「不動産を売りたいけれど、どの会社に頼めばよいのかわからない」と悩んでいる方も多いでしょう。
信頼できる不動産会社を見極めるのは簡単ではなく、「とにかく高く売りたい」「失敗したくない」という思いがあるほど決められないものです。
本記事では、大手と中小不動産会社の違いや、選び方のポイント、実績や評判をもとにしたおすすめ会社ランキングまで、売却成功のための情報をわかりやすく解説します。
不動産売却で失敗したくない方、自身に最適な不動産会社を見つけたい方は、ぜひ参考にしてください。
不動産売却は大手と中小のどこがいい?
不動産売却は、大手と中小それぞれに向き不向きがあるため、どちらがよいとは一概にはいえません。
たとえば都市部の分譲マンションをスピーディーに売却したいなら、大手不動産会社のネットワークと広告力が有利に働くでしょう。
一方で、郊外や地方の戸建て、相続した土地などは、中小不動産会社の地域密着型の営業力や柔軟な対応が強みになります。
「有名だから安心」という理由のみで依頼先を決めると、販売戦略が噛み合わずに売却が長引くこともあるため要注意です。
まずは、自身の物件の特性や売却目的を明確にしたうえで、それに合った会社を選ぶことが、満足度の高い売却につながります。
大手不動産会社に依頼するメリット・デメリット
大手不動産会社には安心感があり、知名度や実績を重視する方に選ばれやすい傾向があります。
しかし、すべてのケースで最適とは限らず、選ぶ際には特徴や注意点を正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、大手不動産会社に依頼するメリットとデメリットを紹介します。
大手不動産会社のメリット
不動産売却を大手不動産会社に依頼するメリットは、次のとおりです。
- 豊富な顧客ネットワーク
- 強力な集客力
- 安心感とブランド力
- 専門知識とノウハウ
- 充実したサポート体制
大手の強みは、豊富な顧客ネットワークと圧倒的な集客力にあります。
大手ならではの顧客ネットワークと集客力により、多くの購入希望者に物件情報が届き、早期売却や適正価格での取引につながりやすくなります。
また、長年の実績と知名度からくる安心感やブランド力に加え、専門知識を持つ担当者による手厚いサポート体制も大きな魅力です。
大手不動産会社であれば複雑な手続きもスムーズに進められ、売主は不動産売却を安心して任せられます。
大手不動産会社のデメリット
一方で、大手不動産会社には次のようなデメリットもあります。
- 担当者の質にばらつきがある可能性
- 手数料の値引きには対応してくれないため
- 画一的な対応になりがち
- 地元密着の情報が少ない場合がある
大手不動産会社は多くの顧客を抱えるため、担当者によっては経験や知識にばらつきがある可能性があります。
また、大手ならではのブランド力や充実したサービスを背景に、仲介手数料の値引きに対応してくれないケースも少なくありません。
さらに、コンプライアンスや社内の規定が細かく設定されており、個別の事情に合わせた柔軟な対応が難しいことや、地域に特化した情報収集が手薄になることも考えられます。
上記のデメリットも踏まえ、自身の売却ニーズに合った会社を選ぶことが重要です。
中小不動産会社に依頼するメリット・デメリット
中小不動産会社は、地域密着型ならではの対応力や柔軟性を武器としています。
続いては、中小不動産会社に依頼するメリットとデメリットを紹介します。
中小不動産会社のメリット
不動産売却を中小不動産会社に依頼するメリットは、次のとおりです。
- 地域に密着した情報とネットワーク
- 柔軟な対応ときめ細やかなサポート
- 担当者との密なコミュニケーション
- 手数料の交渉がしやすい
中小不動産会社は、地域に根差した深い情報や独自のネットワークを持っていることが多い傾向です。
大手では見つけにくい地元の購入希望者とのマッチングや、地域特有の売却ノウハウを活かした提案が期待できます。
