マンションの売却を検討しているものの、ペットを飼っていることが原因でマンションの資産価値が下がってしまうのではないかと、心配している人は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、ペットを飼っていることが直接原因となってマンションの価値が下がるわけではありません。しかしペットを飼っていることによって室内が劣化している場合は、査定額が下がる可能性はあります。
この記事では、ペットを飼っていることがマンションの査定にどのように影響するのか解説します。
またペットを飼っていても、マンションの資産価値を下げずに売却するコツと、売却するときの注意点を紹介します。
売却予定のマンションで、実際にペットを飼っている方はぜひ参考にしてください。
ペットを飼っている=資産価値が安くなるわけではない
ペットを飼っているだけで、マンションの資産価値が下がるわけではありません。しかし飼っているペットが室内を劣化させた場合は、査定額が下がる可能性はあります。
つまりペットを飼育している事実ではなく、例えばペットを飼っていたことで室内が汚れている場合は清掃や修繕費用がかかるため、その分マンションの査定額が下がることはあります。
ペットを飼っているマンションの査定額が下がる原因
ペットを飼っていることでマンションの資産価値が下がるとしたら、どのようなことが原因として考えられるのでしょうか。この章では具体的な例を紹介します。
マンションにその原因が実際に生じていないか、今一度確認してみましょう。
- ひっかき傷やペットが原因の汚れがある
- 室内のペットのニオイが気になる
- アレルギーがある人や動物が苦手な人から敬遠される可能性がある
ひっかき傷やペットが原因の汚れがある
猫は爪とぎするのが習性です。例えば家具や爪とぎグッズへのひっかき傷であれば問題ありませんが、壁や木部などに爪とぎした跡がある場合は、修繕が必要になるためその分マンションの査定額は下がります。
爪による傷は猫だけではありません。犬は床を走り回ることがありますが、気づかないうちにフローリングに傷跡がついていることがあります。程度や材質にもよりますが、ワックスがけなどで改善できないほど劣化している場合は、フローリングの張り替えが必要になることもあります。
またペット全般にいえることですが、動物特有の皮脂汚れがクロスやフローリングについていることがあります。ハウスクリーニングで落ちないような汚れがある場合は、クロスなどの張り替えが必要になるでしょう。
室内のペットのニオイが気になる
ペットを飼っていると、定期的に掃除をしていても動物特有のニオイが室内に染みついてしまうことがあります。一緒に住んでいる家族はそのニオイに慣れているため気づきにくいのですが、内覧者は玄関を開けてすぐにニオイが気になってしまうことがあります。
一時的な換気や消臭スプレーで消すことは難しく、程度によってはハウスクリーニングやクロスの張り替えが必要になることもあります。ニオイが気になる人にとってはマイナスポイントになるため、その分マンションの査定額も下がる可能性があります。
アレルギーがある人や動物が苦手な人から敬遠される可能性がある
猫や犬アレルギーの方は一定数存在します。内覧の際に動物が原因のアレルギーを感じた場合、購入物件の候補から外れてしまうことがあります。また動物が苦手な人も、動物を飼っていた部屋を購入することに二の足を踏む恐れがあります。
ペットの飼育によりマンションの資産価値が下がるわけではありませんが、不動産会社によっては、購入希望者の母数が減ることを加味して査定することは考えられます。
ペットがいるマンションの資産価値を下げずに売却する7つのコツ
ペットを飼っていることがマンション売却に少なからず影響することがありますが、コツを押さえることにとって、資産価値を下げずに売却することも可能です。
資産価値を下げないためのコツを7つ紹介します。マンションの売却を予定している方は、ぜひ実践してみてください。
- 内覧前に清掃や整理整頓を実施する
- 室内のニオイを徹底的に除去する
- ハウスクリーニングや傷の補修を実施する
- 内覧時はペットがいない状態にする
