離婚する際に「家の査定は必要なのだろうか」「どのように自宅の資産価値を出せばよいのかを知りたい」と考える方もいるでしょう。
できる限りトラブルは避けたいため、お互いが納得できる不動産の評価方法を知りたいと思うときもあるのではないでしょうか。
離婚する際、家は夫婦の共有財産とみなされ、不動産会社の査定価格でも双方が合意していれば、不動産評価額の計算に利用できます。
本記事では、離婚時に家の査定が必要になる理由やさまざまな査定方法、依頼する際の注意点などを解説します。
離婚時に相手と揉めたくない方や、共有財産の家をどのように分けるのかが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
離婚時に家の査定が必要になる理由
マイホームがある夫婦が離婚する際、基本的には家の査定依頼をする必要があります。
どちらか一方の住宅ローンでマイホームを購入している場合でも、二人で築き上げた財産とみなされるためです。
離婚時に家の査定が必要になる理由を解説します。
離婚時における財産分与があるため
離婚時には婚姻中に夫婦で協力して得た財産を、それぞれの貢献度に応じて分配する財産分与があります。
Q1 財産分与とはどのような制度ですか
(A)
離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求することができる制度です。
引用元:法務省
上記のとおり法律でも認められている制度で、知らずに離婚すると大きな損をする可能性があります。
分配する割合や方法は話し合いで決められ、離婚時に受け取りたくない場合は、財産分与を放棄できます。
財産分与の対象は、二人の協力で得た不動産や預貯金、車や株などです。話し合いが難しい場合は、弁護士や司法書士、市区町村の窓口で相談できます。
家の不動産評価額を把握する必要がある
離婚する際は財産分与をするケースが一般的で、マイホームを購入している場合は自宅も対象になります。
ただし家やマンションは価格が動いている可能性が高く、現在の不動産評価額を把握していないと、公平な財産分与ができません。
そのため離婚時には、不動産会社や不動産鑑定士に家の査定を依頼する必要があります。
後ほど解説しますが、家を売却せずにどちらかが住み続ける場合でも、不動産評価額を把握しておく必要があります。
財産分与には3つの種類がある
家の査定が必要になるケースや依頼方法の前に、前提知識として財産分与の種類を解説します。
財産分与は次の3種類があるため、離婚する際は理解しておいてください。
- 清算的財産分与
- 扶養的財産分与
- 慰謝料的財産分与
清算的財産分与
婚姻中に夫婦で築いた財産である、不動産や預貯金、車などを公平に分配するのを清算的財産分与といいます。
妻の内助の功により夫は財産を築けたと判断されるため、妻が専業主婦であったとしても、収入に関係なく1/2ずつ分配するのが一般的です。
離婚時におこなわれる財産分与の大半が清算的財産分与で、最も一般的なケースといえます。
扶養的財産分与
年齢や健康状態、職務経歴によっては、離婚後すぐに仕事ができず、経済的に困窮してしまうことがあります。
そのような相手側に対し、離婚後一定期間を定めて月々の生活費を補助する場合があり、これを扶養的財産分与といいます。
扶養的財産分与をおこなうかは、基本的に夫婦の話し合いで決められるため、金額はケースによって異なります。
慰謝料的財産分与
財産分与に本来は慰謝料の性質はありません。もし慰謝料が発生する場合は、財産分与とは別に支払います。
つまり財産分与と慰謝料は別に定めるのが普通ですが、便宜上合わせて支払うケースもあり、これを慰謝料的財産分与といいます。
離婚時に家の査定が必要になるケース
離婚後に家の査定が必要になるのは、売却するときだけとはかぎりません。どちらか一方が住み続けるときも、資産価値を調べる必要があります。
離婚後に家の査定が必要になるケースと、簡単な流れについて紹介します。
物件を売却して売買代金を分配するとき
住んでいる物件を売却して売買代金を財産分与するときは、まず不動産会社へ査定依頼する必要があります。査定価格を参考にして売買価格を設定し、不動産会社へ売却を依頼します。
なお売買想定価格よりも住宅ローンの残高が多いときは、自己資金を充当して住宅ローンを完済しなければなりません。
自宅の売却を検討するときは、いくらぐらいで売却できるのか、また手元にどの程度残るのか確認するようにしてください。
どちらかが住み続けるとき
離婚後にどちらかがそのまま住み続ける場合も、自宅の資産価値を確認する必要があります。
