亡くなった親の家を売るとなると、遺産相続と不動産の売却の手続きを進めていかなければなりません。まず相続財産を確定し、不動産を含めた相続財産の分割方法を決めなければなりません。そのうえで、家を相続する相続人が決まれば相続登記をし、売却手続きをすすめていくことになります。
自分が所有していた不動産を売却する場合と異なり、相続した家を売る場合、売却時の注意すべきポイントもあります。また、関係するさまざまな税金について、知っておいた方がよいことがあります。
この記事では、亡くなった親の家を売却する流れからできるだけ高く売るコツ、相続税や売却後にかかる税金を節約する方法について解説します。
亡くなった親の家を売る流れと手続き
亡くなった親の家を売却する前に、その家を誰が相続するかを決め、名義変更しなければいけません。ここでは、相続した不動産を売却する流れについて解説します。
相続した不動産を売却する流れ
相続した不動産売却の流れをそれぞれ解説していきます。
- STEP1:相続財産の分け方を決める
- STEP2:名義変更(相続登記)
- STEP3:不動産会社に査定を依頼する
- STEP4:媒介契約を締結し売却活動開始
- STEP5:売買契約締結
- STEP6:決済・物件の引渡し
STEP1:相続財産の分け方を決める
相続財産には、不動産だけでなく預貯金や有価証券、場合によっては借入金などのマイナス財産も含まれることがあります。最初に、相続財産に何があるかを調査し、相続財産遺産の分割方法を決めていきます。
遺産分割方法の決め方
遺産分割は、亡くなった人が遺言書を残していれば、基本的には遺言書の内容に沿って遺産分割が行われます。ただし、遺言書が残されていないケースも多く、その場合、法定相続人で遺産分割の方法を話し合う遺産分割協議が行われます。
遺産分割協議の結果、法定相続分に従って分割する場合もありますし、全員が合意すれば、特定の相続人が多く遺産を引き継ぐことも可能です。話し合いがまとまると遺産分割協議書に全員が署名・押印(実印)して、これを登記原因として、亡くなった人「以下「被相続人」から引き継いだ相続人に名義変更の手続きができます。
法定相続人は、法律で定める被相続人の遺産を引き継ぐ権利がある人です(民法886条以下)。配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の相続順位は以下のように定められています。
相続順位 | 相続人 |
第1順位 | 子またはその代襲相続人(孫、ひ孫) |
第2順位 | 直系尊属(父母もしくは祖父母) |
第3順位 | 兄弟姉妹またはその代襲相続人(甥、姪) |
第2順位の法定相続人は第1順位がいない場合、第3順位は第1、第2順位がいない場合に相続人となります。代襲相続人とは、相続開始時点で被相続人の子もしくは兄弟姉妹が亡くなっている場合に、子どもが代わって相続する場合の相続人です(民法887条)。
法定相続分とは?
