「専任媒介契約を結んだのに不動産が売れない」と、悩んでいる方がいるのではないでしょうか。
専任媒介契約は必ず売れる契約ではなく、契約後に放置すると長期間進展しないケースも珍しくありません。
そこで本記事では「専任媒介契約を結んだのに物件が売れない」と悩んでいる方の疑問を徹底的に解決します。
売れない原因や対策について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
専任媒介契約を結んだ物件が売れない時の主な理由
不動産会社と専任媒介契約を結んでも、マンションがすぐに売れるとは限りません。
専任媒介契約を結んでもマンションが売れない際は、次の4つの原因が考えられます。
- 不動産会社に囲い込みをされているから
- 売却価格が相場価格と比べて高いから
- 広告・販売活動が不十分
- 内覧時の対応が悪いから
「専任媒介契約を結んだのにマンションが売れない」と悩んでいる方は、自身に当てはまる原因を探してみましょう。
不動産会社に囲い込みをされているから
マンションを売り出し後に内覧数が少ないと感じる場合は、囲い込みされている可能性があります。
囲い込みとは、不動産会社が他社に物件情報を公開せず、売主と買主の両方から手数料を得ようとする行為です。
基本的に、囲い込みの違法性に関する法律はありません。ただし、物件をレインズに登録していない場合は違反行為となります。
囲い込みをされると他の不動産会社に物件情報が渡らず、マンション売却速度や価格に悪影響を及ぼします。
もし囲い込みの疑いがある場合は、レインズの「登録証明書」の提示を求めましょう。
証明書に記載されているURLにアクセスし、IDとパスワードを入力すると、レインズの登録内容を確認できます。
売却価格が相場価格と比べて高いから
専任媒介契約をしても、売却価格が相場より高ければすぐには売れないでしょう。
売却価格は適正に設定する必要があり、基準値から乖離があると売却が難しくなります。
高すぎると売れづらくなり、低すぎると売却できても損をするでしょう。
もし、専任媒介契約をしてもマンションが売れない場合は、売却価格が適正かを再度確認してみてください。
広告・販売活動が不十分
広告や販売活動が不十分な場合、スムーズにマンションを売却できないでしょう。
マンション売却が得意でない不動産会社は、効果的な広告活動の方法を認知していないことがあります。
広告や販売活動の質や精度は、契約前に実績を確認するとスムーズです。
公式サイトや不動産会社が出している広告を確認すれば、これまでの販売実績や取り扱いが多い物件の特徴が分かります。
また、契約後に販売活動に関しての疑問を感じた場合は、担当者に確認してみましょう。
確認や指摘を繰り返すことで、対応が改善される可能性があります。
内覧時の対応が悪いから
内覧数はある程度あるのに、なかなか成約に結びつかないのは、内覧時の対応の悪さが影響していることも考えられます。
内覧者から質問が出た際は快く返答し、購入後の生活がイメージできるような情報を提供するようにしてください。
しかし、アピールし過ぎるのも考えものです。
気持ちよく見てもらえるように、自然な対応を心がけましょう。
専任媒介契約を結んだ物件が売れない場合に選べる4つの選択肢
専任媒介契約を結んだ物件が売れない場合は、次の4つの選択肢から方針を選べます。
- 専任媒介契約を更新する
- 別の不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
- 一般媒介契約に変更する
- 専任媒介契約を途中解除する
上記4つの選択肢は、状況に応じて選択できる場合とできない場合があります。
ここからは、選択肢ごとに詳しく解説するため、専任媒介契約した物件が売れない場合に確認してみてください。
専任媒介契約を更新する
専任媒介契約の期間内に物件が売れない場合、契約の更新が最も簡単な手段です。
現在契約中の不動産会社と再度契約を結び、引き続き買い手を探しましょう。
