「土地を売りたいけれど、まず何をすればいいのか分からない」「とりあえず査定してみたいけど、どこに頼めばいいの?」など、土地売却時の査定について悩む方は少なくありません。
そこで本記事では、土地売却前の査定方法から、査定額を左右するポイント、具体的な売却の流れやおすすめの無料査定サービスまで、初心者にもわかりやすく解説します。
最後まで読めば、自身に最適な査定方法や、信頼できる不動産会社やサービスの選び方、査定額を上げるコツがわかります。
ぜひ本記事を参考に、大切な土地を適正価格で売却しましょう。
売却前に土地を査定する方法
土地を売却するときは、最初に今の土地の価値を把握しましょう。
土地を査定する方法は、自身で相場を調べる方法と、不動産会社に査定を依頼する方法の2つです。
それぞれ詳しく解説します。
自身で調べる
土地の価値を自身でおおまかに把握したい場合は、国土交通省が公表している公示地価や基準地価、路線価、固定資産税評価額などを活用する方法があります。
また、近隣の取引事例や売買履歴を掲載している不動産ポータルサイトの検索もおすすめです。
たとえば、同じ市区町村内で似た条件の土地の取引価格を調べることで、相場の目安がわかります。
ただし、自身で調べられる情報は、あくまで参考値にすぎません。土地の形状や接道状況などによって査定額は大きく変わるため、最終的には専門家への相談が必要です。
不動産会社に依頼する
より正確な査定を希望する場合は、不動産会社への依頼が一般的です。
査定には、次の2種類の方法があります。
- 机上査定(簡易査定)
- 訪問査定(詳細査定)
机上査定は住所や土地面積などの情報のみで簡易的に金額を算出します。一方、訪問査定では実際に担当者が現地を調査し、周辺環境や土地の状態まで詳しく見て査定します。
不動産会社に依頼すれば、査定の精度は格段に高くなり、売却までの流れや注意点も相談可能です。
また、複数の会社から査定結果を得られる一括査定であれば、価格を比較しながら信頼できる会社選びも同時におこなえます。
土地の査定に用いられる計算方法
土地の査定額は、複数の手法を組み合わせて算出されます。
それぞれの計算方法には特徴があり、物件の種類や立地条件によって使い分けられます。
ここでは、土地の査定に用いられる計算方法を解説します。
取引事例比較法
土地の査定で一般的に用いられる計算方法が、取引事例比較法です。
取引事例比較法とは、近隣の似た土地の過去の売買事例をもとに、査定対象の価格を算出する方法です。
近隣の取引事例のなかから、土地の面積や接道条件などが似ている土地をいくつか選び、市場の動きや取り引き時点を考慮し、査定額が設定されます。
取引事例比較法は市場の動きを反映しやすく、実勢価格に近い査定が期待できます。
ただし、不整形地(三角・L字など)や周辺に事例が少ない場合は、正確な比較が難しくなるため注意が必要です。
収益還元法
賃貸用や事業用の土地の査定には、収益還元法が用いられます。
将来的に得られる家賃収入などをもとに、土地の価値を見積もる方法です。
たとえば、月10万円の賃料が見込める土地があるとすれば、それを利回りに基づいて現在価値に換算します。収益不動産においては非常に合理的な計算方法です。
ただし、空室リスクや修繕費なども考慮されるため、単純な「高収入=高評価」ではない点に注意しましょう。
原価法
原価法は、対象となる建物や土地を再取得した場合のコストから、経年劣化などを差し引いて価格を算出する方法です。
たとえば、古家付きの土地の場合、建物を新築した場合のコストを参考にし、築年数や状態に応じて価値を減額します。
原価法は一般的に、再建築したときの建築費用を算出しやすい土地や公共団体の収用等の補償額の算出時に使用されます。
土地売却で見られる査定ポイント
不動産会社が土地を査定する際には、チェックするポイントがいくつかあります。
同じ広さの土地でも、条件次第で価格が大きく変わることも少なくありません。
ここでは、土地売却でみられる査定ポイントを解説します。
土地の形・面積