法定相続分は以下のようになります(民法900条)。
法定相続人 | 法定相続分 |
配偶者と子ども | 配偶者2分の1 子ども2分の1 |
配偶者と直系尊属(父母など) | 配偶者3分の2 直系尊属3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1 |
子どもや直系尊属、兄弟姉妹が2人以上いる場合は、原則として法定相続分は均等ですので、配偶者と子ども2人の場合、それぞれの子どもの法定相続分は4分の1ずつとなります。
相続人間で不動産を分割する方法
相続遺産に不動産が含まれる場合、預貯金などの遺産と異なり均等に分割することが難しいケースも少なくありません。そのため不動産の分割方法でもめてしまうこともあります。不動産を分割する3つの方法のほか、分割せず相続人間で共有する方法を紹介します。
・現物分割
現物分割は、不動産を物理的に分割する方法です。
相続した不動産が土地であれば、分筆(1つの土地をいくつかに分けること)をして、登記して分けられる場合もあります。ただし、土地の広さや接道状況から分割が難しいケースや分割すると著しく資産価値が落ちるケースもありますので、必ずしも分割できるとは限りません。
また、相続する不動産が複数ある場合は、それぞれの不動産ごとに引き継ぐ相続人を決めることも可能です。この場合、相続する不動産によって資産価値の違いが出ますので、現金等の遺産で調整するなどの方法がとられます。
・代償分割
代償分割は、特定の相続人が不動産を引き継ぎ、その他の相続人に相続割合に応じたお金を支払う方法です。例えば、長男が実家を引き継ぎ、他の相続人の相続分にあわせてお金を支払うケースが典型的です。代償分割は、そのまま残したい不動産がある場合に活用しやすい方法ですが、不動産を承継する相続人に代償金を支払う資力が必要です。
・換価分割
不動産を売却したお金を相続人間で分ける方法です。現金化するため、もっとも平等に分けられる方法といえます。不動産の売却により利益(譲渡所得)が発生する場合は、譲渡所得税がかかる場合があります。
・共有
相続した不動産を分割せず、共有名義にする方法です。被相続人から名義変更(相続登記)するだけでできる方法ですが、共有し続ける場合のリスクもあります。
例えば、不動産を将来売却したい、あるいは賃貸したいとなった場合、共有する相続人全員の同意が必要となり、不動産の活用方法でもめる可能性があります。
また、共有している相続人が亡くなり相続が発生すると、その共有者の相続人が新たに共有者となり、権利関係が複雑になったり、共有者同士の関係性が遠くなったりする可能性も考えなければなりません。
STEP2:名義変更(相続登記)
不動産は、亡くなった被相続人の名義のまま売却できません。誰が不動産を相続するかが決まれば、名義変更が必要です。このときの手続きを相続登記といいますが、2024年4月1日から義務化されました。
名義変更に必要な書類
被相続人から相続人へ名義変更するには、次の書類が必要です。
誰のもの | 必要書類 | 入手先 |
【遺産分割方法関係なく必要な書類】 | ||
被相続人 | 戸籍謄本(出生から死亡までの戸籍・除籍謄本) | 本籍地の市区町村 |
住民票の除票または戸籍の附票 | 住所地の市区町村本籍地の市区町村 | |
法定相続人 | 戸籍謄本(抄本) | 本籍地の市区町村 |
固定資産税課税明細書 | 不動産の所在地の市区町村から毎年4月頃に送付 | |
【遺産分割協議による相続の必要書類】 | ||
法定相続人 | 遺産分割協議書 | |
印鑑証明書(遺産分割協議書に押印されたもの) | 住所地の市区町村 | |
法定相続人のうち不動産の所有者になる人 | 住民票 | 住所地の市区町村 |
【法定相続分による相続の必要書類】 | ||
法定相続人 | 住民票 | 住所地の市区町村 |
【遺言書による相続の必要書類】※法定相続人が相続する場合 | ||
被相続人 | 遺言書 | 自宅や法務局等 |
所有者になる人 | 戸籍謄本(抄本) | 本籍地の市区町村 |
このほか、法務局に登記申請するための登記申請書を作成しなければなりません。司法書士に申請手続きを依頼する場合は委任状が必要です。また、戸籍(除籍)謄本の原本の還付を希望する場合は、相続関係説明図を準備しましょう。
相続が開始すると相続人と相続財産を確定させ、遺産分割方法を決めます。相続登記を申請する必要書類の準備を含め、相続財産の調査や遺産分割協議に時間がかかるケースもあります。家を売却するために必要な期間、相続税の申告期限などを考えながら余裕をもって進めることが大切です。
STEP3:不動産会社に査定を依頼する
相続した不動産の名義変更が終われば、不動産会社に査定を依頼します。