ただし「これまで契約していた」のみの理由での契約更新は早計です。
専任媒介契約は自動更新が認められていない契約であり、期間終了後にほかの不動産会社と契約を結ぶ権利があります。
不動産会社の強みや条件を再度確認し、ほかの選択肢も視野に入れたうえで判断しましょう。
別の不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
現在利用中の不動産会社と契約を更新せず、ほかの不動産会社と専任媒介契約を結ぶ手段も有効です。
専任媒介契約の契約期間は最大3か月で、期間が終了すると他の不動産会社と契約を結べます。
ただし、契約期間が満了する前にほかの不動産会社と契約を結ぶと、違約金が発生する場合があります。
上記の理由から、不動産会社を変更したい場合は、契約満了の期日を確認しましょう。
一般媒介契約に変更する
専任媒介契約でマンションが売れない場合は、一般媒介契約に変更する手段も検討してみましょう。
一般媒介契約は3つある媒介契約の一種で、専任媒介契約とは次の点が異なります。
- 複数社との媒介契約が可能
- 不動産会社の報告義務がない
- 不動産会社のレインズ登録義務がない
上記の特徴を見てわかるとおり、不動産会社と売主の関係が比較的自由な点が特徴です。
売主は1つの不動産会社に依存しないため、効果的に活動すれば効率よく不動産を売れます。
一般媒介契約に切り替えることで、競合同士の競争心により販売活動の活性化にも期待できます。
さらに、情報の拡散力も向上するでしょう。
ただし、専任媒介契約の期間が終了するまでは、一般媒介契約に切り替えられないため、契約期間満了のタイミングを事前に確認してください。
専任媒介契約を途中解除する
イレギュラーな対応となりますが、専任媒介契約を途中解除するのも1つの手段です。
ただし、不動産会社に規約違反がない場合には違約金が発生します。
一般的に起こる可能性がある不動産会社の規約違反を次にまとめました。
- 活動報告義務を怠る(2週間に1回の報告)
- 契約締結後7営業日以内にレインズへの登録がない
- ほかの不動産会社に虚偽の情報尾を流す(問い合わせ時に「売買が成立している」など)
- 広告活動を怠る
上記の規約違反は悪質であり、違約金なしでの契約解除を申し立てられます。
ただし、契約期間中の契約解除には専門知識が必要な場合が多いため、専門家に問いあわせてから行動に移しましょう。
専任媒介契約で売却しやすい不動産会社の見極め方
専任媒介契約で売却しやすい不動産会社は、次の4つの方法で見極めるとよいでしょう。
- 販売戦略を確認する
- 信頼できる担当者がいるか確認する
- 不動産売却に関するサービスの有無を確認する
- 過去の販売実績を確認する
ここからは、上記4つの見極め方について詳しく解説します。
専任媒介契約を結ぶ不動産会社を探している方は、ぜひ参考にしてください。
販売戦略を確認する
不動産会社の販売戦略は、専任媒介契約を結ぶ際に確認するべき点です。
販売戦略が明確な不動産会社なら、自身の物件や希望と合致するかの判断ができます。
一方、販売戦略が曖昧な不動産会社を選ぶと、専任媒介契約の締結後に後悔する可能性があります。
販売戦略を確認する際は、次のポイントに注目してみてください。
- 買い手のターゲット層
- ターゲットへのリーチ手法
- インターネット戦略
上記の3点を確認すれば、契約後の流れを事前にイメージできるでしょう。
信頼できる担当者がいるか確認する
専任媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶ際は、担当者が信頼できるかも判断基準に入れましょう。
専任媒介契約を結ぶと担当者と頻繁にやり取りするため、相性が悪ければ効率よく売却を進められません。
さらに、担当者のスキルや知識を信頼できなければ、よい関係を築けないでしょう。
担当者の人間性や質はやり取りをしなければわからないため、気になる不動産会社がある場合は気軽に問いあわせてみてください。
