人や子どもがいる家族にとっては、逃げ遅れの心配もなく、大きな安心感につながるでしょう。
マンションの2階が売れないときの解決策
マンションの2階には2階なりのメリットがありますが、思うように売れない事態も想定しておく必要があります。
住み替えで売却したいタイミングが決まっている人や、なるべく早期に売却したい人のために、マンションの2階が売れないときの解決策を5つ紹介します。
コストパフォーマンスの良さをアピールする
マンションの2階は、新築マンションの場合も、他の階と比べて安く価格設定されています。中古マンションとして売り出す場合も同じです。他の住戸よりも安めに価格を設定しましょう。
またタワーマンションの場合は、固定資産税が安いことを説明し、価格も含めてコストパフォーマンスが高いことをアピールします。タワーマンションは高層階であればあるほど固定資産税が高くなることは意外と知られていません。ゆえに説明することで、プラスに働く可能性があります。
内覧時に低層ならではの住みやすさを伝える
まずマンションの2階に住むメリットを、内覧者に伝えてみましょう。デメリットは気づきやすいものですが、意外とメリットは感じにくいことがあります。
街路樹の緑がきれいな季節は窓を開けて見てもらうようにし、階下が共用部分である場合は、夜間も足音を気にしなくてよいことなどを説明しましょう。
災害時にスムーズに避難できて安心したことなども、大げさにならない程度に話しておくのもおすすめです。
災害や犯罪のリスクを払拭する
マンションの2階は、窓から不審者が侵入するのではないかと、必要以上に心配する人がいます。もしマンションに警備会社のホームセキュリティが導入されている場合は、その旨を説明しましょう。
ちなみに警察庁の「住まいる防犯110番」によれば、窃盗犯の侵入口として多いのは以下の通りです。マンションの階数に限らず、玄関からの侵入が多いことがわかります。※3
1位 | 2位 | 3位 | |
共同住宅(3階建以下) | 表出入口 | 窓 | 非常口 |
共同住宅(4階建以上) | 表出入口 | 窓 | 非常口 |
マンション売却が得意な不動産会社へ依頼する
マンションの2階が売りにくいと感じたら、マンションの売却が得意な不動産会社へ依頼しましょう。マンション売却の実績が豊富な不動産会社は、成約に導くノウハウの蓄積があり、マンションの2階であってもスムーズに売却できるでしょう。
不動産会社によってはマンションの売却に力を入れていなかったり、得意としていなかったりすることもあります。不動産会社のホームページなどで実績を確認し、詳細がわからないときは、直接相談してみましょう。
買取による売却を検討する
住み替えなどでマンションを現金化したい時期が決まっている場合は、買取による売却も検討しましょう。
早ければ1週間ほどで売買契約できるケースもあります。また個人への売却と異なり、引渡しの時期について融通が効いたり、契約不適合責任を免除について相談できたりします。
契約不適合責任とは、引渡し後に契約で定めた内容であることが判明したときに、マンションの売主が買主に負う責任です。
たとえば設備に故障がないと説明したのに、引渡し後に不具合があった場合は、修理して引渡すなどしなければならず、内容によっては減額請求や損害賠償をされる可能性があります。
買取は仲介による売却と比べて、相場価格より2~3割程度安くなることもありますが、仲介手数料がかからないなどのメリットもあります。
まとめ
マンションの2階には2階の良さがあり、そのメリットを上手にアピールすることでスムーズな売却も可能です。
2階ならでは特徴や住みやすさを再認識して、不動産会社の担当者とも共有し、内覧者に伝えてみましょう。
それでも売却が難しいと感じるときは、価格の見直しや買取による売却も視野に入れ、マンション売却を成功させましょう。
※1:国税庁、居住用の区分所有財産の評価が変わりました
※2:平成29年度改正タワーマンションに係る固定資産税の取扱い
※3:警察庁「住まいる防犯110番」手口で見る侵入犯罪の脅威