住み続ける方が物件の評価額の半額を相手側に支払い、家を財産分与するのが一般的です。この場合、不動産の名義を単独名義にするのも、忘れないようにしましょう。
資産価値を調べる方法には、不動産会社へ査定依頼して、その査定価格を参考にする方法と、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する方法があります。
トラブルを避けるためにも、評価額の算出方法についてはよく話し合ったうえで決めるようにしてください。
離婚時の家の査定方法|財産分与の不動産評価額を決める方法
離婚時の家の査定は、どの業者に依頼すればよいのかわからない方もいるでしょう。
財産分与の不動産評価額は、お互いが合意をしていれば、不動産会社の簡易的な査定でも問題ありません。
離婚時における家の不動産評価額を決める方法を解説します。
不動産会社に査定を依頼する
コストをかけたくないのであれば、不動産会社に家の査定を依頼する方法がおすすめです。
査定を依頼する方法は、次のように3種類あります。
- 机上査定
- 訪問査定
- 一括査定
それぞれの査定の特徴や注意点を解説します。
査定価格を早く知りたいなら机上査定
査定価格をなるべく早く知りたいときは、机上査定がおすすめです。実際に担当者が不動産を見ることはなく、一定の情報を参考にして査定価格を算出します。
早ければその日のうちに査定価格がわかることもあり、その手軽さから簡易査定ともいわれます。
ただし、次章で解説する訪問査定より精度は落ちるため、正確な市場価格を知りたいときには向いていない査定方法です。
より正確な査定価格を知りたいなら訪問査定
より正確な査定価格を知りたいときは、訪問査定を依頼しましょう。
実際に担当者が不動産を調査して査定価格を算出するため、机上査定よりも精度の高い査定です。また、売却する際はかならず訪問査定が必要になります。
売却しない場合でも訪問査定を依頼できますが、営業の電話がかかってくる、査定結果が出るまでに1週間程度かかるなどのデメリットがあります。
手軽に複数社に査定依頼したいなら一括査定
時間をかけずに複数社の査定を比較したいときは、一括査定がおすすめです。
一度物件の情報を入力して送信するのみで、複数の不動産会社から査定価格が提示され、家の市場相場がわかります。
不動産会社によって査定価格は異なるため、複数社の平均値を参考に自身の物件の価値を推測しましょう。
不動産鑑定士に査定を依頼する
家の財産分与でのトラブルを避けたい方は、不動産鑑定士に査定を依頼しましょう。
国家資格の不動産鑑定士に査定を依頼すると、法的に有効な不動産鑑定書を受け取れるため、財産分与の際のトラブルを防げます。
たとえば家の金額の算定で意見が異なる場合、不動産鑑定士に査定を依頼すれば、公的なマイホームの金額を把握できます。
ただし不動産鑑定士に依頼する際は、20〜30万円程度の費用がかかるため、どの方法で査定するかよく検討してください。
相手に知られずに家の査定価格を調べる方法
不動産会社や不動産鑑定士に依頼すると、相手側に資産価値を調べたことが知られてしまうおそれがあります。
相手に知られずに家の査定価格を調べる方法を3つ紹介します。
離婚の話が進み財産分与をする際、双方の合意があれば紹介する査定方法の評価額も利用できるため、気になる方は参考にしてください。
不動産情報ライブラリ
国土交通省が運営している不動産情報ライブラリは、不動産の取引価格がわかるWebサイトです。
全国各地の不動産取引価格や地価の推移などのデータを確認でき、マイホームの市場価格の参考になります。
スマートフォンからも簡単に利用できるため、誰にも知られずに家の不動産評価額を知りたい方におすすめの査定方法です。
レインズマーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通省の指定を受けた不動産流通機構が運営している不動産取引情報提供サイトです。
不動産会社で取引された成約情報を無料で確認できるため、同じような物件がいくらで売却されているのかを把握できます。
相手に知られずに家の査定をしたい場合は、レインズマーケットインフォメーションで、条件が似ている物件の取引価格を調べてみましょう。
不動産ポータルサイト
不動産ポータルサイトを利用するのも、秘密に家を査定する方法の一つです。
地域や土地の広さ、築年数などを入力すれば取引実績の事例を確認できて、家の大まかな不動産評価額を調べられます。
匿名査定(AI査定)とも呼ばれ、瞬時に不動産価格を査定できますが、あくまで目安の金額のため参考程度の価格と考えておきましょう。
離婚時には家を売却するべき?住み続けるべき?