- ペット飼育可であることをアピールする
- 複数の不動産会社へ査定依頼する
- 実績豊富な不動産会社へ依頼する
内覧前に清掃や整理整頓を実施する
内覧前には念入りに清掃し、なるべく室内を整理整頓します。フローリングは掃除機だけでなく、必ず拭き掃除をしましょう。細かい汚れが取れるだけでなく、ニオイの原因となる唾液や雑菌も除去できます。
ペットのケージやグッズを隠す必要はありませんが、なるべく整理整頓し、清潔感を感じられるように心がけます。
内覧者は意外と隅々まで見ているものです。熱帯魚や金魚を飼っている場合は水槽を、鳥や小動物を飼っている場合は、鳥かごやケージも清掃しておくようにしましょう。
室内のニオイを徹底的に除去する
内覧前には必ず窓を開けて換気をし、消臭スプレーも活用します。空間だけでなく、ソファやジュータン、クッションにもスプレーします。
特に布製品はニオイを吸着しやすいため、カーテンやクッション、マットなどで洗えるものはなるべく事前に洗濯しておきましょう。
ケージは拭き掃除することによってもニオイを軽減できますが、時間があれば水洗いをしておきましょう。
ハウスクリーニングや傷の補修を実施する
自分で清掃が難しい場合は、ハウスクリーニングを検討しましょう。プロに念入りに清掃してもらうことによって、ニオイの問題も解決できることもあります。
基本的にリフォームは必要ありませんが、ペットのひっかき傷が気になる場合は、補修を検討しましょう。
傷の補修をプロに依頼する方法もありますが、フローリングの細かい傷はワックスでツヤを出すことによって見栄えが良くなることもあります。またフローリングの傷を補修できる商品もあります。まずは低予算でできる方法を検討しましょう。
費用をかけて修復を検討する場合は、不動産会社の担当者に相談することをおすすめします。不動産会社によっては、提携するリフォーム会社を紹介してもらえることもあります。
ハウスクリーニングやリフォームを依頼する場合の目安
ハウスクリーニングやリフォームの目安を参考として紹介します。補修の仕方や状況によって金額は異なります。
実際には見積もりを依頼して、金額を確認したうえで検討しましょう。なおリフォームやハウスクリーニングでかかった費用を、売却価格に上乗せできるとは限りません。
清掃する箇所 | 一般的な相場 |
キッチン | 18,000~25,000円 |
バスルーム | 16,500~22,000円 |
洗面所・トイレ | 18,000~20,000円 |
レンジフード | 16,500~20,000円 |
クロスの張り替え | 1,000円/m2 |
畳の張り替え | 1~2万円/枚 |
障子の張り替え | 2,000円/枚 |
※ ハウスクリーニングの料金相場2
※ リフォームの料金相場1
内覧時はペットがいない状態にする
ペットを飼っていることを隠す必要はありませんが、ペットが苦手な人もいます。また訪問者に興奮してしまい、威嚇のために吠えてしまう犬もいます。内覧時は散歩に出掛けるか預けるなどし、ペットがいない状態にしてゆっくり見てもらえる状況にしましょう。
猫は訪問者を警戒して隠れてしまうケースが多いですが、急に現れて内覧者をびっくりさせないように注意しましょう。
ペット飼育可であることをアピールする
ペット飼育可のマンションであることをアピールするのも1つの方法です。ペットを飼っている人だけでなく、将来ペットを飼育する可能性がある人にとってもプラスのポイントになります。
おすすめの散歩コースや動物病院、トリミングサロンが近くにあることなど説明できると良いでしょう。また飼育できるペットのサイズや頭数を制限しているマンションが多いため、ペットの飼育に関する管理規約や使用細則があれば、内覧時に説明できるように準備しておきましょう。
複数の不動産会社へ査定依頼する
ペットを飼育していることやペットの飼育ができることを、マンションの査定額にどのように加味するかは、不動産会社によって異なります。
なるべく複数の不動産会社に査定依頼し、その査定額を比較しましょう。査定額が高いことだけで売却依頼先を決めず、査定額の根拠やペットを飼育できることをプラス要因として考えている不動産会社に依頼しましょう。
