「土地を1,500万円で売却したとき、税金はどのくらいかかるの?」と、土地を売却した際の税額について不安に感じる方は多いでしょう。
1,500万円で土地を売却した場合に課される税額は、売主の状況や売却価格によって異なるため、一律で金額を示すことはできません。
手元に残る金額を正確に把握するためには、土地売却時に課される税金についての知識が必要です。
本記事では、土地を1,500万円で売却した際に課される税金や諸費用について解説します。
記事を読めば、1,500万円で売却したときに税金がどの程度かかるのかがわかり、売却時の不安が解消されるでしょう。
1,500万の土地売却でかかる税金
1,500万円で土地を売却した場合、次の税金がかかります。
税金の名称 | 概要 |
譲渡所得税 | 譲渡所得(売却)に対して課される |
印紙税 | 課税文書の作成に対して課される |
登録免許税 | 登記申請の費用として課される |
固定資産税(清算金) | 固定資産の所有に対して課される |
それでは、各税金の内容について解説します。
譲渡所得税
譲渡所得税は、譲渡所得(売却益)が生じた際に課税される税金です。
土地を売却した際に課される譲渡所得税は、次の3つの税金から構成されています。
税金の名称 | 課税時期 |
所得税 | 確定申告のとき |
復興特別所得税 | 確定申告のとき |
住民税 | 土地を売却した年の翌年6月ごろ |
譲渡所得税の税率は、所有期間によって次のように変わります。
区分 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 |
所有期間 | 5年以下 | 5年超 |
所得税の税率 | 30.63% | 15.315% |
住民税の税率 | 9% | 5% |
なお、所有期間は土地を売却した年の1月1日時点を基準とします。
たとえば、土地を売却した年の1月1日時点で所有期間が4年であり、引渡し日には5年を経過していた場合でも、短期譲渡所得として計算されます。
参照元:国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
印紙税
印紙税は、不動産売買契約書(課税文書)の作成に対して課される税金です。
税額は次の表のとおり、売買金額によって変動します。
売買金額 | 印紙税額 |
500万円超えから1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超えから5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超えから1億円以下 | 3万円 |
※印紙税額の一部を抜粋
1,500万円で土地を売却した場合、1,000万円超えから5,000万円以下に該当するため、税額は1万円です。
印紙税は、手元に保管する売買契約書に法務局や郵便局で購入できる収入印紙を貼り、割印して納付します。
売買契約書を1通のみ作成する場合、1通分の印紙税額を売主と買主で折半します。
参照元:印紙税額
登録免許税
登録免許税は、登記の申請に対して課される税金です。
売主が登録免許税を納付するケースの代表例は、引渡し時におこなう抵当権抹消登記の申請時です。
抵当権抹消登記を申請する場合、不動産1件につき1,000円の登録免許税が課税されます。
土地と建物の両方に抵当権が設定されている場合、2件の抹消が必要であり、法務局に2,000円の登録免許税を納付しなければなりません。
なお、抵当権抹消登記は通常、司法書士に依頼するため、納税額相当の現金を引渡し時に司法書士へ渡します。
固定資産税の清算金
固定資産税は、毎年1月1日現在の土地や建物などの所有者に課税される税金です。
1月1日現在の所有者に1年分の固定資産税が課税されるため、引渡し日以降の固定資産税相当額を日割りで計算し、買主から精算金を受け取ります。
納税者は売主となるため、いったん全額を納付しなければなりませんが、精算金を受け取ることで実質的な負担は引渡し日の前日までとなります。
日割り計算の方法には法的な基準がないため、計算方法や精算金額については不動産会社に確認しておきましょう。
1,500万の土地売却でかかる税金の計算方法
1,500万円で土地を売却した際に課される税額は、次の手順で計算します。
- 譲渡所得を計算する
- 特別控除を確認する
- 税率を掛ける
それでは、税金の計算方法について解説します。
譲渡所得を計算する
1,500万円で土地を売却したときに課される税金を計算する場合、まず譲渡所得を計算します。
譲渡所得の計算方法と、計算式に用いている用語の意味は次のとおりです。