離婚時に家を売却するべきか住み続けるべきか、悩んでいる方もいるでしょう。
どちらを選んだ場合でも、メリットとデメリットがあるため、事前によく検討する必要があります。
離婚したあとに家を売却する、または住み続けるメリットとデメリットを解説します。
離婚時に家を売却するメリット・デメリット
離婚時に家を売る主なメリットは、次のとおりです。
- 財産分与が公平になる
- 離婚後の金銭トラブルを避けられる
- 精神的に解放される
家を査定して売却すれば離婚後の金銭トラブルを避けられ、新しい環境からスタートできる点がメリットでしょう。
一方で必ず売却できるとは限らない点がデメリットで、家を売るためには住宅ローンを完済しなければなりません。
住宅ローンを完済できない場合、どちらかが住み続ける、自己資金で不足分を補填するなどの対策が必要になるのを把握しておいてください。
離婚したあとも住み続けるメリット・デメリット
離婚したあとでも住み続けるメリットは、次のとおりです。
- 引っ越す必要がない
- 生活や教育環境が変わらずに済む
- 離婚後の面会がしやすい
離婚後に親と子どもで同じ家に住み続けると、住み慣れた環境で暮らせて、子どもとの面会もしやすいなどのメリットがあります。
ただし、住宅ローンの名義人以外の方が住み続ける場合、滞納されたり売却されたりするおそれがある点がデメリットです。
離婚後のトラブルを避けたい方は、住宅ローンを借り換えて名義人を自身にする、取り決めを公正証書にしておくなどの対策をしておきましょう。
不動産査定を依頼するときに必要な書類
不動産会社へ訪問査定を依頼するときは、ある程度書類が必要になります。すべてなければ査定依頼できないわけではありませんが、なるべく揃えておくことでスムーズに進められるでしょう。
必要書類は実際に売却するときにも準備するため、手元にあるかどうか早めに確認しておけると安心です。
この章では、家の査定を依頼するときに必要な書類を紹介します。
本人確認書類
本人確認書類は、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きのものを用意しましょう。
いずれも用意できない場合は、保険証などで確認する場合もありますが、司法書士へ所有権移転登記を依頼する際は、複数の身分証明書が必要になることがあります。
顔写真付きの身分証明書が準備できない場合は、どのような書類が必要になるのか、事前に確認しておきましょう。
登記済権利証または登記識別情報
登記済権利証(または登記識別情報)とは、不動産の所有者を示す書類で、購入時に法務局で交付されたものです。
2005年に登記済権利証は廃止になり、以後は12桁の数字や符号が記載された、登記識別情報が通知されるように変更されています。
紛失した場合は司法書士などに身分を証明してもらう必要があるため、手元にない場合は早めに不動産会社へ相談しておきましょう。
固定資産税(都市計画税)納税通知書
固定資産税(都市計画税)納税通知書とは、1月1日時点の不動産の所有者に対して、毎年4月頃に自治体から送付されるものです。
固定資産税評価額がわかる書類で、決済時に買主と固定資産税を精算するときにも必要になります。
仮に固定資産税(都市計画税)納税通知書を紛失して見当たらない場合は、市町村役場で再発行できます。
購入時の売買契約書
購入時の売買契約書とは、不動産の床面積や築年数などの他、用途地域などもわかる資料です。
不動産の価値を決める重要な情報が記載されており、査定を依頼する際に提出を求められることもあります。
翌年確定申告をする場合は必要になるため、なくさないように、手元に保管しておきましょう。
住宅ローン残高証明書
住宅ローン残高証明書は名前のとおり、住宅ローンの残高がどのくらいあるかを証明する書類です。
自宅を売却するためには、住宅ローンを完済しなければなりません。
住宅ローンの残債のほうが多い場合は、どの程度完済に必要なのかを把握して、資金計画を立てましょう。
登記事項証明書
登記事項証明書は所有者や住所など、不動産の登記簿に記載されている内容を証明する書類です。
法務局やオンラインで取得でき、不動産会社が用意するケースが多い書類です。
もし購入時の登記事項証明書があれば、確認のためにも準備しておきましょう。
購入時のパンフレットや間取り図
一戸建てやマンションを購入したときのパンフレットや間取り図があれば、査定時に提出するとよいでしょう。
購入時のパンフレットや間取り図は、物件の特徴や共用施設などを確認するのに役立ちます。
また販売用の図面や広告を作成する際にも利用するため、保管していれば不動産会社へ提示しましょう。
管理規約・議事録・長期修繕計画