実績豊富な不動産会社へ依頼する
不動産会社には得手不得手があり、またマンション売却が得意な不動産会社もあれば、マンション売却に力を入れていない不動産会社もあります。
したがって売却のコツを実践して売り出したとしても、不動産会社の力量によっては思うように売却できないこともあります。
マンションを売却するのであれば、その実績が豊富な不動産会社に依頼するようにしましょう。不動産会社のホームページなどで実績を確認する方法もありますが、実際にマンション売却の実績を聞いてみる方法もあります。
通常不動産会社と数ヵ月やり取りすることになりますので、担当者との相性も重要です。動物が好きではない担当者だと、ペットを飼っているマンションに対し、必要以上にマイナスに評価する可能性があります。ペットを飼った経験があるかも聞いてみましょう。
動物が好きな担当者であれば、ペットが飼えるマンションのメリットを、購入希望者に上手く伝えてくれるでしょう。
ペットを飼っているマンションを売却するときの注意点
ペットを飼っているマンションを売却する際に、注意すべき点がいくつかあります。ここでは特に重要なポイントを3つ紹介しますので、売却を検討する場合はぜひ参考にしてください。
- 内覧時に傷や汚れは隠さない
- ペット飼育不可で飼っている場合はその旨をきちんと説明する
- ペットが原因のトラブルがあれば事前に説明する
内覧時に傷や汚れは隠さない
マンションをなるべく早く、そして高く売却したいと思い、マイナス評価の要因となる傷や汚れは隠したいと考えるかもしれません。
清掃や修復によって傷や汚れを改善することはもちろん問題ありませんが、故意に隠してしまうと、契約不適合責任を請求される恐れがあるので注意が必要です。
契約不適合責任とは、引渡し後に契約で定めた状態や数量と異なることが判明した場合、買主が売主に対して請求できる責任です。内容や程度にもよりますが、買主から損害賠償や売買価格の減額請求、契約解除を請求される可能性があります。
引渡し後のトラブルを避けるためにも、傷や不具合は隠さず説明し、買主が納得した上で売買契約するようにしましょう。
ペット飼育不可で飼っている場合はその旨をきちんと説明する
当たり前ですがペットの飼育が禁止されているマンションで、ペットを飼育することはできません。また頭数やサイズなど管理規約などによって定められた条件を満たしていないことも、基本的には管理規約違反になります。
まず購入希望者に対して管理規約によってペットの飼育が禁止されていることや制限について説明し、本来は飼育できないことや制限があること、またペットを飼育することになった経緯も説明します。
管理規約に反してペットを飼っていることを隠して売却した場合、買主から契約不適合責任を請求される恐れがあります。後ろめたい気持ちがあったとしても、ペットを飼育している事実は隠さず伝えましょう。
ペットが原因のトラブルがあれば事前に説明する
もしマンションの売却理由がペットの飼育に関するトラブルが原因であれば、購入希望者にその旨をきちんと説明する必要があります。買主がペットを飼育する場合、同じトラブルが発生する可能性があるからです。
契約不適合責任を問われるのは、マンションの傷や不具合だけではありません。トラブルが発生していたのにも関わらず、そのことを隠して売却した場合も損害賠償や減額請求、契約解除を請求される可能性があるので注意が必要です。
ペットに関連するご近所間のトラブルは少なくありません。もしマンションの売却理由がペットに関連するトラブルでないとしても、もしトラブルがあった場合は説明するようにしましょう。
マンションの資産価値を下げないコツを実践しよう
ペットを飼っていたとしても、そのことが直接の原因となってマンションの資産価値が下がるわけではありません。
傷や汚れがあれば清掃や補修をし、故意に隠したりせず現状を確認してもらいましょう。また独断でリフォームしないことをおすすめします。
しかし内覧の前に清掃や換気をしてニオイ対策をしたり、内覧時はペットと散歩に出かけたりするなど、一定の配慮は必要です。気持ちよく内覧してもらえるように心がけましょう。
※1:ペット禁止の管理規約