一般的に、整形地(四角形に近い土地)は使い勝手がよく、査定額が高くなる傾向です。
一方、三角形や旗竿地などの不整形地は使いづらいため、評価が下がるケースは少なくありません。
また、土地は広いほうが活用幅が広く評価は高くなりますが、広すぎる場合は買い手が限られるため、売りづらくなるケースもあります。
住宅用なら30〜50坪前後がもっとも需要が多く、査定額も安定しています。
土地の状態
地盤の強さや高低差、古家の有無、土壌汚染など、土地の状態も、土地売却の重要な査定ポイントです。
たとえば、古い家屋が建っていて解体が必要な場合、その費用を見込んで価格が下がる可能性があります。
また、水はけが悪い土地や、傾斜がある土地などは、建物が建てにくいためマイナスポイントとして見られるケースは少なくありません。
土地の状態により適正価格は異なるため、現状の把握も大切です。
間口・奥行き
間口(道路に接する部分の幅)が広い土地は、建築の自由度が高く、需要が多いため査定額が高くなる傾向です。
一方、間口が狭く奥に長い土地は、車の出入りや建物の配置に制限があるため、価格が下がりがちです。
たとえば、旗竿地(道路に接している出入り口部分が細長く、奥にまとまった敷地がある土地)は、価格が下がりやすい典型といえます。
日当たり
建物を建てたときに十分な日当たりが確保できる土地は、購入希望者からの人気が高く、査定額も上がる傾向です。
とくに南側や東側に道路がある土地や、周囲に高い建物がない土地は、評価が高くなります。
一方、建物に一切日が当たらない土地は、室内が常に暗く、洗濯物が乾きにくいなど生活面に支障が出やすいため評価が下がります。
周辺環境と合わせて、快適に生活が送れることが高評価のポイントです。
接する道路の状況
土地が面している道路の幅や舗装状況、道路種別(私道か公道か)も査定額に大きく影響します。
道路幅が広く、歩道がある完全舗装の公道に接している土地は、評価が上がります。完全舗装とは、アスファルトやコンクリートで舗装されていることを指します。
また、1つの道路に面している土地よりも、2つの道路に挟まれた二方路地や、2つの道路に面している角地は評価が上がりやすい傾向です。
用途地域
市区町村が定める用途地域は、使用できる用途が限られた土地を指します。
もっとも制限が厳しい第一種低層住居専用地域では、建設できる建物は主に住宅です。
そのため、静かな住宅街が維持される反面、商業施設の建築は制限され、用途に制限がある土地として査定にも影響します。
制限の少ない商業地域や準工業地域であれば活用の自由度が高く価値が上昇しやすく、用途が厳しく住環境が守られる地域も価格が上昇する場合があります。
周辺環境
周囲の商業施設、学校、公園、公共交通機関へのアクセスなども土地の価値を左右します。
最寄り駅から徒歩10分以内の土地は利便性がよく、評価が上がります。一方、徒歩20分以上であれば評価は下がる傾向です。
また、駅から徒歩10分圏内でスーパーや病院が近くにあれば、日常生活の利便性が高く、需要も高いため査定額が上がります。
近隣に公園や緑地が整備されており、環境がよい場合も高評価です。
一方、近隣にごみ処理場や火葬場などの嫌悪施設がある場合は、評価が下がります。
土地の査定から売却までの流れ
土地をスムーズに売却するためには、査定から売買契約・引き渡しまでの全体の流れの把握が大切です。
各ステップを正しく理解していなければ、予期せぬトラブルや損失が発生するケースもあります。
ここでは、土地の査定から売却までの流れをわかりやすく解説します。
1:事前準備
売却前の準備として、まずは土地に関する資料を整理しましょう。
不動産会社に査定を依頼する際、必ずしも必要となる書類はありませんが、用意すれば、正確な査定額が算出しやすくなります。
事前に準備がおすすめの書類は、次のとおりです。
- 登記事項証明書
- 測量図・境界確認書
- 固定資産税の納税通知書
また、書類の用意のみでなく、土地の現況を確認しておくことも重要です。