マンションの査定を依頼する場合は、管理規約や議事録、長期修繕計画の提出が必要になります。
どのような管理規約があるのか、ペットの飼育はできるのかなど、生活するうえで大切な情報を知らせる必要があるためです。
また、管理費や修繕積立金は買主が購入を判断する材料にもなり、マンションの価値を査定するのに提出を求められます。
離婚時に家の査定依頼をするときに気をつけたいポイント
離婚時に家の査定依頼をするときは、主に次のような注意点があります。
- 複数の不動産会社に査定依頼をする
- 不動産会社の査定価格=売却価格・評価額ではない
- オーバーローンの場合は財産分与の対象にならない
- 共有名義の場合は双方の同意がないと売却できない
気をつけたいポイントを把握しておき、後悔のないようにしてください。
複数の不動産会社に査定依頼をする
家の査定を不動産会社に依頼する際は、複数社に頼むようにしましょう。
不動産会社はそれぞれ査定方法や評価基準が異なり、提示される価格に差が出るケースもあるためです。
1社のみに依頼して査定金額を鵜呑みにしてしまうと、相場より低い金額で財産分与をおこなってしまう可能性があります。
複数の不動産会社に査定を依頼して金額を比較すれば、家の価格の相場を知れるため、売却する際にも損をしにくくなります。
不動産会社の査定価格=売却価格・評価額ではない
不動産会社に依頼して提示された査定価格は、売却価格や不動産評価額ではありません。
査定価格は売却できそうな価格を不動産会社が予想した金額で、家を売る際の成約価格とは異なる可能性があります。
また家を売却せずに財産分与をする際、不動産会社の査定価格で相手側が合意しないケースもあるため注意が必要です。
離婚時に家を売る、または売らない場合でも、不動産会社の査定価格は成約価格・評価額ではないと認識しておきましょう。
オーバーローンの場合は財産分与の対象にならない
家の住宅ローンがオーバーローンの場合、マイホームは財産分与の対象にはなりません。
オーバーローンとは、家の評価額よりも住宅ローンの残債が上回っている状態を指します。
そのためオーバーローン状態のときは、家が財産分与の対象から外されて、名義人が今までどおり住宅ローンを支払う必要があります。
不動産会社に査定を依頼する際は、住宅ローンの残債も調べておき、オーバーローンになっていないか確認しておきましょう。
共有名義の場合は双方の同意がないと売却できない
不動産登記上、夫婦で共同名義になっている場合は、双方の同意が得られたときのみ売却できます。
どちらか一方の独断で売却できないため、家を売りたいときは不動産会社に査定を依頼する前に、夫婦でよく話し合う必要があります。
夫婦で共同名義になっている家を売却しようと考えている場合は、事前に相手の意見も聞き、トラブルにならないようにしてください。
財産分与をする際の注意点
離婚で財産分与する際に、注意すべきポイントを3つ紹介します。
離婚後は連絡がしにくくなったり、途絶えたりするケースがあります。トラブルを回避するためにも、ぜひ参考にしてください。
家以外にも対象になる財産を把握する
財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦で築いた財産です。
結婚後に購入した不動産だけでなく、預貯金や株、退職金も対象になるため、隠れた財産がないか確認するようにしましょう。
なお、親族から相続や贈与により取得した不動産や現金などは対象外です。
離婚後2年以内に請求する
財産分与は離婚後でも請求できますが、離婚が成立した日から2年を経過してしまうと、家庭裁判所に財産分与の申し立てができなくなります。
相手側が任意で応じる場合は、この限りではありません。つまり相手への請求は可能ですが、基本的には難しいでしょう。2年を経過して財産分与を請求する際は、弁護士への相談も視野に入れてください。
また、財産分与の請求権は調停や裁判などで権利が確定すれば、その後10年間は有効です。
財産分与する金額によっては贈与税がかかる
離婚によって夫婦で築いた財産を分配する場合は、基本的には贈与とはみなされず、贈与税はかかりません。
しかし一定の場合は、贈与税がかかる可能性があります。たとえば以下のようなケースが考えられます。
- 結婚後に夫婦で築いた財産としては、高額過ぎると判断されたとき
- 財産分与が、贈与税を免れることを目的としているとみなされたとき
財産分与では贈与税が発生する可能性もあるため、不安な方は税理士に確認しましょう。
離婚時の家の査定から財産分与をするまでの手順
離婚時に家の査定を依頼して、財産分与をするまでの手順は次のとおりです。
- 名義人や抵当権を確認する
- 住宅ローンの残債を確認する