査定の目的は2つです。1つは、売り出し価格を決めるための査定価格や相場を知ること、もう1つは、売却を依頼する不動産会社を決めることです。できるだけ高く売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。
また、不動産会社が査定に来るまでに、登記識別情報(権利証)や不動産を購入したときの売買契約書、重要事項説明、固定資産税課税明細書など準備できるものは準備しましょう。
STEP4:媒介契約を締結し売却活動開始
売却を依頼する不動産会社が決まれば、媒介契約を締結します。
媒介契約には、複数の不動産会社に依頼できる「一般媒介契約」のほか、1社に依頼する「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあります。
それぞれの特徴を把握したうえで、不動産会社の業務内容や契約期間、仲介手数料がかかる時期など契約内容をしっかりと理解して進めることが大切です。疑問点があれば遠慮なく担当者に確認しましょう。
査定結果をもとに売り出し価格を決め、売却活動を開始します。レインズや不動産ポータルサイトへ物件が登録され、広く物件情報を知らせ、購入希望者を募集します。
STEP5:売買契約締結
購入希望者が見つかれば、購入の正式な意思表示として不動産購入申込書を受け取ります。このとき、価格や引渡し時期などの条件交渉が入る場合もあります。交渉にどこまで応じるかは不動産会社と相談しながら決めましょう。
買主と条件面で合意できれば、売買契約に進みます。売買契約に先立って、不動産会社が買主に重要事項説明を行い、その後、売買契約書の読み合わせをして、双方に納得したうえで契約締結です。このとき、買主から手付金を受領するとともに、売買契約書の印紙代や不動産会社の仲介手数料(半金)が必要となります。
STEP6:決済・物件の引渡し
最後に、売買代金の残金や固定資産税精算金などの諸費用をすべて精算し(決済)、物件を引渡します。
建物内の残置物の撤去などが必要であれば、引渡し日に間に合うように進めることが必要です。
相続した家を少しでも高く売るコツ
相続した不動産を少しでも高く売るためのコツについて解説します。
相続開始から売却までのスケジュールに余裕をもつ
相続が発生してから売却までのスケジュールに余裕をもつことが大切です。
売却にかけられる期間が短くなると、売り急いで価格を下げざるを得ない、価格交渉に応じなければならない状況におちいり、結果的に売却価格が下がってしまう可能性があります。
相続人のなかには早く売却して換金したいという人がいるかもしれません。また、相続税が発生し、主な相続財産が土地や建物で現金や預貯金が少ない場合、売却収入を相続税の納付資金にあてなければならないケースもあります。その場合、納付期限に間に合うように売却を進めるために、十分な売却期間をかけられない場合もあります。
不動産の売却期間は、物件の登録から成約まで平均3~4カ月と言われています。相続不動産の場合、相続財産の確定や遺産分割協議に時間がかかることもあります。できるだけ余裕を持ったスケジュールで売却を進めることが高値売却のポイントです。
複数の不動産会社に査定を依頼する
高く売却するには、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。その主な理由は2つです。
1つは、1社の査定価格をもとに売却活動をすすめるリスクがある点です。
査定価格は、不動産会社によって異なることも少なくありません。土地、一戸建て、マンションと不動産の種類や状況によって査定結果の精度は変わります。
そのため、1社だけに依頼しその不動産会社の査定価格の精度が悪ければ、売り出し価格が高すぎる、あるいは低すぎる設定になっている可能性があります。こういったリスクを減らす意味で、複数の不動産会社に査定を依頼することが必要です。このとき、査定価格だけでなく、査定価格を算出した根拠も確認するようにしましょう。
2つめは、複数の不動産会社の販売・広告活動や担当者を比較して決められる点です。
特に初めて不動産を売却するとなると、売却方法の良し悪しやしっかりと売却活動を行ってくれるか判断が難しいと思います。そのため、複数の不動産会社の販売方法や広告活動、担当者との相性などを比較することで、売却活動の内容や各社の違いが分かり判断しやすくなります。
どの不動産会社に査定を依頼すればよいか分からない方は、一度で複数の会社に査定依頼ができる一括査定サイトを活用するとよいでしょう。
取り壊して更地にすることも検討する
相続した不動産が、築年数が経過した一戸建ての場合、取り壊して更地にすることで高く売れる場合があります。メンテナンスの状況などにもよりますが、木造住宅の場合、一般的に20~25年で建物の価値はほとんどなくなる傾向です。このような建物を売却するとき、古家付の土地として売却する方法と建物を解体して更地にする方法があります。