たとえば、越境している建物がないか、地盤沈下や地中埋設物がないかなど、買主の目線で、問題点がないかを洗い出しておくと、より正確な査定額を算出してもらえます。
2:査定依頼
事前準備ができたら、査定を依頼しましょう。
一般的には不動産会社に連絡して、机上査定や訪問査定を依頼します。
住所や面積など基本情報だけでおおよその価格を算出する机上査定は手軽ですが、より正確な価格を知るためには、現地を確認してもらう訪問査定がおすすめです。
複数の不動産会社に一括査定を申し込めば、価格の比較だけでなく、営業担当者の対応や説明の分かりやすさなどもチェックできます。
信頼できる会社選びにも役立つため、必ず1社ではなく複数の不動産会社に査定を申し込みましょう。
3:販売活動の開始
査定後、信頼できる不動産会社と媒介契約を結んだら、売却活動を開始します。
不動産会社が広告を出し、問い合わせ対応や現地案内をおこないます。
販売活動では、価格設定が重要です。相場よりも高すぎると問い合わせが来ず、安すぎると損をする可能性があります。
査定額や近隣の取引価格を参考にしながら、販売価格を設定しましょう。
問い合わせの数により販売価格の見直しが必要な場合もあるため、こまめに担当者と連絡を取り合うことも大切です。
4:売買契約の締結
買主が見つかり、条件が合えば売買契約を締結します。
売買契約では、契約内容の合意確認と必要書類の準備が重要です。
必要書類の例は、次のとおりです。
- 固定資産税納税通知書
- 登記識別情報(権利証)
- 本人確認書類
- 印鑑証明書
- 実印
不備があると手続きが遅れ、買主の信頼を損ねる恐れがあるため、必要に応じて不動産会社の担当者に確認しながら用意しましょう。
また、手付金の授受や違約金の取り決めなども契約に含まれるため、少しでも不安がある場合は、弁護士など専門家への相談がおすすめです。
5:引き渡し
契約後、代金の決済と所有権移転登記が済めば、いよいよ引き渡しです。
引き渡しの際には、固定資産税の清算や設備・書類の引き継ぎも行われます。
引き渡し当日までに、土地を更地にする、境界を明確にする、登記上の名義人に相違がないか確認するなど、事前準備を万全にしましょう。
一般的に引き渡し日には売主や買主、不動産会社の担当者や司法書士などが集まり、手続きが済めば、不動産の売買契約は正式に終了します。
土地売却時の査定額を高くする方法
土地の査定額は、少しの工夫で大きく変わるケースがあります。
査定額を少しでも高くするためには、適切な準備と業者選びが大切です。
ここでは、土地売却時の査定額を高くする方法を解説します。
相場を事前に調べておく
査定依頼の前に、周辺の土地価格を自身でも調べておくと、有利に進められます。
たとえば、国土交通省の不動産情報ライブラリや、各都道府県の地価調査などを使えば、近隣の取引事例が簡単に把握できます。
また、不動産ポータルサイトでは、似た条件の売出価格の検索が可能です。
相場を知っていれば、不動産会社から提示された査定額が適正かどうかを判断しやすくなり、不当な安値での売却を避けられます。
実績のある不動産会社を選ぶ
高額売却を目指すなら、不動産会社選びも重要です。
不動産会社は、土地売却の実績が豊富な会社や、エリアに精通した担当者がいる会社を選びましょう。
たとえば、地元の取引事例に詳しい会社であれば、土地の魅力を正確にアピールでき、買い手への説得力が増します。
また、売却活動の進め方も会社によって異なります。どのような広告を出すのか、反響があった際の対応スピードなども比較しましょう。
査定サイトを利用する
複数の不動産会社に一括で査定を依頼できる査定サイトを活用すれば、短時間で効率よく情報収集が可能です。
たとえば、すまいステップやイエウール、スミタスなどでは、匿名での簡易査定もできるため、売却を迷っている段階でも気軽に利用できます。
一括査定なら、価格を比較できるのみでなく、担当者の対応や説明のわかりやすさなどもチェックできます。
土地を匿名査定できる無料シミュレーション3選
「いきなり不動産会社に連絡するのは不安」「売却するか迷っている段階」などの方には、匿名で利用できる無料査定サービスが便利です。