複数の担当者とやり取りをすれば、自身と相性がよい不動産会社が見えてくるはずです。
不動産売却に関するサービスの有無を確認する
不動産会社ごとにサービスの内容が異なるため、事前に確認しておきましょう。
たとえば、特典としてハウスクリーニングが付随する不動産会社を選べば、内覧でよい印象を与えやすくなります。
さらに、室内外のリペアや引越時の荷物の一時預かりなど、不動産会社により受けられるサービスはさまざまです。
サービスが不動産会社選びの決め手とはなりませんが、判断基準に加えてもよいでしょう。
過去の販売実績を確認する
過去の販売実績を確認すれば、専任媒介契約を結ぶ際の信頼度を測れます。
条件が同じで販売実績が10件と1,000件の不動産会社がある場合、後者の方が安心して任せられます。
また、販売実績の内容も確認するとよいでしょう。
たとえば、マンションを売却したいのに、一軒家の販売実績が豊富な不動産会社を選ぶのはおすすめできません。
実績を見る際は、件数と内容の両方を確認しましょう。
専任媒介契約で物件が売れないか不安な際にチェックするべきポイント
専任媒介契約を結んだのに物件が売れない場合、次の4つのポイントをチェックしてみましょう。
- 2週間に1度の報告があるか確認する
- 囲い込みの有無を確認する
- 担当者や営業方法が信頼できるか見極める
- レインズに物件が掲載されているか確認する
上記の内容をチェックすると、不動産会社が違法行為をしていないかや、任せても問題ないかを確認できます。
2週間に1度の報告があるか確認する
専任媒介契約を結ぶと2週間に1度のペースで、不動産会社から売主に活動内容の報告義務があります。
不動産会社が2週間に1度の報告を怠るのは契約違反であり、販売活動が行われていない可能性を疑わなければなりません。
また、2週間に1度の報告がない場合は、契約期間中でも違約金なしで契約破棄できる可能性があります。
定期的な報告がないと感じた場合は、まず連絡の感覚が2週間以上空いているか確認してから行動に移しましょう。
囲い込みの有無を確認する
専任媒介契約を結んだ物件が売れない場合は、不動産会社による囲い込みを疑いましょう。
囲い込みとは、売主と買主から手数料をもらうため、ほかの不動産会社に物件情報を渡さないことです。
結論、囲い込み自体は違法ではありませんが、不動産会社への信頼は薄れます。
囲い込みが判明した不動産会社とは、契約を延長しないほうがよいでしょう。
担当者や営業方法が信頼できるか見極める
専任媒介契約の締結後スムーズに不動産が売れない場合は、担当者や営業方法が信頼できるかを再度見極めてみましょう。
たとえば、インターネットの活用法や価格設定、報告の正確性など、なにが問題で売れないのかを判断する必要があります。
問題点を発見した場合は、担当者に相談してみてください。
問題を指摘しても改善が見られない場合は、次回の契約更新を見送る判断も必要となります。
レインズに物件が掲載されているか確認する
専任媒介契約を結んでも不動産が売れない場合は、レインズに物件が登録されているか確認してみましょう。
専任媒介契約を結ぶと、不動産会社は7営業日以内にレインズに物件を登録する義務があります。
もし、7営業日以降にレインズへの登録がない場合は、不動産会社の契約違反です。
契約違反がある場合は、契約期間中でも契約解除ができます。
専任媒介契約でマンションが売れないときにできる改善点
専任媒介契約でマンションが売れない際の具体的な改善点は次の4つです。
- 担当者の変更を希望する
- 室内を整理整頓し、念入りに清掃する
- マンションのアピールポイントを見直す
- 写真の見栄えを重視する
マンションが売れない状況を改善したい方や、専任媒介化契約に不信感を抱いている方は、次の対策を参考にしてみてください。
担当者の変更を希望する
担当者のスキル不足が原因でマンションが売れないと感じる場合は、担当者の変更を希望してみましょう。