いずれも建物の価値は、売却価格に反映させずに売る方法です。更地にした方が購入者は解体費用を考える必要がなく、また土地全体の状況を把握し、新築後のイメージがしやすくなるため、流通性が上がり高く売却できることがあります。ただし、解体費用や家財の回収費用などがかかりますので、不動産会社と相談しながら進めるようにしましょう。
亡くなった親の家を売るまでに生じる税金
相続開始から家を売却するまで、相続手続きのなかでかかる税金、売却に伴ってかかる税金があります。それぞれについて解説します。
- 【相続不動産の名義変更】登録免許税
- 【売買契約時】印紙税
- 【相続後】相続税
【相続登記(名義変更)】登録免許税
遺産分割方法が決まり不動産を相続する人が決まれば、被相続人から相続人に所有権移転登記をします。このときにかかるのが登録免許税です。
相続による所有権移転登記の登録免許税は以下の計算式で求めます。※1
登録免許税額=固定資産税評価額×0.4% |
固定資産税評価額は、毎年1月1日時点の所有者宛てに送られる固定資産税課税通知書に記載されています。司法書士に相続登記を依頼する場合は、登記費用の見積もりのなかで確認できます。
売却時の印紙税
売買契約時に印紙税が必要です。印紙税は、売買契約書などの課税文書にかかる税金です。税額は、売買契約書に記載された契約金額で異なります。以下は、10万円超えから10億円以下までの印紙税額をまとめたものです。
記載された契約金額 | 税額 | 軽減後の税額(2027年3月31日まで) |
10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 1千円 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 2千円 | 1千円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5千円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
相続税
相続税がかかる場合、相続の開始があった日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10カ月以内に納付しなければなりません。ここでは、相続税の計算方法と土地の相続税を節税する方法について解説します。
相続税の計算方法
相続税の計算は、不動産を含めたすべての相続遺産を対象として、以下のような順番で計算します。
正味の遺産総額を計算相続税の対象となる課税遺産総額を計算相続税の総額を計算相続割合に応じて各相続人の税額を計算 |
- 正味の遺産総額を計算
相続遺産は、不動産以外に預貯金や有価証券、借入金などのマイナス財産も含めて計算します(正味の遺産総額)。このとき不動産については、時価ではなく相続税評価額で算出します。
建物については、固定資産税評価額が相続税評価額です。一方、土地については、路線価から算出します。路線価は、道路に面した土地1㎡当たりの価格を表すもので、不動産鑑定士などの評価をもとに国税庁が発表するものです。概ね公示地価の80%が目安となり、相続税や贈与税の算出に使われます。
相続した土地の路線価は、国税庁のホームページ(路線価図・評価倍率表)で確認できます。
例えば、路線価が200,000円/㎡の土地100㎡の相続税評価額は、200,000円/㎡×100㎡=2,000万円となります。
なお、郊外の土地などで路線価が指定されていない地域の土地もあり、その場合固定資産税評価額と国税庁の定める評価倍率で計算します。
ここで相続遺産が預貯金・有価証券7,000万円、土地(相続税評価額2,000万円)、建物(相続税評価額1,500万円)、借入金500万円とした場合の相続遺産総額を計算してみましょう。
・7,000万円+2,000万円+1,500万円-500万円=1億円
- 相続税の対象となる課税遺産総額を計算
相続税の課税対象となる課税遺産総額は以下のように計算します。
課税遺産総額=遺産総額-相続税の基礎控除額 |
相続税は、法定相続人の数に応じて基礎控除額があり、以下の計算式で求めます。
相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数) |
相続人が配偶者と子ども2人(長男・長女)の場合、法定相続人の数は3人ですので、基礎控除額は、3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。
先ほどの事例の遺産総額から課税遺産総額を計算すると、1億円-4,800万円=5,200万円です。
- 相続税の総額を計算
相続税の総額は、法定相続分に従って分割した前提で計算します。
相続人が配偶者と子ども2人(長男・長女)の場合、法定相続分は次のとおりになります。
