「老後はマンション購入と賃貸のどちらがいいの?」と、高齢になってからの住まいに不安を感じることもあるでしょう。
高齢者は賃貸の審査に通るのが難しくなると聞き、心配になるときもあるのではないでしょうか。
老後の資金計画を立てやすくしたい方は購入、手元のお金を減らしたくない方は賃貸がおすすめです。
本記事では、マンションを購入する場合と賃貸にする場合のどちらがよいのか、購入のメリット・デメリットを解説します。
老後の住まいについて悩んでいる方は、記事を参考にして、自身に適した居住形態がどちらなのか確認してみてください。
老後はマンション購入と賃貸のどちらがよい?それとも戸建て購入?

老後の住まいは、購入と賃貸、マンションと戸建て、どちらがよいのか迷うものです。
まず、購入と賃貸、マンションと戸建てにどのような違いがあるのか、それぞれの特徴を比較します。
自身に適した居住形態が何か判断できるよう、それぞれの違いを理解しましょう。
マンション購入と賃貸マンションを比較
マンション購入と賃貸マンションには、次のような違いがあります。
| 項目 | マンション購入 | 賃貸マンション |
|---|---|---|
| 諸費用 | 物件価格の6~10% | 家賃の4~5か月分 |
| 毎月の支出 | 住宅ローンと管理費・修繕積立金、固定資産税 | 家賃と共益費 |
| 資産性 | 資産として残る | 資産にはならない |
| 住居費 | 住宅ローンを完済すれば少ない | 多い |
| 間取り変更 | ある程度自由にできる | 原則不可 |
| 転居のしやすさ | しにくい | しやすい |
マンションを購入すれば資産になるだけでなく、住宅ローン完済後は住居費が少なくなるなど、金銭的なメリットが多い傾向があります。
一方、賃貸マンションは資産形成にはならず、住居費は高いものの、転居しやすく間取りに不満があっても引っ越ししやすい居住形態です。
マンション購入と戸建て購入を比較
マンション購入と戸建て購入には、次のような違いがあります。
| 比較項目 | マンション購入 | 戸建て購入 |
|---|---|---|
| 管理 | 管理組合や管理会社 | 自己管理 |
| 修繕費用 | 毎月積み立て | 自己負担 |
| 流動性 | 高い | 低い |
| バリアフリー性能 | 高い | 低い |
| 間取り変更 | 制限あり | 自由 |
| 生活音 | 気になる可能性あり | 気になる可能性は低い |
マンションは一般的に管理組合や管理会社が運営しているため、運営方針に従って修繕費を支払えば、計画に沿って維持管理が進められます。
一方、戸建てについては、維持修繕は自己責任でおこなわなければなりません。
長期修繕計画の立案や貯蓄も自身でおこなう必要があるため、やや維持管理の難度は高いといえます。
ただし、自身の希望どおりに修繕できるため、好みの間取りに変更する、増築・改築するなどの希望を叶えられます。
老後のマンション購入で住宅ローンは組める?

老後のマンション購入で住宅ローンを組めるかどうかは、申し込みをする方の状況や年齢によります。
住宅ローンを利用してマンション購入を検討する場合、融資条件を理解すれば、審査に通過しやすくなります。
また、借りられないとしても、現金を用意すれば、マンションの一括購入が可能です。
住宅ローンの審査条件や、一括購入するケースを解説します。
住宅ローンの審査条件
住宅ローンでは、一般的に次の条件をもとに審査します。
| 年齢 | 借入時の年齢から完済時年齢までの長さ |
|---|---|
| 返済比率 | 収入に占める年間ローン返済額の割合の低さ |
| 健康状態 | 団体信用生命保険に加入できる健康状態か |
| 担保価値 | 物件の資産価値の高さ |
| 属性 | 勤続年数や雇用形態 |
| 信用情報 | 他社借り入れや滞納歴の有無 |
住宅ローンの審査条件は公表されていませんが、表の内容を総合的にみて、融資するかどうかを決定します。
老後で借りる場合、年齢や健康状態、属性が若いときよりも悪くなりがちであるため、審査が厳しくなるのが一般的です。
資金に余裕がある場合は一括購入が可能
老後に住宅ローンを組むのは難しくなるため、資金に余裕があれば、一括購入を検討するとよいでしょう。
現金一括購入できれば、住宅ローンを借りる必要はなく、審査を受けずともマンションを買えます。
審査を受けずに済むこと以外にも、利息が発生しない、諸費用が安くなるなどのメリットもあります。
マンション購入には多くの資金が必要ですが、もし用意できるのであれば、一括購入も選択肢の一つです。
老後にマンションを一括購入するメリット