また、顧客数が大手ほど多くないため、一人一人の顧客に対して柔軟で手厚いサポートを提供しやすく、売主の細かな要望にも応じてもらいやすいでしょう。
さらに、大手と比較して仲介手数料の交渉に応じてもらいやすいケースもあるため、コストを抑えたい場合にメリットとなる可能性があります。
中小不動産会社のデメリット
不動産売却を中小不動産会社に依頼するデメリットは、次のとおりです。
- 集客力や広告宣伝力が限定的
- 大手のようなブランド力や安心感が少ない
- 担当者の経験や知識にばらつきがある可能性
- 売却活動の進捗状況が見えにくい
中小不動産会社は、大手と比較して広告宣伝にかける費用や手段が限られているため、購入希望者に物件情報を届けにくい場合があります。
売却活動に時間がかかったり、希望価格での売却が難しくなったりする可能性も否定できません。
また、ブランド力や知名度の面で大手には及ばないため、安心感では劣る点もデメリットです。
「不動産売却はどこがいい?」と悩んだ際の業者選びのポイント
どのような会社を選ぶかで、売却価格もスピードも大きく変わります。
ここからは、信頼できる業者を見極めるために押さえておきたい具体的なポイントを紹介します。
売却実績が豊富にある
不動産会社選びで重要なのは「売却実績の多さ」です。
実績が多い会社は、地域の相場や成約傾向を正確に把握しており、適切な販売戦略を立てる力があります。
たとえば、同じマンションでも階数や向きによって価格が変わるような細かい差を理解し、的確な価格設定や販促提案が可能です。
数字に裏付けされた実力こそ、安心して売却を任せられる信頼の証といえるでしょう。
地域の特徴・実情を把握している
不動産会社を選ぶ際は、地域の特徴や実情をどれだけ把握しているかも重要です。
地域の特性を理解している不動産会社は、対象エリアの地価動向や買い手の傾向に精通しており、より適切な売却戦略を提案できます。
たとえば、近隣に新しい商業施設が建設されるといった地域特有の情報を加味した価格設定や、地元で需要の高い物件タイプを熟知しているなどのケースが挙げられます。
中小不動産会社は地元に詳しい傾向がありますが、大手でも地元に強い業者の可能性もあるため、依頼先を選ぶ際に意識してみましょう。
担当者が誠実に対応してくれる
不動産会社を選ぶ際、会社の知名度のみでなく、担当者の質も売却の成否を大きく左右します。
誠実な担当者であれば、無理な売却提案をせずに話を丁寧に聞き、最適な方法を一緒に考えてくれるでしょう。
面談時には、疑問や不安に真摯に向き合っているか、過去の対応例や営業スタイルなどを質問し、信頼できる人物であるかを見極めることが重要です。
誠実な担当者との出会いが、納得のいく不動産売却への第一歩となります。
インターネット広告に注力している
現代の不動産売却において、インターネット広告への注力は不可欠です。
今や買主の大半がインターネット経由で物件情報を得ています。
ポータルサイトへの掲載のみでなく、自社サイトやSNS活用など、インターネット広告の充実度も選定基準になります。
物件の魅力を最大限に引き出す質の高い写真を使用しているか、情報が迅速に掲載されるかなどに注目しましょう。
査定額に明確な根拠がある
査定額が高ければよいというわけではなく、その根拠が明確かどうかが重要です。
不動産会社の中には、媒介契約を取るために根拠のない高額な査定を出す業者も存在します。
「近隣の成約事例」や「現在の売出物件」との比較をもとに査定額の根拠を説明できる担当者であれば、信頼できる可能性が高いといえます。
言葉のみでなく、数字や資料で示してくれ、査定額の説明に納得できる不動産会社を選びましょう。
免許番号や行政処分歴の有無
不動産会社を選ぶ際には、宅地建物取引業免許の番号や過去の行政処分歴の有無を必ず確認しましょう。