・配偶者:5,200万円×法定相続分2分の1=2,600万円 ・長男:5,200万円×法定相続分4分の1=1,300万円 ・長女:5,200万円×法定相続分4分の1=1,300万円 |
各相続人の相続税額を税率と控除額から計算します。
取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超え~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超え~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超え~1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超え~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超え~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超え~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超え | 55% | 7,200万円 |
・配偶者:2,600万円×15%-50万円=340万円 ・長男:1,300万円×15%-50万円=145万円 ・長女:1,300万円×15%-50万円=145万円 相続税の総額=340万円+145万円+145万円=630万円 |
- 相続割合に応じて各相続人の税額を計算
実際の相続割合が、配偶者3分の2、長男と長女がそれぞれ6分の1ずつだったとすると、各相続人の相続税額は次のようになります。
・配偶者:630万円×3分の2=420万円 ・長男:630万円×6分の1=105万円 ・長女:630万円×6分の1=105万円 |
なお、配偶者には、法定相続分もしくは1億6,000万円までのいずれか多い金額まで税額軽減がありますので、相続税がかからないケースが多くなります。
このように、不動産を相続したときの相続税は、他の相続財産と合わせて求められます。
相続した土地の相続税を節税する方法
土地の相続税評価額が高いほど相続税額は高くなりますが、相続した居住用の土地や事業用の土地については、一定の要件のもと小規模宅地等の特例があります。※2
小規模等宅地の特例は、被相続人が使用していた居住用や事業用などの土地を、相続税を納付するために相続人が手放さなければならなくなる事態を防ぐためにもうけられた制度です。
相続開始前の土地の用途によって、減額対象となる面積や減額割合が変わります。被相続人が居住用として使っていた宅地を相続した場合であれば、一定の要件を満たすことで、上限面積330㎡まで最大80%の評価額の減額を受けることが可能です。
売却後に発生する税金
不動産を売却し譲渡所得が発生する場合、譲渡所得税(所得税、住民税、復興特別所得税)がかかります。
譲渡所得が発生するかは次の計算式で計算します。
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用 |
取得費は、土地や建物を購入した時の費用や購入時の諸費用などです。ただし、土地は取得費をそのまま計上できますが、建物は経過年数に応じた減価償却費相当分を差し引いて計算しなければなりません。
譲渡費用は、不動産を売却するときにかかった仲介手数料や印紙税、解体費用などの費用です。
譲渡所得がなければ譲渡所得税はかかりませんが、譲渡所得が生じる場合の税額は次のように計算します。
譲渡所得にかかる税金=譲渡所得×税率 |
税率は不動産の所有期間によって異なります。
所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 | |
長期譲渡所得(5年を超える) | 15% | 5% | 0.315%(15%×2.1%) | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% | 0.63%(30%×2.1%) | 39.63% |
※ 国税庁、短期譲渡所得の税額の計算
※ マンションを売却したら住民税が上がる?税金の計算方法と軽減する方法を解説
※ 2037年までは復興特別所得税として、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて申告し、納付することになります。
所有期間は、譲渡(売却)した年の1月1日時点が基準となり、売却した日ではない点に注意が必要です。相続した不動産については、被相続人が取得した日から計算します。
税金以外にかかる費用
最後に、税金以外にかかる費用について解説します。
相続登記を司法書士に依頼した場合、登録免許税以外に司法書士の報酬が必要です。司法書士の報酬は自由化されており依頼先によって違います。また、司法書士や弁護士などの専門家に遺産分割協議書の作成や相続財産の調査、必要書類の収集などを依頼する場合は、そのための費用がかかります。