しかし広告してから反響を得られるまでに時間がかかるため、短期間で不動産会社を変えるのは得策ではありません。
また、かならずしも担当者の変更ができるとは限りません。
まずは担当者の上長に状況を説明し、相談することから始めましょう。
室内を整理整頓し、念入りに清掃する
マンションを売却する際は、内覧時の印象も重要です。
内覧前になるべく室内を整理整頓し、目につく場所は念入りに清掃しておきましょう。
また、室内に家財道具が多すぎると、実際の専有面積よりも狭い印象を与えてしまいます。
なるべく不用品は処分し、目に見える場所に生活感が出るものを置かないように改善してみましょう。

マンションのアピールポイントを見直す
マンションに住むことで得られるメリットを、内覧の際に上手に伝えてみましょう。
購入者は内覧で購入するか否かを判断することが多く、印象に残らないマンションは候補から外れてしまいます。
またマンションの特徴やメリットをリストアップし、担当者からも説明してもらうようにします。
さらに、アピールポイントを広告や図面にも反映すると、売却できる可能性が高まるでしょう。
写真の見栄えを重視する
不動産会社の公式サイトや、不動産ポータルサイトに掲載されているマンションの写真を確認し、見栄えが良くない場合は差し替えを依頼しましょう。
撮影時は、カーテンを開けて照明も点灯すると見栄えがよくなります。
また南向きであればお昼頃、東向きは午前中など、太陽の光が入る時間帯に撮影するなど、細かな工夫もあるとよいでしょう。
専任媒介契約で物件が売れない場合に関するよくある質問
最後は、専任媒介契約で物件が売れない場合に関するよくある質問に回答します。
- 専任媒介契約はほかの媒介契約と何が違うの?
- 専任媒介契約を結ぶメリット・デメリットは?
専任媒介契約はほかの媒介契約と何が違うの?
専任媒介契約とほかの媒介契約の違いを次の表にまとめました。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数社との契約 | 〇 | × | × |
指定流通機構(レインズ)への登録 | 任意 | 義務(7営業日以内) | 義務(5営業日以内) |
不動産会社の売主への業務報告 | 任意 | 義務2週間に1回以上 | 義務1週間に1回以上 |
自己発見取引(売主が自ら発見した相手との契約) | 〇 | 〇 | × 必ず媒介契約を結んだ不動産会社を介して契約する必要あり |
契約有効期間 | 法律上の制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
※ 媒介契約とは?
専任媒介契約は、3つある媒介契約で最もバランスが取れた契約内容といえます。
1社しか契約できないものの自身で買主を探すのも可能で、販売活動の幅が広い点も特徴です。
また、不動産会社は報告義務やレインズへの登録義務があるため、積極的な販売活動にも期待できます。
専任媒介契約を結ぶメリット・デメリットは?
専任媒介契約を結ぶメリットとデメリットを次にまとめました。
メリット | デメリット |
・不動産会社が積極的に販売活動をする・1社とのやり取りでシンプルに活動できる・自身で買主を見つけるのも可能 | ・囲い込みの可能性がある・不動産会社や担当者次第で効率が左右される |
専任媒介契約を結ぶか悩んでいる方は、上記のメリット・デメリットを参考にしてみてください。
まとめ
専任媒介契約は、不動産会社の手厚い対応も期待でき、早期売却したい人に向いています。
しかし専任媒介契約を締結しても、早期に売れる保証はありません。
専任媒介契約を結んでも不動会社に任せきりにせず、競合物件の動向や成約物件の情報を得ると、売れないリスクを軽減できます。
また、室内の見栄えや内覧時の対応も重要です。
反響や内覧数が少ないと感じる場合は、不動産会社の担当者と相談し、価格の見直しやアピールポイントを再度見直してみるのもよいでしょう。
専任媒介契約を結んだ物件が売れないと感じたら、本記事を参考にして、次の行動に移してみてください。