免許番号の括弧内の数字(1)や(5)は、更新回数(5年更新)を示しており、数字が大きいほど長く営業している証となり、信頼性の判断材料になります。
これらの情報は、国土交通省の宅地建物取引業者検索サイトで誰でも簡単に調べることが可能です。
契約を検討している会社の信頼性を確認するためにも、必ずこの情報をチェックし、安心して取引できる相手を選びましょう。
囲い込みをしていない
不動産会社選びでは、「囲い込み」をしない会社を選ぶことも重要です。
「囲い込み」とは、売却物件を他社に紹介せず、自社のみで買い手を見つけようとする行為のことです。
囲い込みは売主にとって買い手の選択肢が狭まり、結果として適正価格での売却機会を逃すなど、大きな不利益につながる可能性があります。
誠実な不動産会社であれば、より多くの買い手を見つけるために他社からの問い合わせにも積極的に対応し、公平な取引を心がけます。
媒介契約を結ぶ前に、必ず「囲い込みをしない方針であるか」を確認し、売主の利益を最優先に考える会社を選びましょう。
口コミ・評判を確認する
最後に確認すべきは、過去の利用者の口コミや評価です。
とくに「対応が早かった」「説明がわかりやすかった」などの具体的な評価は、会社の信頼性やサービスの質を測るうえで大きな判断材料になります。
Googleの口コミや不動産会社口コミサイトを活用し、多くの意見を参考にすれば、特定の情報源に偏ることなく客観的な評価が得られます。
不動産会社のよい評判のみでなく、悪い口コミや改善点に関する意見も確認し、総合的に判断しましょう。
不動産会社を選ぶ際の注意点
不動産会社選びは、査定価格や知名度のみで決めると後悔する可能性があります。
ここでは、とくに注意すべきポイントを4つ紹介します。
査定価格のみで決めない
高額な査定を提示された場合でも、その会社が優れているとは限りません。
根拠が不明確で高すぎる査定は、売れ残りや価格の値下げにつながるリスクもあります。
たとえば、他社よりも高い査定額を出された場合、契約を取るための戦略である可能性が考えられます。
提示された金額の「理由」と「売却までの具体的な戦略」を必ず確認しましょう。
信頼できる会社は、査定額の根拠を相場データや近隣の取引事例をもとに明確に説明してくれます。
複数の不動産会社に査定を依頼する
1社のみに査定を依頼すると、その金額が適正かどうか判断できません。
複数社に査定を依頼することで、相場の平均値が見えてきます。
また、各社の対応姿勢や説明の丁寧さも比較できるため、優良な業者を選ぶうえで重要な判断材料になります。
最近では一括査定サイトを活用すれば、手間をかけずに複数社へ依頼可能です。
比較によって見えてくる情報が、売却成功のカギを握ります。
売却スケジュールに余裕をもつ
「なるべく早く売りたい」と焦って業者を選ぶと、条件の悪い契約を結ぶリスクがあります。
とくに仲介での売却は、引渡しまでに3〜6か月程度かかることが一般的です。
余裕をもって売却計画を立てれば、慎重に業者選定ができ、希望価格での成約や、引き渡しのスケジュール調整もスムーズに進みます。
急いで売る必要がある場合でも、買取の検討や販売戦略の見直しで対処できるケースもあるため、まずは信頼できる業者に相談しましょう。
必要書類を準備しておく
売却活動をスムーズに進めるためには、必要書類を事前に整えておくことも大切です。
査定時の必要書類は、主に次のとおりです。
- 登記済権利証(登記識別情報)
- 固定資産税納税通知書(固定資産税評価証明書)
- 建築確認済証、検査済証
- 地積測量図、境界確認書
書類が揃っていないと査定が正確にできなかったり、契約手続きに時間がかかったりする原因になります。
とくに相続物件や古い家は書類の所在が曖昧になっていることもあるため、早めの確認がおすすめです。
書類準備を万全にしておくことで、より正確な査定額を算出してもらえます。
不動産売却は仲介と買取のどちらがよい?