譲渡所得 = 収入金額 -(取得費 + 譲渡費用) | |
収入金額 | 土地の売却代金 |
取得費 | 売却した土地を買ったときの代金と費用 |
譲渡費用 | 土地を売ったときに支払った費用 |
取得費や譲渡費用として認められるものには、仲介手数料や登記費用などが挙げられます。
どの費用を計上できるのか知りたい場合は、国税庁「取得費となるもの」「譲渡費用となるもの」のページを参照してください。
特別控除を確認する
譲渡所得を計算した後は、適用できる特別控除がないか調べ、課税譲渡所得を求めます。
特別控除とは、譲渡所得から一定の額を控除できる特例です。
代表的な特例の控除額と、課税譲渡所得の計算式は次のとおりです。
課税譲渡所得 = 譲渡所得 – 特別控除 | |
収用等による売却の特例 | 5,000万円 |
マイホーム売却の特例 | 3,000万円 |
被相続人の空き家売却の特例 | 3,000万円か2,000万円 |
譲渡所得から控除できる特例はいくつかありますが、適用を受けるためには所定の条件を満たす必要があります。
条件は特例ごとに異なるため、適用可能な制度については税理士や不動産会社に確認しましょう。
税率を掛ける
課税譲渡所得を算出した後は、適用される税率を確認し、譲渡所得税を計算します。
譲渡所得税 = 課税譲渡所得 × 税率 | |
短期譲渡所得(所有期間5年以下) | 39.63% |
長期譲渡所得(所有期間5年超え) | 20.315% |
税率をかけて譲渡所得税を計算したら、売却時にかかる諸費用やそのほかの税金を足し、売却費用の総額を求めましょう。
売却予想金額から売却費用の総額を差し引けば、手元に残る資金を把握できます。
1,500万の土地売却でかかる税金をシミュレーション
1,500万円で土地を売却した際に課される税額を、次の条件を用いてシミュレーションをおこないます。
収入金額 | 1,500万円 |
取得費 | 1,000万円 |
譲渡費用 | 200万円 |
特別控除 | なし |
所有期間 | 20年(長期譲渡所得) |
ここでは、取得費がわかる場合とわからない場合に分けてシミュレーションします。
取得費がわかる場合
取得費がわかる場合、譲渡所得税は次のように計算します。
【課税譲渡所得の計算】
収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除1,500万円 -(1,000万円 + 200万円)- 0円 |
計算のとおり、課税譲渡所得は300万円です。
【譲渡所得税の計算】
課税譲渡所得 × 税率300万円 × 20.315% |
取得費がわかる場合、譲渡所得税が約61万円となります。
取得費がわからない場合
取得費がわからない場合、次の計算式を利用して概算取得費を求めます。
【概算取得費】
収入金額 × 5%1,500万円 × 5% |
シミュレーションの場合、概算取得費として計上できるのは75万円です。
【課税譲渡所得の計算】
収入金額 -(概算取得費 + 譲渡費用)- 特別控除1,500万円 -(75万円 + 200万円)- 0円 |
概算取得費を用いて計算した結果、課税譲渡所得は1,225万円となりました。
【譲渡所得税の計算】
課税譲渡所得 × 税率1,225万円 × 20.315% |
譲渡所得を軽減できなかったことで、譲渡所得税が約249万円課されます。
取得費は譲渡所得税額に大きく影響するため、土地購入時の領収書は大切に保管しておきましょう。
1,500万の土地売却時に利用できる特例
1,500万円で土地を売却した際に利用できる特例は、次のとおりです。
- マイホームを売ったときの特例
- マイホームを売ったときの軽減税率の特例
- 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
それでは、各特例の内容について解説します。
マイホームを売ったときの特例
マイホームを売ったときの特例は、自宅を売ったときに譲渡所得から3,000万円を控除できる特例です。
特例を利用するためには、次の条件を満たす必要があります。
- 自宅を売却
- 解体した日から1年以内に売買契約締結
- 解体後〜売却で事業用の利用なし など
マイホームを売ったときの特例は、自宅を売却する前に解体した場合や退去した場合でも、一定の条件を満たせば利用できます。
譲渡所得を大幅に減らせる特例であるため、国税庁「マイホームを売ったときの特例」のページで利用条件を確認し、利用を検討しましょう。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