無料査定サービスは、使いやすく信頼性の高いサービスを選びましょう。
ここでは、匿名で利用できる無料査定サービスのなかから、おすすめの3つを紹介します。
すまいステップ
すまいステップは、厳選された実績のある不動産会社にのみ査定依頼ができるサービスです。
各都道府県の大手不動産会社が数多く登録されています。
また、宅地建物取引士の資格保有者、売買仲介営業5年以上の経験者など、厳しい基準を満たしている担当者を優先して紹介するなど、利用者が安心できる要素が揃っています。
さらに、企業ごとの口コミや売却実績を確認でき、住み替えに強い不動産会社に相談できるなど、幅広いニーズに対応していることも魅力です。
条件を入力すれば、条件に合う複数の不動産会社からすぐに見積りを受け取れ、売却初心者でも簡単に利用できます。
イエウール
イエウールは、提携会社数2,600社以上と国内最大級の不動産一括査定サイトです。
大手から地元密着型まで幅広く、都市部でも地方でも対応力に定評があります。
さらに、店舗や倉庫、農地など、個人・事業主問わずに利用でき、査定依頼できる物件の種類が豊富なことも魅力です。
査定フォームに面積・所在地・地目などを入力するのみで、登録不要・最短60秒で複数社に一括依頼が可能です。
また、今すぐ売りたい方は、買取希望にチェックを入れれば、即金対応の会社にマッチする可能性もあります。
スミタス
スミタスは、全国対応の簡易シミュレーターも備えています。
とくに、「10秒で匿名査定」とうたうスピード感が魅力です。
また、全国の売却査定ビッグデータから、入力情報をもとに類似性が高いと考えられる物件情報を抽出していることも特徴です。
住所を入力するだけで、簡単におおよその査定額がわかるため、時間がない方にも最適です。
シンプルな入力画面で、使いやすさも抜群のため、土地を匿名で査定したいと考える方は利用してみましょう。
土地売却時の査定に関するよくある質問
初めての土地売却では、査定についての疑問や不安を持つ方は少なくありません。
ここでは、とくに相談件数が多い3つの質問を紹介します。
農地や貸地を売る際の注意点は?
農地や貸地を売却する場合、通常の宅地とは異なる注意点があります。
たとえば農地は、農地法の規制を受けており、売却には農業委員会の許可や届出が必要です。
また、貸地を売却する際は借地人との権利関係をトラブルなく継承してもらうために、買い手に借地契約の内容を正確に伝える必要があります。
農地や貸地では、土地の評価額も通常より下がる傾向があるため、専門知識のある不動産会社への相談がおすすめです。
査定額で実際に売却できる?
不動産会社が提示する査定額は目安に過ぎず、必ずしもその価格で売れるとは限りません。
たとえば、市場の動向や季節、買主からの価格交渉などが発生し、査定額で売却できない可能性があります。
実際には、成約価格が査定額より若干下回るケースは少なくありません。
しかし、複数社に査定依頼をして相場を把握すれば、安売りを防げます。
不動産会社の訪問査定は無料?
基本的に不動産会社の訪問査定は無料です。
訪問査定は机上査定と比べて精度が高く、土地の形状や接道状況、周辺環境なども加味されるため、より現実的な売却価格がわかります。
無料であっても雑な対応をされることは基本的になく、丁寧に現地を確認し、売却に向けたアドバイスももらえます。
ただし、悪質な業者の場合、契約を強引に迫られることもあるため、対応が丁寧で実績のある会社を選ぶことが重要です。
まとめ
土地売却の成功には、正確な査定を受けることが欠かせません。
査定方法には取引事例比較法や収益還元法などがあり、土地の形状や面積、接道状況、周辺環境なども価格に大きく影響します。
とくに、相場・地域性の把握や、実績ある不動産会社への依頼が、納得できる価格での売却につながります。
無料かつ匿名で利用できる一括査定サイトも上手に活用すれば、複数社の査定額や対応を比較でき、信頼できる売却パートナーを見つけやすくなります。
ぜひ本記事を参考に、適正価格で納得のいく土地売却をしましょう。