- 家の査定を依頼する
- 特有財産がないか確認する
- 夫婦で財産分与を話し合う
家の財産分与でトラブルを避けたい方は、参考にしてください。
1:名義人や抵当権を確認する
はじめに家の名義人が誰なのかを明確にしておく必要があります。法務局の窓口で取得するか、オンラインで登記簿謄本を請求して調べましょう。
また名義人を調べるのと同時に、抵当権が設定されているかを確認してください。家を売却する際は、抵当権を抹消する必要があります。
2:住宅ローンの残債を確認する
離婚時に家の売却を考えている場合は、住宅ローンの残債がどの程度あるのかを確認してください。
家を売るためには住宅ローンを完済する必要があり、売却した資金で返済できるのか把握しておく必要があります。
また住宅ローンの残債を調べる際、契約者や連帯保証人なども確認しておきましょう。
3:家の査定を依頼する
家の名義人と住宅ローンの残債を確認したら、不動産会社や不動産鑑定士に査定を依頼します。
夫婦で話し合いができそうな場合は不動産会社、財産分与でトラブルになる可能性があるときは、不動産鑑定士への査定依頼がおすすめです。
不動産会社に依頼する際は3〜4社に査定価格を提示してもらい、家の市場相場を把握するようにしましょう。
4:特有財産がないか確認する
査定結果が出たあとは、特有財産の有無を確認してください。特有財産とは、次のような夫婦の協力以外で得た財産を指します。
- 独身のときから所有していた財産
- 独身のときの貯蓄で購入した財産
- 片側の親族から譲り受けた財産
- 片側の親族が購入した財産
法律にも定められているように、家が特有財産の場合は財産分与の対象とならないため、事前に確認しておく必要があります。
第七百六十二条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
引用元:民法「e-Gov 法令検索」
財産分与のトラブルを避けるためにも、住んでいる家が特有財産ではないかを確認しておいてください。
5:夫婦で財産分与を話し合う
最後に財産分与や今後どうするのかを夫婦で話し合います。決めなければならない内容は、主に次のとおりです。
- 家を売却するかどうか
- 売却先をどの業者にするのか
- どちらが住み続けるか
- 住宅ローンの残債をどうするのか
冷静な話し合いが難しい場合は、司法書士や弁護士などに依頼して財産分与を進めるのも選択肢の一つです。
また、夫婦の話し合いで決めた財産分与の内容は、トラブルを回避するためにも書面に残しておきましょう。
離婚時の家の査定に関するよくある質問
離婚時の家の査定に関して、家を売らないときの査定方法や、無料査定でのトラブルがあるのかが気になる方もいるでしょう。
よくある質問に回答しているため、ぜひ参考にしてください。
財産分与で家を売らないときの一般的な査定方法は?
離婚時に家を売らないときの査定方法は、不動産鑑定士に依頼するのが一般的です。
不動産鑑定士が作成する不動産鑑定書であれば法的に効力があるため、公平な財産分与ができます。
正確な評価額まで把握する必要がないうえに、費用をかけたくない場合は、匿名査定(AI査定)がよいでしょう。
不動産会社の無料査定でトラブルはある?
不動産会社に無料査定を依頼した際、よくあるトラブル事例は次のとおりです。
- しつこい営業電話
- 高額な査定価格を提示される
- 相場よりも安い査定価格を提示される
- 近隣の住民の間で噂になる
自身でも家の市場価値を調べておき、相場からかけ離れた査定価格ではないかを確認しておく必要があります。
周囲に知られたくない事情で家の訪問査定を依頼する際は、事前に不動産会社に伝えておきましょう。
不動産の財産分与の評価で基準時はいつ?
不動産を財産分与する際の評価の基準時は、夫婦の協力関係が終わったときを指し、通常であれば別居時です。
ただし協議離婚であれば話し合いがまとまった時点、調停離婚の場合は調停が成立した時点になります。
また裁判離婚の場合は、事実審の口頭弁論終結時が基準時です。
まとめ
離婚時に家の査定が必要な理由や不動産評価額を決める方法、財産分与をするまでの流れなどを解説しました。
自宅を購入している場合は、二人の協力で得た財産だとみなされ、離婚時の財産分与の際に家の査定をする必要があります。
離婚時の家の査定方法は、次のとおりです。
- 机上査定
- 訪問査定
- 一括査定
- 不動産鑑定士による査定
双方の合意があればどの査定方法でも問題はありませんが、相手と揉めるのを避けたい場合は、法的に効力のある不動産鑑定士への依頼がよいでしょう。
離婚時に家を査定する際は、本記事で解説した注意点や内容を参考にして、トラブルにならないようにしてください。