マイホームを売ったときの軽減税率の特例は、自宅を売却した際に譲渡所得税率が下がる特例です。
軽減税率の特例 | 14.21% |
長期譲渡所得 | 20.315% |
軽減税率の特例の条件は、次のとおりです。
- 所有期間10年を超える自宅を売却
- 日本国内にある不動産を売却
- 過去3年間に軽減税率の特例を受けていない など
本特例はマイホームを売ったときの特例と併用できるため、大きな節税効果が期待できます。
特例を利用できるかどうか確認する際は、国税庁「軽減税率の特例」のページを参照にしてください。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は、相続した空き家を売却する際に最大で3,000万円を譲渡所得から控除できる特例です。
特例を利用するためには、次の条件を満たす必要があります。
- 被相続人が相続の直前まで一人で居住
- 相続開始から3年後の年末までの売却
- 2027年末までに売却 など
本特例の控除額は相続人が2人以下の場合は3,000万円、3人以上の場合は2,000万円になります。
適用を受けるために必要な条件が多いため、事前に「国税庁のページ」で条件を確認しましょう。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例は、相続税の納付対象となった不動産を売却した際、納税額の一部を取得費に計上できる特例です。
特例を利用するための条件は、次のとおりです。
- 相続か遺贈で取得した土地を売却
- 売却する土地に相続税が課されている
- 相続から3年10か月までに売却
適用を受けられれば、納付した相続税の一部を取得費に加算できます。
取得費が増えると譲渡所得税額の節税につながるため、国税庁「取得費の特例」のページで条件を確認して利用できないか検討しましょう。
1,500万で土地売却する際の税金対策
1,500万円で土地を売却する際は、次の方法を実践してみましょう。
- 譲渡費用・取得費がわかる書類を準備する
- 所有期間による税率の違いに注意する
それでは、それぞれの方法がなぜ税金対策になるのか解説します。
譲渡費用・取得費がわかる書類を準備する
譲渡費用や取得費がわかる書類を確定申告までに準備しておけば、譲渡所得を抑え、節税につなげられます。
売買に際して支払った特定の費用や税金は経費として計上でき、譲渡所得を減らす効果があります。
ただし、経費として計上するためには、譲渡費用や取得費の支払いを証明するために領収書を用意しなければなりません。
領収書がない支払いは経費として認められず、結果として譲渡所得税が増える可能性があります。
節税のためにも、土地を売却する前に各種領収書を探しておきましょう。
所有期間による税率の違いに注意する
譲渡所得税の税率は、所有期間によって大きく異なるため注意が必要です。
税率と所有期間の関係は、次のとおりです。
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63% |
5年超え(長期譲渡所得) | 20.315% |
10年超え(軽減税率の特例) | 14.21% |
譲渡所得税の税率の算定基準は、土地を売却した年の1月1日現在です。
数週間程度で適用される税率が変わる場合は、売却のタイミングを調整するのも一つの方法です。
なお、軽減税率の特例を利用するためには、一定の条件を満たさなければなりません。
誰でも利用できるわけではないため、適用可能かどうかは不動産会社や税理士に確認しましょう。
1,500万の土地売却で必要になる税金以外の諸費用
1,500万円で土地を売却した場合は、税金以外にも次のような諸費用がかかります。
- 仲介手数料
- 測量費
- 解体費用
- ローン繰り上げ時の返済手数料
それでは、各種諸費用の内容について解説します。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産仲介会社に支払う報酬です。
報酬額は、次の計算式で求めます。
計算式 | 条件 |
売買金額 × 3% + 6万円 | 売買金額が400万円超え |
売買金額 × 4% + 2万円 | 売買金額が200万円超えから400万円以下 |
売買金額 × 5% | 売買金額が200万円以下 |
1,500万円で土地を売却した場合は、売買金額が400万円を超える場合の計算式を用います。
計算式に当てはめて計算すると、1,500万円で土地を売却した場合の仲介手数料は51万円となります。
なお、仲介手数料は消費税の課税対象となるため、仲介手数料に10%の消費税を加えて不動産会社に支払わなければなりません。