売却方法には「仲介」と「買取」があり、どちらを選ぶかで売却金額やスピード、手間のかかり方が大きく変わります。
物件の状況や売主の希望条件に応じて、最適な方法を選ぶことが大切です。
ここからは、仲介をおすすめできる方、反対に買取をおすすめできる方の特徴を紹介します。
仲介をおすすめできる方
仲介とは不動産会社が買い手を探すスタイルのことで、とくに次のような方におすすめです。
- 売却に時間的な余裕がある方
- できるだけ高く売りたい方
- 内見対応に抵抗がない方
仲介は売却完了までに時間がかかりやすいものの、市場価格に近い、またはそれ以上の価格で売れる可能性が高まります。
たとえば、築年数が浅く好立地のマンションであれば、複数の購入希望者が現れ、競争によって価格が上がることも期待できます。
広告活動や内見対応など多少の手間はかかりますが、最終的な手取り額を最大化したい場合や、売却による利益を重視する方には、最適な選択肢といえるでしょう。
買取をおすすめできる方
買取は不動産会社が直接物件を買い取る方法で、とくに次のような方におすすめです。
- 売却スピードを最優先したい方
- 確実に売却を完了させたい方
- 手間をかけずに売りたい方
買取では、不動産会社が直接物件を買い取るため、一般的には最短数日から1週間程度で現金化できる点がメリットです。
たとえば、相続した空き家をすぐに手放したい場合や、転勤で急な引っ越しが必要になった際など、時間的な制約がある状況で便利な選択肢となるでしょう。
買い手を探す必要がないため、内見対応や広告活動などの手間も一切かかりません。
ただし、買取の場合は市場価格よりも1〜3割程度安くなる傾向があるため、「多少価格が下がっても、とにかくスムーズに売却を終わらせたい」と考える方に適した方法といえます。
不動産売却に関するよくある質問
不動産売却には多くの疑問がつきものです。
ここでは、とくに問い合わせの多い3つの質問に、実例を交えて回答します。
仲介件数の多い不動産会社ランキングは?
2024年において、大手の中でも仲介件数の多い不動産会社ランキングは次のとおりです。
- 三井不動産リアルティグループ
- 住友不動産販売
- 東急リバブル
- センチュリー21
- 三井住友トラスト不動産
参照元:公益財団法人不動産流通推進センター「2025不動産業統計集」
上記5社は全国展開しており、広告力と営業力どちらも強い不動産会社です。
ランキングは毎年変動するため、オリコンや業界サイトなどで最新データをチェックすると安心でしょう。
家の売却でやってはいけないことは?
家の売却で避けるべきは、「査定額のみで業者を決めること」です。
高額査定に飛びついた結果、長期間売れずに値下げを繰り返すケースも珍しくありません。
また、契約内容をよく確認せずに専属専任や専任の媒介契約を結ぶと、他社に依頼できず、売却チャンスを逃すリスクもあります。
一括査定サイトは利用すべき?
一括査定サイトは、複数の会社に手間なく査定依頼ができるため、有効な手段といえます。
一括査定サイトを活用すれば、1社ずつ問い合わせる手間が省け、短時間で相場感をつかめます。
また、一括査定サイトは提携会社を厳選している場合が多いため、優良な不動産会社と出会える可能性が高まる点もメリットです。
まとめ
不動産売却で「どこがよいのか」を判断するためには、大手と中小不動産会社それぞれの特性や、担当者の対応力、地域への精通度、広告戦略など多角的に比較することが大切です。
高額な査定額のみにとらわれず、売却実績や口コミ、免許番号の確認などの客観的な指標にも注目しましょう。
また、複数の不動産会社に一括で査定を依頼すれば、相場を把握しつつ、相性のよい業者と出会いやすくなります。
ランキング上位の会社のみでなく、自身の物件に強い業者を見極めることが成功への近道です。
慎重に不動産会社を選び、自身が納得できる売却を実現させましょう。