売却時にかかる費用は、不動産会社に支払う仲介手数料です。
不動産売買価格 | 仲介手数料の上限額 |
400万円超 | 物件価格×3%+6万円+消費税 |
200万円超400万円以下 | 物件価格×4%+2万円+消費税 |
200万円以下 | 物件価格×5%+消費税 |
仲介手数料は、売買契約時に半金、引渡し時に残りの半金を支払う会社が多い傾向です。このほか、売却するために建物を取り壊す場合の解体費用やハウスクリーニングの費用がかかる場合もあります。
相続税の申告を税理士に依頼する場合は、税理士の報酬が必要です。目安としては、相続財産遺産の0.5%~1.05%と言われますが、相続財産の種類や相続人の数などの要因によってで変わります。評価が難しい不動産(山林など)や非上場株式などが含まれている場合も税理士報酬が高くなる傾向です。
亡くなった家を売るときの注意点
相続した家に相続人が住んでいないことも多いため、売却するときに注意すべき点もあります。
相続税の申告期限に間に合わない場合の影響
相続税は、相続発生の翌日から10カ月以内に、原則現金一括で納める必要があります。ただし、納税資金の準備が難しい場合には、延納(分割払い)や物納(不動産での納付)といった方法も認められています。相続税を納付する現金が準備できる場合は別として、不動産を売却して納税資金に充てる場合は早めに動く必要があります。
相続開始から売却までの流れは以下のとおりです。
- 相続財産の調査
- 遺産分割協議
- 相続登記
- 売却依頼・開始
- 売買契約締結
- 決済・引渡し
相続財産の調査に時間がかかる場合や遺産分割協議がなかなかまとまらないケースも考えられます。また、売却時の土地の境界確定に時間を要する可能性もあります。
もし、申告期限を過ぎてしまった場合、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が適用できなくなる可能性がありますります。また、申告期限を過ぎたペナルティとして無申告加算税が課せられます。災害などやむを得ない理由が認められれば申告期限を延長できる場合もありますが、認められるケースは限られています。
隣地との境界が明確になっているか確認
土地や一戸建てを相続して売却する場合、隣地との境界が明確になっているか確認することが重要です。
土地を売却するには、売主が境界を明示することが原則です。境界が曖昧な場合は、確定測量し、隣地の所有者の合意を含めて境界の確定が必要となる場合もあるでしょう。隣接地の数が多い場合など、思った以上に時間も費用もかかる場合があります。
また、相続人が相続した土地の状況を把握していないケースも多く、隣接地の所有者との関係が良くない、境界トラブルを抱えている可能性もあります。境界トラブルの内容によっては、売買契約時の告知事項に該当し、売却価格に影響する可能性があります。
売主の契約不適合責任
売主は売買契約にあたり、原則として契約不適合責任を負います。契約不適合責任とは、売買の目的物が数量や品質等で契約内容と異なる場合に売主が負う責任です(民法562条以下)。
契約不適合責任を負わないためには、建物や土地の欠陥や不具合箇所を契約内容に含めておく必要があります。この点、相続したマンションや一戸建てについて、相続人が土地、建物の状態をしっかりと把握できていない場合も少なくありません。
そのため契約不適合責任を負わない、引渡し後にトラブルにならないためにも、物件の状態をできるだけ正確に把握しながら進めることも大切です。建物の築年数なども考慮しながら契約不適合責任を免責とする場合もありますが、売主が知っていた不具合を故意に隠した場合は免責が認められないことがあります。。売却を依頼する際、契約不適合責任を含めてしっかりとアドバイスをもらえる不動産会社を選ぶことが大切です。
まとめ
相続が発生すると、相続財産を調査したうえで相続人間で遺産分割協議を行い、分割方法を決定します。不動産の名義変更をして、はじめて相続した不動産を売却できます。高く売却するには、できるだけスケジュールに余裕をもって進めることが必要ですので、遺産分割にかかる時間も考慮しながら進めることが大切です。
また、相続した不動産を売却するなかで、さまざまな税金や費用もかかりますし、土地の境界や売買契約上の契約不適合責任を明確にすることも大切です。
そのため、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果や販売方法そのエリアでの販売実績などを比較し、税金や契約手続きも含めて安心して任せられる不動産会社に依頼しましょう。
※1:国税庁、No.7191登録免許税
※2:国税庁、No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)