測量費
測量費用は、土地の面積や境界線の確定、境界標の設置などのためにかかる費用です。
簡易測量と確定測量の2種類があり、実施する測量によって費用は異なります。
簡易測量 | ・土地の面積のみを測る作業 ・境界線が明確である場合におこなう ・10万円~30万円程度 |
確定測量 | ・面積を測って隣地や道路との境界線を確定する作業 ・境界線が不明確である場合におこなう ・40万円~80万円程度 |
簡易測量は必要なすべての場所に境界標があり、隣地から境界線の位置を認めてもらっている場合におこないます。
一方、確定測量は、境界標が1か所でも不足している場合や、隣地の所有者から境界線の位置について承諾を得ていない場合に実施します。
土地の状況によって必要な測量が決まるため、不動産会社におこなうべき測量がどちらなのか確認しましょう。
解体費用
解体費用は、土地上の建物や工作物、地中に埋まっている構造物などを撤去するための費用です。
建物を解体する場合、次のように構造によって費用が変動します。
木造 | 坪当たり3万円~5万円 |
鉄骨造 | 坪当たり4万円~6万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 坪当たり5万円~8万円 |
※一般的な住宅の大きさを想定
ただし、構造以外にも費用が増加する要因があるため、坪当たりの金額は目安としてお考えください。
重機が入れない土地や、建物内にゴミが多く残っている場合などは、解体費用が高くなるケースがあります。
正確な解体費用を知りたい場合は、解体業者に見積もりを依頼して確認しましょう。
ローン繰り上げ時の返済手数料
土地を売却する際は住宅ローンを完済する必要があり、全額返済時に繰り上げ手数料がかかるケースがあります。
手数料は借入先の金融機関や返済の方法によって異なります。
たとえば、三井住友銀行の住宅ローンを返済する場合の手数料は、次のとおりです。
手続き方法 | 全額繰上返済 |
SMBCダイレクト (インターネットバンキング) | 無料 |
窓口や書面 | 33,000円(税込) |
無料で手続きできるケースもあれば、数万円かかる場合もあります。
ローン繰り上げ時の返済手数料を確認する際は、借入先の金融機関に問い合わせて確認しましょう。
1,500万の土地売却でかかる税金に関するよくある質問
1,500万円の土地売却でかかる税金に関するよくある質問は、次のとおりです。
- 税金の支払い時期はいつ?
- 土地を売却したら確定申告が必要?
- 特例・特別控除は併用できる?
それでは、よくある質問とその回答を紹介します。
税金の支払い時期はいつ?
1,500万円で土地を売却する際に課される税金は、次の時期に支払います。
印紙税 | 売買契約締結時 | |
登録免許税 | 引渡し時相続登記申請時 | |
譲渡所得税 | 所得税 | 確定申告時 |
復興特別所得税 | 確定申告時 | |
住民税 | 売却した年の翌年6月以降 | |
固定資産税 | 毎年4月以降 |
支払いの時期は税金によって異なります。
売却の資金計画を立てる際は金額のみでなく、支払いのタイミングも考慮することが大切です。
土地を売却したら確定申告が必要?
土地を売却した場合、確定申告が必要な場合と不要な場合があります。
確定申告が必要となるのは、次のいずれかの条件に該当する場合です。
- 譲渡所得が生じた
- 特例を利用する
なお、確定申告が必要な条件として、課税譲渡所得ではなく、譲渡所得が生じた場合である点には注意しましょう。
控除によって課税譲渡所得がゼロになった場合でも、譲渡所得が生じた時点で確定申告が必要です。
特例・特別控除は併用できる?
特例や特別控除は、原則として併用できません。
ただし、一部の特例や特別控除は併用が認められています。
併用可能な特例の代表例としては、マイホームを売ったときの特例と軽減税率の特例です。
特例を併用できる場合は、節税効果が大きくなるため、土地を売却する際には事前に税理士に併用の可否を確認しておきましょう。
まとめ
1,500万円で土地を売却した際は、次の税金がかかります。
- 譲渡所得税
- 印紙税
- 登録免許税
- 固定資産税
税金のなかで、とくに注意が必要なのは譲渡所得税です。
取得費や譲渡費用によっては、譲渡所得税が高額になり、予想よりも手元に残る金額が少なくなる可能性もあります。
土地を1,500万円で売却する前には、譲渡所得税を自身で計算できるよう、事前に準備することが大切です。
あらかじめ税額を計算できれば正確な資金計画が立てられ、計画通りに売却資金を残せるでしょう。