老後にマンションを一括購入するメリットは、次のとおりです。
- 家賃・ローン返済が不要
- リフォームを自由におこなえる
- 老後の資金計画を立てやすい
- 不動産は資産になる
一括購入すると、老後資金が大幅に減ると考える方が多くいます。
しかし、一括購入は老後に適した方法の一つであるため、メリットも理解したうえで判断しましょう。
家賃・ローン返済が不要
マンションを一括購入すれば、家賃やローンの返済は必要ありません。
購入できれば家賃を払う必要はなく、住宅ローンを借りなければローンの返済もありません。
家賃や住宅ローンの返済は、生活費に占める割合が高く、経済的に苦しくなる要因となります。
とくに、老後は収入が少なくなる傾向にあり、生活を圧迫する固定費の削減は大きなメリットです。
リフォームを自由におこなえる
購入したマンションは賃貸よりもリフォームしやすく、間取りをある程度自由に変更できます。
賃貸は原則としてリフォームできませんが、購入したマンションなら管理規約や使用細則で定められた範囲内でリフォームできます。
管理規約などの制約は、一般的に改修工事に大きな影響が出ない程度の制限であり、ある程度であれば自身の好みにあわせて変更可能です。
老後に住む場合は、バリアフリー化工事が必要になるケースが多く、間取り変更できるかどうかは重要な要素となります。
老後の資金計画を立てやすい
家賃や住宅ローンの返済がなくなると、老後の資金計画が立てやすくなります。
固定費は生活費を圧迫し、資産の取り崩しにつながりやすい費用です。
生活にマイナスの影響を与える費用が削減されれば、医療費や介護費、娯楽費として利用できる金額が増え、希望する計画を立てやすくなります。
希望の資金計画が立てられれば、心の余裕も生まれ、老後の生活によい影響を与えることでしょう。
不動産は資産になる
購入した不動産は資産となるため、万が一の出費に備えられます。
マンションは売却して現金化できたり、貸して収益を得たりと資産として運用できます。
将来的に介護施設の入居費用として売却するなど、老後を支える資産になるため、安心して生活を送れるでしょう。
ただし、一般的に時間の経過とともに資産価値が減少するため、立地や築年数などを考慮し、購入する物件を慎重に決める必要があります。
老後にマンションを一括購入するデメリット

老後にマンションを一括購入するデメリットは、次のとおりです。
- 初期費用が高い
- 手元の現金が減る
- 管理費・修繕積立金が必要になる
- 引っ越ししづらい
一括購入にはメリットが多いものの、デメリットもあります。
メリットのみではなく、デメリットを理解したうえで一括購入するかどうかを判断しましょう。
初期費用が高い
マンションの初期費用は高く、購入する際に多くの資金が必要となります。
用意すべき初期費用は、次のように新築と中古とでは金額に違いがあります。
| 新築マンション | 物件価格の3~5% |
|---|---|
| 中古マンション | 物件価格の6~10% |
たとえば、5,000万円の中古マンションを購入する場合、初期費用として300万〜500万円かかります。
現金を多く利用すると、老後資金を大幅に減らす原因となるため、初期費用が高いのは大きなデメリットといえるでしょう。
手元の現金が減る
一括購入すると、手元の現金が減り、老後の生活を圧迫する可能性があります。
老後は、医療費や介護費用の増加リスクが高く、手元の現金が少ないと、万が一の際にマンションを売却しなければならなくなるかもしれません。
ただし、不動産は流通性が低く、すぐに売却できるとは限りません。
首都圏の中古マンションの場合、売却するのに平均82.5日かかるといわれており、急な出費として利用しにくい傾向にあります。
手元の現金が大幅に減少すると、将来的に発生するリスクに弱くなる点には注意する必要があります。
参照元:東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2025年)
管理費・修繕積立金が必要になる
マンションを購入すると、毎月管理費と修繕積立金がかかります。
建物を維持するためには定期的な修繕が必要であり、その修繕をするためには工事費の貯蓄が必須です。
修繕費用は、マンションを所有する方全員で負担しなければなりません。
共用部分も修繕の対象となるため、専有部分以外の修繕費も支払う必要があります。
建物が古くなるほど、管理費や修繕積立金が値上がりする傾向もあり、支払う金額によっては生活を圧迫する可能性もあります。
引っ越ししづらい
賃貸と比べると、購入したマンションからは引っ越ししづらく、住み替えに対する柔軟性が低下します。
マンションを購入すると、管理費や修繕積立金が毎月かかるため、引っ越し先の固定費と二重払いになり、引っ越ししづらくなります。
とくに、住宅ローンを組んだ場合、二重払いの金額が高額になるため、よりいっそう転居が困難になるかもしれません。
老後は介護施設への転居や、子どもとの同居が発生しやすく、引っ越しの柔軟性が低いのはデメリットといえるでしょう。
老後に購入すべきマンションの選び方

老後に購入すべきマンションの選び方は、次のとおりです。
- 利便性の高い立地・周辺環境
- 暮らしに適した間取り・広さ
- 行き届いた管理状態
- 将来的な資産価値の高さ
年齢を重ねたときに購入するマンションは、生涯最後の住まいになる可能性があります。
購入を後悔しないためにも、選び方を理解し、老後の生活を快適に過ごせるようにしましょう。
利便性の高い立地・周辺環境
利便性の高い立地、周辺環境を選択すれば、生活満足度の向上につながります。
老後は移動できる距離が短くなる傾向にあり、徒歩圏内に駅やバス停などの交通機関があるかどうかで、生活の質が大きく変わります。
交通機関に加え、商業施設や医療施設が揃っていれば、免許を返納しても自立した生活を送れることでしょう。
また、災害発生時に避難するのが難しくなるケースもあるため、浸水被害や地震被害に遭いやすいエリアかどうかをハザードマップで確認しましょう。
暮らしに適した間取り・広さ
自身の暮らしに適した間取り、広さのマンションに住めば、生活の質が安定します。
老後の住まいは広すぎると管理の負担が増え、狭すぎると生活の質が低下するかもしれません。
一般的に、都市部に住む場合、独身であれば40㎡、2人暮らしであれば55㎡程度の面積が必要といわれています。
ただし、流通性の観点でみれば、3LDK・70㎡程度が売れやすいため、住みやすさと流通性の高さのどちらを優先するか検討が必要です。
行き届いた管理状態
マンション全体の管理状態がよい場合、資産価値の維持につながります。
管理状態がよいほど、建物の寿命が長くなり、資産価値が維持されやすくなります。
管理組合が定めた長期修繕計画のもと、計画通りに修繕積立金が貯蓄できているか、予定どおり工事を実施できているか確認しましょう。
管理体制が健全なマンションは資産価値の維持の他にも、居住満足度の向上にもつながるため、重要な要素の一つといえます。
将来的な資産価値の高さ
マンションを購入する際は、将来的な資産価値の高さを重視しましょう。
老後は、医療費の増加や収入の減少により、生活が苦しくなるリスクが高くなるため、マンションを売却せざるを得ない場合があります。
資産価値が高いマンションを購入すれば、早期売却や高値売却を狙いやすくなり、万が一のときでも安心です。
マンションの資産価値は、駅までの距離や周辺環境、管理体制などによって決まるため、購入時は総合的な判断が必要となります。
老後のマンション購入で後悔しないための注意点

老後のマンション購入で後悔しないための注意点は、次のとおりです。
- なるべく自己資金を用意する
- 無理のない返済計画を立てる
- 信頼できる不動産会社を探す
年齢を重ねると、若いときよりもマンション購入が難しくなる傾向にあります。
スムーズにマンションを購入するためにも、注意点を押さえたうえで手続きを進めましょう。
なるべく自己資金を用意する
住宅ローンを利用する場合、自己資金を多く用意できれば、借入金額が減り、生活が安定しやすくなります。
一般的に、住宅ローンの完済年齢は80歳に設定してあり、老後に借りる場合、借入年数が短くなります。
借入年数が短くなると、少額の借り入れでも返済額が多くなるため注意が必要です。
安定して返済するためにも、物件価格の20%以上の自己資金を用意しましょう。
無理のない返済計画を立てる
住宅ローンを組んでマンションを購入する際は、無理のない返済計画を立てましょう。
老後は、介護施設への入居や医療費の増加などが起こりやすくなるため、安定して返済できる計画の立案が不可欠です。
一般的には、返済負担率を20〜25%程度に抑えるとよいといわれますが、老後の場合は15〜20%程度にしましょう。
返済負担率とは、年収に占める年間ローンの返済額の割合です。
ただし、人によって負担に感じる返済額は異なるため、金融機関に相談しながら借入金額を決めましょう。
信頼できる不動産会社を探す
信頼できる不動産会社に仲介を依頼すれば、親身になって物件を探してくれます。
親身になってくれる不動産会社は、老後の生活まで配慮し、物件や金融機関の紹介をおこないます。
返済が難しい、高額な物件を外したうえで、理想の住まいを見つけてくれるのは、老後のマンション購入検討者にとって大きな存在といえるでしょう。
なお、信頼できる不動産会社かどうかは、口コミや評判を掲載しているサイトを確認する方法で判断できます。
老後のマンション購入資金を準備する方法

老後のマンション購入資金を準備する方法は、次のとおりです。
- 財形住宅貯蓄・定期預金を活用する
- 資産運用する
- 退職金を利用する
老後にマンションを購入する際は、年齢の関係で住宅ローンを組みにくくなります。
現金を多く必要とする可能性が高いため、購入資金を準備する方法を活用してお金を用意しましょう。
財形住宅貯蓄・定期預金を活用する
財形住宅貯蓄や定期預金を活用すれば、マンションの購入資金を用意しやすくなります。
| 財形住宅貯蓄 | ・給料から一定額を天引きしておこなう貯蓄 ・住宅取得やリフォームなどでしか引き出せない ・満55歳未満の従業員が利用できる ・550万円までなら利子が課税対象とならない |
|---|---|
| 定期預金 | ・預入期間を決めてから預金する方法 ・原則として預入期間中は引き出せない ・一般的な預金より利子が多い |
どちらも確実性が高い方法であり、貯蓄・預入の期間が長くなるほど利子が多くなり、資金が増えます。
ただし、利子よりも物価上昇が上回っている場合、投資で資金を増やしたほうがよいケースもあります。
決して利子は多くないため、経済の状況を考慮したうえで、制度を利用するかどうかを決めましょう。
資産運用する
長期的に資産を増やす方法として、投資信託やNISAなどの活用が挙げられます。
現在、インフレが進んでおり、定期預金といった預け入れのメリットが小さくなり、資産運用が注目されています。
マンションの購入資金のために資産運用する場合は、投機的な運用ではなく、分散投資や長期的投資をおこないましょう。
資産運用は必ず利益を得られるものではないため、老後資金を減らすような運用は避けなければなりません。
退職金を利用する
退職金をマンション購入資金に充てるのも、方法の一つです。
老後の生活を守るには退職金が必要であるものの、十分に生活費を賄える金額であれば、購入資金に流用してもよいでしょう。
購入資金を用意できれば、住宅ローンの借入金額が減り、結果的に生活が安定する場合もあります。
退職金の額と住宅ローンの返済額とのバランスを考慮し、どの程度の金額を購入資金にするのか検討しましょう。
老後のマンション購入に関するよくある質問

老後のマンション購入に関するよくある質問は、次のとおりです。
- 独身一人暮らしの高齢者はマンションを購入できる?
- 老後破産を回避するコツは?
- マンション管理費が払えない場合の対処法は?
それでは、よくある質問とその回答を紹介します。
独身一人暮らしの高齢者はマンションを購入できる?
独身一人暮らしの高齢者でも、マンションを購入できます。
マンション購入に年齢や家族構成の制限はなく、現金を用意できる、または住宅ローンを借りられれば購入可能です。
ただし、住宅ローンを借りるハードルは高く、一定以上の現金を用意できないと購入は厳しいかもしれません。
また、健康状態も住宅ローン審査に影響するため、最近手術をおこなった方や特定の病気にかかっている方は、一括購入を検討する必要があります。
老後破産を回避するコツは?
老後破産を回避するコツは、次のとおりです。
- 頭金を多く用意する
- 住宅ローンの借入金額を少なくする
- 退職金をすべて利用しない
- 生活資金を1年分残す
無理な借り入れや現金の過剰出費は、老後破産を招く要因となります。
老後は、発病や介護など、急な出費が増える時期と考え、貯蓄を多く残す必要があります。
マンション管理費が払えない場合の対処法は?
マンションの管理費が払えない場合の対処法は、次のとおりです。
- 管理組合や管理会社に連絡する
- 金融機関に返済期間を延長してもらう
- マンションを売却する
継続してマンションに住みたいのであれば、管理組合や管理会社に管理費の分割、金融機関に返済期間を延長できるか相談しましょう。
もし、転居できるのであれば、マンションを売却するのも方法の一つです。
まとめ

老後でも、マンション購入は可能です。
ただし、収入と支出のバランスや健康状態、年齢などの要因により、若いときよりも住宅ローンが借りにくくなります。
老後にマンション購入を検討する際は、住宅ローンの借入額を抑え、十分な資金の貯蓄が必要です。
安定した生活が送れるかどうかを考慮し、無理のない返済計画を立てたうえで、マンションの購入を検討しましょう。

